耳とその周囲の構造
鼓膜切開の適応
1. 鼓膜の発赤・膨隆があり、耳痛・発熱などの急性症状の強いとき
2. すでに耳漏が認められるが、排膿が不十分で症状が持続するとき
3. 急性症状・所見が消退したのに、中耳に貯留液が残っているとき
4. 浸出生中耳炎の保存的治療により病状の改善が認められないとき
慢性中耳炎
右慢性中耳炎 左慢性中耳炎化膿症
【質問】
以前から右の耳の聴こえ方が悪く、いまは電話にも苦労しています。近所の耳鼻科で診てもらうと慢性中耳炎で鼓膜に穴があいているということでした。鼓膜再生には手術が必要で、1ヶ月以上入院しなければならないということです。よい治療法はないでしょうか。
【解答】
鼓膜は直径1センチ、厚さ0.1ミリの薄い膜です。慢性中耳炎は、中耳に膿がたまり、それを放置したり治療を中断したりしたため慢性化したものです。鼓膜に穴があくことを鼓膜穿孔といい、原因はほとんどが慢性中耳炎です。耳掻きなどで鼓膜に穴を開けてしまう外傷性鼓膜裂傷もあります。慢性中耳炎では、鼓膜が正常に振動しなくなるので聴力が低下し、感染を起こすと耳だれを繰り返しますが、その程度は個人差が大きく、症状があっても日常生活を送るうえでさほど問題がない場合には、放置している人も多いようです。軽度の慢性中耳炎であれば、抗生物質の内服や点耳をして耳鼻咽喉科外来で耳の掃除を繰り返しているだけでもよいでしょう。しかし、真珠腫性中耳炎では、進行すると内耳炎、顔面神経麻痺、髄膜炎、脳膿瘍などの重大な合併症を招くこともあり、注意が必要です。
鼓膜穿孔の根本的な治療方法は、「鼓膜形成術」という手術です。手術は顕微鏡下で、鼓膜周辺を局所麻酔した後、穴のあいた鼓膜の縁を針ではがします。その上にあらかじめ耳の後ろの皮下から取った筋膜をあてがい、フイブリン糊という接着剤で固定して穴をふさぐ方法です。術後は1〜3ヵ月で鼓膜が再生し、聴力も回復します。鼓膜穿孔が大きかったり、感染が加わっていたり、炎症が深部にまで及んでいるような慢性中耳炎のケースでは入院手術となるかと思いますが、最近では入院期間も短縮され、医療機関によっては日帰り手術として行われることも多くなりました。
(参考:中耳炎について、長引く中耳炎について)(中耳炎:「なるほど病気ガイド」アステラスファーマ)
自由が丘耳鼻咽喉科 笠井クリニック
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