耳の中(外耳道)の一番奥には鼓膜があって、行き止まりになっています。外耳道が耳垢で塞がってしまう(耳垢栓塞)と、耳の閉塞感や聞こえが悪くなります。耳垢を取ろうとして、耳をいじっていると外耳道炎や耳せつ(外耳にできる「おでき」、外耳道の限局性膿瘍)が出来ることがあります。耳垢には、その酸性で殺菌作用を有する、蛋白分解酵素が含まれているので殺菌作用がある、脂肪が含まれていて敏感な外耳道皮膚を保護している、苦みがあるので昆虫などの進入を防いでくれる、といった有益な作用があります。子供は鼻や耳をいじることが多く、鼻前庭炎、鼻せつ(鼻のおでき)や外耳炎などを起こします。鼻の穴の入り口は、ブドウ球菌などの雑菌が非常に多く、人の体の中でも最も汚い場所の一つです。鼻をいじった手で耳をいじると、容易に外耳道の入り口にも感染が及び、耳せつが出来ます。むやみに耳や鼻は触らない方が良いでしょう。
子供だけでなく大人でも、耳に異物を入れてしまって、自分では簡単に取れなくなることがあります。粗悪な綿棒は先端の綿花の部分が簡単に外れて、外耳道内に残ることがあります。子供はビーズ玉、紙片、豆など何でも耳の穴に入れてしまいます。幼小児のいる家庭では、外耳道に入る程度の小さなものは手の届くところに置かないように注意した方が良いでしょう。(油断しないで!耳掃除−思わぬ事故につながることも−:国民生活センター)
各種ビーズ玉
粗悪な綿棒の先端部が耳掃除中に軸から抜け落ちたもの
海水浴やサーフィン、川遊びで入った砂利
外耳道の異物は自分で入れなくても、昆虫やムカデなどの虫が耳の中に入ってくることがあります。外耳道の有生異物(ムシなどの生き物の異物)は特に虫の多い夏の野外で多いのですが、最近では年間を通して室内が適温に維持されていますから、冬場でもゴキブリなどが外耳道有生異物になることがあります。ムシは生きたまま外耳道に入って中で暴れますから、ガサゴソと非常に大きな音がして、奥の方に入ると尋常ではない痛みが出ます。外耳道だけではなく鼓膜まで傷つくこともありますので、外耳道の異物は慎重に対処する必要があります。
外耳道有生異物(ムシ)
コガネ、ゴキブリ、ガ
動き回るクモ、ハエ
生きているものは、麻酔液を外耳道に流し込み、殺虫あるいは動きを止めてから摘出。
(外耳道にムシが入ったときの対処法、耳・鼻・咽頭異物摘出術)
自由が丘耳鼻咽喉科・笠井クリニック
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