耳管機能障害について 笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室

聞こえの仕組みと耳管機能
 外耳道から入ってきた音は、鼓膜を振動させ、耳小骨を通して内耳に伝えられます。内耳に伝えられた振動は内耳リンパ液を振動させ、内耳有毛細胞で電気信号に変換され、聴神経を経由して脳に伝えられます。 鼓膜は外耳と中耳の境界に張られており、外耳道と中耳腔の圧力に差があると、鼓膜の可動性が低下します。耳管は鼻の奥で中耳腔と上咽頭とをつないでいる管です。耳管は普段は閉じていますが、つばを飲み込む(嚥下)時に無意識のうちに開き、空気が鼻から中耳内に入り込むことで、中耳腔圧を調整する機能を持っています。この空気圧の調節によって、中耳内と外界の空気圧が同じになり鼓膜がきれいに振動して音がよく響く状態になります。
耳管機能障害

耳管機能障害に因る主な病状
耳管狭窄症
 鼻炎副鼻腔炎アデノイド肥大鼻咽腔炎などが原因で、耳管から中耳に十分な空気が送り込めない状態です。鼓膜の動きが悪くなるため、耳閉塞感や難聴となります。鼻やのどの炎症をを抑え、鼻からカテーテルを入れて耳管経由で中耳内に空気を送る耳管通気治療をします。自己通気法としては、鼻をつまんだ状態で頬を膨らませるようにして通気するバルサルバ法があります。
滲出性中耳炎
 慢性的に中耳内の陰圧が続くと、中耳の粘膜から滲出液がしみ出して貯まるようになり、軽度から中等度の難聴となります。滲出性中耳炎は急性中耳炎や慢性中耳炎の予備状態といえるでしょう。
航空性中耳炎
 航空性中耳炎は飛行機の着陸時や車で峠を降りる時などに、外界の急激な圧変化に耳がついていけない状態です。痛みを伴う急性中耳炎やめまいを引き起こすこともあり、鼻やのどの状態によっては、航空機搭乗を控えなくてはいけません。
ダイビングでの耳抜き不良
 ダイビングにおいても急激な水圧の変化によって航空性中耳炎と同じように中耳に影響が出ます。ダイビングで耳抜きが全くできない場合には、鼓膜は水圧に耐えることが出来ずに破けることがあります。冷水が急に中耳に入ると内耳が刺激されて激しいめまいを生じ、生命をも脅かすような非常に危険な事態となります。
 オトベントは耳抜きを安全に行うための自己耳管通気器具で、滲出性中耳炎の治療、ダイビングの耳抜き練習、飛行機搭乗中の耳痛(航空性中耳炎)の予防に役立ちます。
耳管開放症
 
耳管開放症(耳管開放症の図解)は耳管を閉じる筋肉の緊張低下やダイエットで急に痩せたりするときおこりやすいといわれています。普通は燕下にともなって開く耳管が嚥下時以外でも開きやすくなっているために、鼻から中耳に空気がもれる状態です。耳管開放症の症状として多いのは、自分の声が耳に響いたリ、呼吸に連動して鼓膜が震えるための耳鳴りを感じたりします。主な症状としては、耳閉塞感(耳が詰まった感じ、かぶさったような感じ)、自声強調(自分の声が響く)、呼吸音聴取(息がスースー抜けて気持ちが悪い)、難聴(音の高さがわからない)、耳鳴り、聴覚過敏(周りの音が響く)、めまい、ふらつき感、うつ状態(気分が落ち込む)などがあります。鼻すすりをしたり、うつ伏せ(前屈位)や臥位で症状が軽快することも耳管開放症があることの目安となります。(耳管開放症診断基準案2012::日本耳科学会)鼻をつまんだ状態で、唾を飲み込むトインビー法によって、正常の耳管機能であれば中耳が一時的に陰圧になるために鼓膜は一旦引っ込むのですが、耳管開放症では膨らんだままであることから判断できることもあります。閉鎖不全に陥った耳管あるいは病状は、フロッピーチューブ(閉鎖不全耳管)とも言われ、なかなか治療がやっかいです。

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