舌は食べ物の味覚を感じるだけでなく、構音[こうおん](話す)や咀嚼[そしゃく]と燕下[えんげ](かみ砕き、飲み込む)にとって重要な働きをしています。舌は前方2/3の舌体と後方1/3の舌根に分けられ、舌体の表面(舌背)には舌乳頭、舌根にはリンパ組織である舌扁桃が存在します。舌乳頭は舌表面に見られる粘膜の突起で、角化して白く見える糸状(しじょう)乳頭、赤く見える茸状(じじょう)乳頭、後方部分に逆V字形に数個並んでいる有郭(ゆうかく)乳頭、後方の舌側縁でヒダ状になっている葉状(ようじょう)乳頭があります。
舌のつくり(舌尖・舌背・舌根)、舌の乳頭組織、舌扁桃
舌の有郭乳頭
舌側面から舌先(舌尖)部分は角化していないので通常は赤みを帯び、反復性アフタ性口内炎がよく出来る部分です。舌側縁は舌癌の好発部位で、この部分が角化して白斑が出来るときには白斑症あるいは白板症といって前癌状態と考えられ、要注意です。
舌白斑症〜舌癌
白斑症(ロイコプラキー)とは粘膜表面に白色の変化を来したものの総称です。平坦な斑状のものから、イボのように盛り上がって、表面にただれや亀裂が出来ることもあります。白斑症の全てが癌になるというわけではありませんが、舌側縁の白斑症は癌化しやすく、白色の変化が不規則になったり、イボ状の隆起が出来たり、亀裂が出現して凹凸不整となったり、潰瘍が出来る場合などは特に注意が必要です。
舌の奥の方にある通常は見えにくい有郭乳頭や舌扁桃はときに大きく目立つことがあります。舌側面の後方部分にある葉状乳頭も赤く不規則に腫れて異様に見えるので、癌ではないかと耳鼻咽喉科を受診される方がいます。また、舌扁桃は肥大している場合に咽喉頭異常感症が出たり、イビキの原因になることもあります。舌扁桃肥大は口蓋扁桃摘出手術を受けた方で、特に目立つ(代償性肥大)ことがあります。
舌扁桃肥大・膿栓
口蓋扁桃摘出後の舌扁桃肥大
舌には舌癌や良性腫瘍の他にも、カンジダやウイルスなどの特殊な感染症、貧血や糖尿病などの全身的病気、齲歯や歯科治療による局所の刺激、食物や内服薬による影響を受けたりなどで様々な病変が現れます。また、癌や炎症所見などの異常がないのに舌あるいは口腔内に違和感や痛みが続く場合に、舌痛症と呼ばれることがあります。舌痛症は癌恐怖症の場合もありますが、それだけでは説明のつかないケースもあって、抗うつ薬や漢方治療などを試みることが多いのですが、原因が確定出来ないことが多いために治療に苦慮します。
自由が丘耳鼻咽喉科・笠井クリニック
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