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エルトン・ディーン Elton Dean

 エルトン・ジョンの名は、エルトン・ディーンとジョン・ボルドリーの2人からとられたものであるが、彼等はEJと共にR&Bグループのブルーソロジー時代の友人であり、バンド・メンバーとしても活動を共にしていた。

 1945年10月28日、ノッティンガムに生まれたE・ディーンは幼少時にピアノとバイオリンを学び、18歳でサックスを始めた。1966年からブルーソロジーに参加する。1969年10月にそれまで在籍していたブルーソロジーからE・ディーン(sax)とマーク・チャリグ(cornet)は、ブラス・セクションを加えて7人編成に拡大されたソフト・マシーンの新メンバーとして迎えられる。7人編成で行なわれた一度きりのツアーを最後にマークは脱退するが、E・ディーンはソフト・マシーンのメンバーとして残り、1970年6月にアルバム「Third」、1971年2月にアルバム「Fourth」を発表する。バンド自体の音楽スタイルも徐々にジャズ色を強めていった。1971年8月にE・ディーンは、マイク・ラトリッジ、ロイ・バビングトン、フィル・ハワード、マーク・チャリグ、ネヴィル・ホワイトヘッドの協力で、ソロ・アルバム「Elton Dean」を発表。1972年6月にソフト・マシーンのアルバム「Fifth」の発表を最後に、E・ディーンは自らのパート・タイムなバンド(ジャスト・アス)の活動に専念するためソフト・マシーンを脱退する。こうして、E・ディーンはフィル・ハワード(ds)、マーク・チャリグ(cornet)、ニック・エヴァンス(tb)、ジェフ・グリーン(b)と共に、ジャスト・アスの本格的な活動に入った。そして、ジャスト・アスは何度かのメンバー交代があった後、1975年にE・ディーンの新バンド、ナインセンスとなって1979年頃まで活動が続けられた。


Elton Dean [ジャスト・アス](1971年)

メンバー: エルトン・ディーン(as,saxello,el p)
      フィル・ハワード(ds)
      マーク・チャリグ(cornet)
      ネヴィル・ホワイトヘッド(el b)
      マイク・ラトリッジ(el p,org)
      ロイ・バビングトン(b)

 エルトン・ディーン唯一のソロ・アルバムとなる本作は、E・ディーンがまだソフト・マシーンに在籍中に作られたものである。ミュージシャンの殆どがソフト・マシーンからの参加者でバックを固めている。全曲のプロデュースと作曲をE・ディーン自身が努めており、参加メンバーのなかにはEJに関わりのある人達は見られなく、ブルーソロジー時代のマーク・チャリグの名のみがあるだけである。

 これは、1971年5月にロンドンのAdvision Studiosにてスタジオ・ライヴ形式でレコーディングされたもので、今までバンドで見せていたプログレッシヴなジャズ・ロック指向の音はまったく影を潜めている。奏者の多彩なアドリブが飛び交い、ライヴ独自の熱気溢れるプレイが伝わってくる完全なジャズ作品となった。

 本作は1998年にようやくCD化され、タイトルも「ジャスト・アス-Just Us」に改められ、ボーナス・トラックも3曲追加された。これら追加曲はジャスト・アスの貴重な未発表ライヴ音源である。

収録曲

SIDE 1
OOGLENOVASTROME
SOMETHING PASSED ME BY

SIDE 2
BLIND BADGER
NEO-CALIBAN GRIDES
PART : THE LAST

CD追加ボーナス・トラック 1972年の「ジャスト・アス」未発表ライヴ
BANKING ON BISHOPSGATE
FUN CAP
A.N.1. (日本盤のみに追加)


ソフト・マシーン 5 SOFT MACHINE FIFTH(1972年)

メンバー: エルトン・ディーン(as,saxello,p)
      ヒュー・ホッパー(b)
      マイク・ラトリッジ(org,el p)
      フィル・ハワード(ds)
      ジョン・マーシャル(ds)
ゲスト:  ロイ・バビングトン(double b)

 本作はマイク・ラトリッジ主導のもと、バンド自体もいままでの路線から更にジャズ・ロック的なアプローチを全面に打ち出している。エルトン・ディーンのサックス・ソロも大々的にフィーチャーされ、個人的にも彼の艶やかでエネルギッシュなサックスはとても好みである。レコーディング中に、フィル・ハワード(ジャスト・アスからの参加)のドラム・スタイルが合わないという理由から、ジョン・マーシャルへとドラマーが途中交代するという変則的な事態が起こるが、これがかえって作品全体に渡り、ブリティッシュなプログレッシヴ・ジャズ・サウンドの幅と深みをあたえたように思う。

 本作がE・ディーンのソフト・マシーンでの最後の作品となり、この後、ソフト・マシーンは更にジャズ色を強めていき、1981年の「Land of Cockayne」の発表を最後にバンドとしての活動の幕を閉じた。このソフト・マシーンは、ブリティッシュ・ロック史上にも偉大な足跡を残したといえるだろう。


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