急性中耳炎、急性化膿性中耳炎 笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室
 急性中耳炎とは、細菌(バイキン)による化膿性炎症です。ほとんどの場合、かぜをひいたあとにのどや鼻にいるウイルスや細菌が、耳管を通って中耳に感染して起こります。副鼻腔炎など鼻の粘膜に炎症を起こす病気が誘因になることもあります。(かぜの後にかかりやすい中耳炎_図譜_解説大人の中耳炎
 急性中耳炎の経過中に、まれに内耳炎が起こることがあります。中耳炎では伝音難聴となりますが、内耳炎を併発すると感音難聴やめまいが、悪心、嘔吐が出ますので、安静が大切です。
 急性中耳炎の治療には「急性中耳炎ガイドライン」(小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年度版)が出されており、治療に当たっては参考にされます。
急性中耳炎(右)右急性中耳炎 急性中耳炎(左)左急性中耳炎 参考:正常な鼓膜所見
急性化膿性中耳炎で右耳管咽頭口より流出する膿汁 中耳炎で左耳管咽頭口より流出する膿汁 両側の耳管咽頭口より中耳炎の膿が流出している所見
[症状]
◆耳が痛み、聞こえが悪くなったり、耳だれがでることがあります。幼小児では、時には痛みを訴えない事もあり、注意が必要です。
かぜ(ハナかぜ、ノドかぜ)の後なりやすく、熱がでることもあります。
[注意点]
◆心身の安静を守って下さい。
◆入浴、水泳は医師の許可を受けてからにして下さい。
◆洗髪、運動、仕事等も医師の許可を受けてからにして下さい。
◆鼻を強くかまないで、左右別々にそっとかむようにして下さい。
◆耳だれ、あるいは病院で鼓膜切開をした後は血が混じった膿が出ますので、汚れた綿は時々取り替えて下さい。
◆処方された薬は指示通りに飲んで下さい。もし発疹がでたり、吐き気、嘔吐等の異常がありましたら服用を中止して、すぐに来院して下さい。
◆小児、特に乳幼児は抵抗力が弱いため、再発したり、全身状態まで悪くなったりしますので、医師の指示をよくお守り下さい。
◆痛みがとれても炎症は残っています。完治するまで医師の指示を受けて、治療を続けましょう。
◆急性中耳炎を繰り返すと、やっかいな浸出性中耳炎になることがあります。
[その他のアドバイス]
◆夜中などに耳が痛くなったとき:心配することはありません。
外耳炎か中耳炎のことが殆どですから、家庭薬の鎮痛剤を与えて翌日に耳鼻科の診察を受けていただけば、その時点で適切な治療が出来ます。鎮痛剤の大部分は炎症を抑える作用がありますから、いざという時の為に備えておくべきでしょう。これまでにも中耳炎を繰り返している方は、前もって処方しておいていただくと良いでしょう。
◆慢性化させないために、早期に鼓膜切開などの適切な処置をします。薬だけに頼っていると、慢性化の原因となります。鼓膜切開は繰り返して行わなければいけない時もありますが、鼓膜の再生力は非常に強く、後遺症を残す心配はまずありません。
◆鼻・ノドの炎症も必ずといってよいほど併発していますから、その処置も大切です。最初の数日間を集中して治療に専念して下さい。風邪気味のときは、早目に耳鼻科を受診して下さい。

急性中耳炎 耳とその周囲の構造

鼓膜切開の適応
1. 鼓膜の発赤・膨隆があり、耳痛・発熱などの急性症状の強いとき
2. すでに耳漏が認められるが、排膿が不十分で症状が持続するとき
3. 急性症状・所見が消退したのに、中耳に貯留液が残っているとき
4. 浸出生中耳炎の保存的治療により病状の改善が認められないとき


慢性中耳炎
慢性中耳炎、鼓膜穿孔 右慢性中耳炎 慢性化膿性中耳炎 左慢性中耳炎化膿症
【質問】
 以前から右の耳の聴こえ方が悪く、いまは電話にも苦労しています。近所の耳鼻科で診てもらうと慢性中耳炎で鼓膜に穴があいているということでした。鼓膜再生には手術が必要で、1ヶ月以上入院しなければならないということです。よい治療法はないでしょうか。
【解答】
 鼓膜は直径1センチ、厚さ0.1ミリの薄い膜です。慢性中耳炎は、中耳に膿がたまり、それを放置したり治療を中断したりしたため慢性化したものです。鼓膜に穴があくことを鼓膜穿孔といい、原因はほとんどが慢性中耳炎です。耳掻きなどで鼓膜に穴を開けてしまう外傷性鼓膜裂傷もあります。慢性中耳炎では、鼓膜が正常に振動しなくなるので聴力が低下し、感染を起こすと耳だれを繰り返しますが、その程度は個人差が大きく、症状があっても日常生活を送るうえでさほど問題がない場合には、放置している人も多いようです。軽度の慢性中耳炎であれば、抗生物質の内服や点耳をして耳鼻咽喉科外来で耳の掃除を繰り返しているだけでもよいでしょう。しかし、真珠腫性中耳炎では、進行すると内耳炎、顔面神経麻痺、髄膜炎、脳膿瘍などの重大な合併症を招くこともあり、注意が必要です。
 鼓膜穿孔の根本的な治療方法は、「鼓膜形成術」という手術です。手術は顕微鏡下で、鼓膜周辺を局所麻酔した後、穴のあいた鼓膜の縁を針ではがします。その上にあらかじめ耳の後ろの皮下から取った筋膜をあてがい、フイブリン糊という接着剤で固定して穴をふさぐ方法です。術後は1〜3ヵ月で鼓膜が再生し、聴力も回復します。鼓膜穿孔が大きかったり、感染が加わっていたり、炎症が深部にまで及んでいるような慢性中耳炎のケースでは入院手術となるかと思いますが、最近では入院期間も短縮され、医療機関によっては日帰り手術として行われることも多くなりました。
(参考:中耳炎について
長引く中耳炎について)(中耳炎「なるほど病気ガイド」アステラスファーマ
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