慢性甲状腺炎はこの病気を発見した九州大学の橋本先生の名を取って、『橋本病』とも言われ、甲状腺に慢性の炎症が起きている病気です。「自己免疫」の異常が原因でおきる、自己免疫病の代表的なもので、何がきっかけで起こるのか、いまだにはっきりしていません。
【慢性甲状腺炎の頻度】
慢性甲状腺炎は甲状腺の病気の中でも、特に女性に非常に多くみられます。軽症、潜在性のものを含めると若い女性の約20人に1人の割合で存在し、成人女性で10人に1人、高齢女性ではもっと高頻度ともいわれています。男性でも全人口の5%位は存在するとされています。家族内発生することもあり遺伝性もあると考えられています。
甲状腺の位置
【慢性甲状腺炎の症状】
橋本病の初期は、甲状腺腫以外は無症状のことが殆どです。のど仏の下にある甲状腺が全体に硬く腫れているのが気になる、前頚部の違和感、咽喉頭異常感、甲状腺の破壊が進むと甲状腺機能が低下し、身体の新陳代謝に関係する甲状腺ホルモンが十分作れなくなります。むくみ、朝起きたときに手や顔がこわばる感じがして、顔・まぶた・唇・舌のむくみ、声がしわがれて低くなります。皮膚の乾燥、体重増加、顔面浮腫、無気力になり、頭の回転が鈍くなり、行動力低下、体温の低下、便秘、過多月経、コレステロールの増加などがみられます。
甲状腺機能低下症であることを知らずにいると、無気力になったり、うつ状態になったり、逆にイライラなどの症状がでて、精神科の病気と間違われていることがあります。更年期障害だと片付けられている場合もあります。むくんだり、皮膚が乾燥したり、寒がりになる、動作が鈍くなる、しゃべり方がゆっくりになる、記憶力が低下するなど甲状腺機能低下症の症状が老化現象と間違われていることもあります。
【慢性甲状腺炎の治療】
甲状腺機能が正常である場合には、治療の必要はありません。
甲状腺が腫れた場合と甲状腺機能低下がある場合には治療が必要です。
体にはっきりした症状を感じなくても、甲状腺ホルモン不足が長期間続くと、心臓のはたらきが悪くなったり、肝臓の機能が低下するなど、新陳代謝の低下による影響がいろいろな臓器にでてきます。血液中のコレステロールの濃度が上がって、動脈硬化を早めたりすることもあります。甲状腺ホルモン剤(チラージンS)が処方されます。薬を飲み始めて、調子がよくなることで、今まで気付かなかった体調の不調の存在に初めて気付くことがあります。
慢性甲状腺炎では妊娠や出産を契機として甲状腺の働きが異常になることがあるので、慢性甲状腺炎をもつ人は、妊娠、出産時には甲状腺ホルモンを調べたほうが良いでしよう。
甲状腺の機能が正常なため、甲状腺ホルモン剤が処方されない場合は、甲状腺の機能が正常な状態が続いているかどうかを確かめるため、一年から半年に一回の定期的な検査を受けることをお勧めします。
[参考]甲状腺機能障害について
自由が丘耳鼻咽喉科・笠井クリニック
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