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ザ・ワン The One(1992年)

ROCKET●512 360-1(LP英国盤)、ROCKET●PHCR-1170(CD日本盤)、ROCKET●558 480-2(CD英国盤)

Produced by:クリス・トーマス

 充実した90年代のスタートを飾ることになった作品が本作である。長年に渡る音楽活動の傍らで様々な依存症を抱え心身共にボロボロとなったEJは、自らのこの状況から脱するべく、1991年に活動を一時中断し、病院で入院治療を受けた。そして、見事に依存症を克服し、リフレッシュして新たなる第一歩を踏み出したのが本作である。全編溢れんばかりのスケールと創造性に満ちたEJとバーニーによる楽曲群、そして1人の人間としてのEJの力強い姿がここにはある。

 オープニング・ナンバーの「Simple Life」。本作を象徴するタイトル曲「The One」、エリック・クラプトン(g & vo)との共演による「Runaway Train」、説得力の増したEJのボーカルが胸を打つバラード曲「The North」、お馴染みナイジェル・オルソンとキキ・ディーがコーラス参加(2人は「On Dark Street」にも参加)した「When A Woman Doesn't Want You」。エイズをテーマにした「The Last Song」。生命力に満ちあふれたメロディーがタップリ詰まったこの「ザ・ワン」は、まぎれもなくEJの音楽キャリアのなかでも誇れる最高傑作であろう。

 98年のCDリマスター化によって、シングルB面のみに収録だった未発表曲「Suit Of Wolves」、既にCD日本盤ではボーナス・トラックだった「Fat Boys And Ugly Girls」の2曲がボーナス・トラックスとして追加された。


デュエット・ソングス Duets(1993年)デュエッツへ


ライオン・キング The Lion King(1994年)

Walt Disney●60858-7(CD米国盤)

Produced by:クリス・トーマス(3曲のみ)

 ディズニーの長篇アニメ映画「ライオン・キング」のオリジナル・サントラ盤。EJがアカデミー受賞の作詞家ティム・ライスとコンビを組んで作った本作には、EJ自らが3曲「Circle of Life」「I Just Can't Wait To Be King」「愛を感じて-Can You Feel The Love Tonight」を演奏している他、キャスト・ヴァージョン5曲とインストゥルメンタル4曲を収録している。ここからEJ自身の「愛を感じて」「サークル・オブ・ライフ」と立て続けにヒットを放ち、本作「ライオン・キング」も全米1位に輝いた。この主題歌「愛を感じて」は翌1995年のアカデミー賞も受賞している。

 当時、EJ&バーニーのコンビ作品が最高と思っていた私は、ティム・ライスと共作した「ライオン・キング」の成功を冷ややかに見ていた。「やっぱりバーニーじゃないと!」という思いが強かったのだ。そうした先入観もあって、このサントラ盤はあまり聴くこともなかった。しかし、翌1995年に出たベスト・アルバム「Love Songs」に収録されていた「愛を感じて」と「サークル・オブ・ライフ」を再び聴き直し、後になって自分の思いを改めてしまった。バーニーとの作品と比べてみても遜色のない楽曲自体の素晴しさに気づいたのだ。今ではこの2曲も私の大好きな曲となった。

 1994年、EJは25年以上音楽活動歴のあるミュージシャンの中から選出され、「ロックの殿堂(ロックンロール名誉の殿堂)」入りを果たしている。


メイド・イン・イングランド Made In England(1995年)

ROCKET●526 185-1(LP英国盤)、ROCKET●314 526 185-2(CD米国盤)、ROCKET●PHCR-1340(CD日本盤) 写真左が初回盤紙ケース仕様ジャケット(CDのみ)、写真右が通常盤ジャケット(LP&CD)

Produced by:グレッグ・ペニー&EJ

 本作は90年代のEJ作品群の中でも..いや後期の作品中でも大傑作と呼べるものであろう。充実という言葉はこのアルバムのためにあると言ってもいい過ぎではないほどの出来ばえである。プロデュースはグレッグ・ペニー(前作「Duets」で1曲EJと製作を共にした)とEJ自身。録音作業方法も近年のシンセ等の打込みに頼らず、自分の原点に帰って70年代の頃のように全曲バンドと一緒にスタジオ生録音をしたという。そのためか、各曲すべてが「黄昏のレンガ路」の頃のような瑞々しさと勢いを感じさせる。やはり、真の音楽家EJは今日的なコンピューター・サウンドよりも生バンドとのほうが相性がいいようだ。

 過去の作品の例からも、ロックン・ロールに勢いがある時のEJはバラード曲もきわめて良い場合が多いが、本作もその例にもれない。久々のポール・バックマスターのオーケストラ・アレンジ参加で、さらなる厳格さと重層感を増した「Believe」「Belfast」、パワー全開のタイトル曲「Made In England」、ストーンズばりの「 Pain」、軽快ななかにも力強さを感じさせる「 Please」、バーニーのさり気ない心情をEJが情感豊かに歌う「まだ見ぬ我が子へ- Blessed」等。

 いつものことながらバラエティー豊かな収録曲で、今回もEJとバーニーの溢れんばかりの才能を凝縮した内容になっている。英国LP盤のジャケットには、MADE IN THE UKのステッカーが貼られており、まさに中身と共に英国産を実感!

