溶連菌感染症  笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室
 溶連菌感染症はA群β溶血性連鎖球菌という細菌による感染症で、とくに幼稚園から小学校低学年の小児に扁桃炎、咽頭炎として発症します。小児の上気道感染症の中ではかぜ症候群と並んで極めてありふれた疾患です。急性上気道炎いわゆるかぜ症候群の多くはウイルスが原因ですが、約20%は溶連菌によるものです。ウイルスが原因である上気道炎は数日間の咳嗽、鼻汁、流涙などのあとに発熱することが多いのに比べ、溶連菌によるものではあまりかぜ症状が明らかでなく、突然に40℃前後の高熱、咽頭痛などで発症し、頭痛、腹痛、嘔吐、全身倦怠感などの症状が出現します。扁桃や咽頭は著明に発赤し、扁桃には汚い膿苔や偽膜性滲出物が付着して、軟口蓋に点状出血が見られます。頸部リンパ節もしばしば腫脹して圧痛を伴います。
溶連菌感染性急性扁桃・咽頭炎
 合併症として感染後10〜20日で非化膿性二次疾患として急性糸球体腎炎を伴うことがあり、リウマチ熱発症の原因ともなることから、小児科領域では重要な感染症とされています。合併症としての病巣感染、腎炎などはそれほど多いことではありませんが、溶連菌の診断が遅れたり、治療せずに放置したりすると、発症することがあるので、疑わしい場合には尿検査や血液検査が予定されることもあります。リウマチ熱の発症は近年では極めてまれなことですから、いたずらに恐れることはありません。
 溶連菌感染症の治療が不充分であった場合には急性中耳炎、頸部リンパ節炎、扁桃周囲膿瘍副鼻腔炎、丹毒などの皮膚化膿症、肺炎、敗血症を引き起こすことがあり、注意しておかなければいけません。溶連菌の感染は主として保菌者の鼻咽腔分泌物による直接飛沫感染で、特に発病初期に感染性が強く、健常者に2〜5日の潜伏期間をおいて発症します。
 猩紅熱は溶連菌が扁桃に感染し、のどが痛み、高熱を出し、全身に赤い発疹が現れる小児の伝染病です。昔は死亡率が高かったので法定伝染病になっていますが、今では抗生剤で治療することで早期に軽快するので、猩紅熱という呼び方を避けて溶連菌感染症という病名にするようになりました。
 溶連菌感染症の治療の目的は、現在発病している急性感染症を治療すること、急性糸球体腎炎やリウマチ熱の合併を予防すること、家庭内や学校などでの集団流行を予防することです。溶連菌感染症が疑われたら、早期に十分な抗生物質治療を開始する必要があります。治療を開始すると症状は数日ですみやかに軽快します。しかし元気になったからといってすぐに服薬を中止してしまうと、短期間の服薬では再発が認められることが有りますから、医師の指示に従って治療の完全を期することが重要です。必要な場合は治療終了後に咽頭の培養で溶連菌が陰性化していることをチェックします。患者家族の咽頭培養は約40%に溶連菌陽性で、そのうちの50%以上は発症するといわれていますので、家族内や集団感染予防の目的で患者同胞にも抗生物質の投薬が行われることがあります。(参考記事:溶連菌に感染しているといわれ、今後が心配)(A群β溶血性レンサ球菌咽頭炎東京都感染症情報センター

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