声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯、挿管性喉頭肉芽腫
左右の声帯の表面は薄い粘膜で覆われており、主に呼気で振動することによって音声が発生します。いろいろな刺激が声帯に加わることによって声帯が傷つき、声帯ポリープや声帯結節が形成されます。声帯の粘膜の縁の所がマメやタコのように膨らんでいるのを声帯結節といい、キノコのように飛び出しているのを声帯ポリープといいます。その原因としては、声を乱暴に出したり、がなったり、怒鳴ったり、カラオケなどで長時間大声で歌い続けたり(カラオケポリープ)、咳き込みが続いていたりといったことが考えられます。環境要素としては、大気汚染、エアコンによる室内空気の乾燥、タバコが声帯にとって最も良くありません。幼稚園や学校の先生、歌手、アナウンサー、政治家、ジャズダンスやエアロビクス、スイミングなどのスポーツインストラクター、ナレーターコンパニオン、スチュワーデス、販売業などの声を酷使することが多い職業の方には非常に多い疾患です。
声が出ない、声が嗄れたという症状が出たら、まずは声を使わないようにします。風邪などがきっかけで嗄声になったものなら、声の安静を守ることで1週間くらいで治るでしょうが、それ以上続いたり声がれの酷い場合は耳鼻咽喉科を受診して下さい。急性炎症であれば、炎症を抑えるための内服薬やステロイドや血管収縮剤のネブラーザー(吸入療法)も併用して、1,2週間の沈黙療法が効果的です。声帯結節やあまり大きくない声帯ポリープでは、2,3ヶ月から長い場合は半年くらいは声が改善するかどうか経過を見ます。その間、声の出し方に問題がある方は腹式呼吸の練習や発声訓練(ボイス・トレーニング)を行います。禁煙、過度の飲酒、大きな声を長く続けて出さない、のどを絞るような発声をしない、空気の乾燥に注意してマスクを着用するなど、声の衛生を徹底することも大切です。(嗄声:声の衛生、のどの酷使度チェック のどを守る発声の心得、音声障害診療ガイドライン2018年度版:日本音声言語医学会)
保存的治療で改善のない声帯ポリープは手術が必要になります。声帯ポリープ切除手術は内視鏡を使ってポリープを専用の鉗子で摘出します。単発性のポリープは外来手術で簡単に切除出来る場合もありますが、病変が声帯の広範囲に及んでいたり、咽の反射が強い方の場合には全身麻酔で行う必要が出てきます。たとえ手術で声帯ポリープを切除しても、その後も声の出し方には注意しないと再発することになります。日ごろから声の出し方に注意することが、声帯ポリープの再発を防ぐには最も大切です。(声帯ポリープ、カラオケポリープ、声がかすれる1-2)
声門を閉じた状態で声帯に息を当てることによって声帯は振動して音が発生します。これが喉頭原音といわれるものですが、この喉頭原音が咽頭や鼻副鼻腔などで共鳴し、舌や軟口蓋や口唇などが関与して「声」となります。したがって、声の調子が悪いという場合に、声帯・喉頭だけではなく、咽頭や扁桃肥大、軟口蓋・口蓋垂などを含めたのど全体やアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻・副鼻腔疾患なども原因として考えなくてはいけません。
自由が丘耳鼻咽喉科・笠井クリニック
[ 耳鼻咽喉診療案内|小児耳鼻咽喉疾患|院長紹介|診療方針|地図案内|
|医療設備|診療時間|リンク集|医療費・保険診療Q&A|レーザー治療|
|いびきの治療|いびきQ&A|レーザー手術|アレルギー性鼻炎・花粉症|
|ラジオ波治療の適応|鼻づまりの原因と治療|当サイトについて|索引 ]