 同年には特製ジャケット仕様の限定CD「Made In England」も発売されている。


ビッグ・ピクチャー The Big Picture(1997年)

ROCKET●PHCR-1545(写真左:CD日本盤)、ROCKET●PHCR-1605(写真右:CD日本盤 - 98年来日記念限定盤)

Produced by:クリス・トーマス

 '97年はEJ生誕50周年を迎えた記念の年だったが、2人の親友(ヴェルサーチとダイアナ元皇太子妃)を相次いで失なうというEJにとっては辛い年でもあった。そんな中でリリースされた本作は、どこか悲しみに包まれながらもしっかりと現実を見据えるような力強さが溢れている。それはジャケット・デザインやサウンドにも反映されて、これまでの持ち味だったロック色とポップ性を一切排除し、オーソドックスながらもボーカル主体の作りとなった。

 静寂の湖面に波紋を投げかけるようにして歌われる「Long Way From Happiness」。ウォー・チャイルド(戦争で傷ついた子供達)のチャリティ・イベントの96年テーマ曲となったルチアーノ・パヴァロッティとのデュエット曲「Live like Horses」のEJのみのソロ・バージョン。ゴスペル色の濃いナンバー「If The River Can Bend」。世界中のチャートで首位を独占した「Something About the Way You Look Tonight」。優しさが漂うソウル・ナンバー「Recover Your Soul」等。アルバム全体を一聴すると地味な印象を受けるが、聴き込む毎に丁寧に練られた楽曲とEJのボーカルがスケール感を増したのがよくわかる。

 EJはこの後、数年間に渡り映画音楽やミュージカル作品を主に手掛けていくことになるが、本作では随所にその活動の片鱗を伺わせている。

 98年限定の来日記念盤には、EJのサインが印字された透明プラスティック・カードをジャケット前に封入し、CDエクストラとして「Something About the Way You Look Tonight」と「Recover Your soul」のビデオ・クリップ(ほんの一部分だけだが)を追加収録。


アイーダ AIDA(1999年)-エルトン・ジョン&フレンズ-

ROCKET●PHCW-1012(CD日本盤)

Executive Produced by:Phil Ramone

 EJは「ライオン・キング」のティム・ライスと再びコンビを組み、ヴェルディの名作オペラ「アイーダ」をブロードウェイ・ミュージカル用に全曲書き下ろした。本作では、そのオリジナル・キャスト版とは異なるスーパースター達を迎え、全く新しい楽曲集に仕上げている。参加メンバーも、スティング、リアン・ライムス、ティナ・ターナー、スパイス・ガールズ、ジャネット・ジャクソン、シャナイア・トゥエイン、レニー・クラヴィッツ、ルル等と、超豪華な顔触ればかりだ。

 EJ自身は、リアン・ライムス、ジャネット・ジャクソン、ブロードウェイ・キャストのヘザー・ヘッドリー&シェリー・スコット、ルルと4曲でデュエットをしている。全曲ミュージカル用に作られたため、全体的に大らかでゆったりとした楽曲が多いが、品格のあるポップなアレンジによって、どれも聴き易く仕上がっている。本作からはリアンとの「リトゥン・イン・ザ・スターズ」がシングル化された。

 日本盤のみボーナストラックとして「リトゥン・イン・ザ・スターズ」のAlternate Version(EJとリアンがヴォーカル・パートを取り替えたもの)を収録。同年、スペシャル・パッケージ仕様の英国プロモ盤「ELTON JOHN & TIM RICE'S AIDA」も製作された。


The Muse ハリウッド・ミューズ(1999年)-サントラ盤-

ROCKET●314 546 517-2(CD米国盤)

Produced by:Guy Babylon & Michael T.Ryan

 アルバート・ブルックス主演・脚本・監督作の映画業界を題材にした風刺コメディ映画「The Muse」のオリジナル・サントラ盤。これはオリジナル・アルバムとはいえないが、全曲EJがスコアを書き下ろしたインストゥルメンタル(ボーカル曲は1曲のみ)作品集である。全編に渡り軽快でクラシカルな小作品が揃い、作曲&音楽家としての別の一面を垣間見せる仕上がりとなった。

 プロデュースは、Guy Babylon と Michael T.Ryan。ちなみにタイトル曲のEJによるボーカル・ナンバー「The Muse」(EJ&バーニー作)のみ、プロデュースは「アイーダ」収録の「The Gods Love Nubia」をプロデュースしたダリル・シモンズが担当。この曲はバーニーとの共作ということで期待をかけ過ぎると肩透かしを食う。といっても出来がよくない訳ではなく、気負いのないシンプルで地味なバラードだからで、なかなか味わい深いナンバーである。このタイトル曲にはもうひとつ、ジャーメイン・デュプリによるボーナス・リミックス曲(原曲とあまり代わり映えしない)がアルバムに収録されている。


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