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バーニー・トーピン Bernie Taupin

 1950年5月22日、英国リンカーンシャーのスリーフォードで生まれる。EJの音楽活動での成功について、作詞家・バーニー・トーピンを抜きに語ることはできない。EJとバーニーは間違いなく今世紀を代表する名ソングライター・コンビといってもよいだろう。バーニーは、華やかなEJの存在の陰というイメージがあるが、EJの膨大なヒット曲の殆どは、バーニーとのコンビ作品である。

 これは彼等の曲製作上のみで感じることだが、当初、レジ・ドゥワイトとバーニーのコンビが、エルトン・ジョンそのものだったのではないかということ。特に初期の頃にはそれを強く感じる。無名時代のレジ・ドゥワイトがバーニーと出会うことで、自分の持つ才能を大きく開花させ、レグがEJと改名したのも、作品の充実振りや音楽活動に道が開けたのも、バーニーとコンビを組んでからである。EJの才能を考えれば現在の成功は当然ともいえるが、レグにとってEJとして活動していくには、バーニーの存在はたいへん大きいのだろう。しかしその後、2人にとって、成功の陰で新たなる苦悩が始まる。当時からのEJの行動をみれば、レグがいかにバーニーを大事に思っていたのかがわかるが、数々の名曲を創作する傍らエンターティナーとしてのEJのみが巨大モンスター化してしまう。EJがスーパースターとしてスポットライトを浴びるようになり、2人のバランスに大きな偏りが生じていき、互いの距離がだんだんと離れていってしまった。これが一時的なコンビ解消というかたちになったのではないか。もちろんこれは極論ではあるが。互いを再度見つめ直して2人の関係が修復するまでに、実に1976年のコンビ解消から7年という歳月を必要とした。

 彼等は1976年に「蒼い肖像」のリリース後、コンビを一時的解消し、1983年の「トゥー・ロー・フォー・ゼロ」でコンビが全面復活するまで、その間バーニーはソロ・アルバムを製作し、作詞活動を地道に進めている。コンビ復活後も、バーニーは作詞家として他のアーティストにも作品を提供しており、スターシップの「シスコはロック・シティ」(1985年)、ハートの「ジーズ・ドリームス」(1986年)等の全米1位ヒットを生んでいる。

 一方のEJは、コンビ解消期間中は、トム・ベル、ピート・ベロッティ、ゲイリー・オズボーン等と一緒に活動するが、作品の出来上がりが今一つしっくりとこない。そう感じたのは、きっとEJ自身だろう。その後の2人の大活躍は皆の御存知の通りである。


バーニー・トーピンの詩 Bernie Taupin(1971年)

 彼の初ソロ・アルバム(写真・左が国内盤、右が輸入盤)で、ここではバーニー自ら、自作の詞を音楽にのせて朗読している。プロデュースはガス・ダッジョン。バック・ミュージシャンは、カレブ・クウェイ、デイヴィー・ジョンストン等が参加。バックの曲の殆どは、カレブとデイヴィーの共作である。EJの参加はなく、EJ&バーニー作の「驚きのお話-THE GREATEST DISCOVERY」が唯一、朗読で収録されている。

 バーニー自身、自作の詞の価値について当時こう述べている。「僕の詞はエルトンによって、初めてうた(SONG)にできた。」と。今回、彼は詞ではなく、詩(ポエム)を作りたいという思いから、このような作品になったという。この年、バーニーはマキシンと結婚している。また、彼は長い間、子供の本を書くことが夢だといっていた。そうした思いを込めて、彼が自ら語る詩集を完成させたのだろう。彼の念願がようやくここで達成されたわけである。


ライド・ザ・タイガー HE WHO RIDES THE TIGER(1980年)

 これはEJとのコンビ解消した後、アルバム「21AT33」(1980年)にて再びEJとのコンビを一部復活する時期に製作されたバーニーのソロ作品である。本作を聴いて正直とても驚いた。全編カントリー・フレーバー漂いながらも当時流行のAORサウンドを大胆に取り入れ、さらに全曲バーニーが歌っているのだ。歌うことは苦手だとばかり思っていたのに、しかもなかなかのボーカリストぶりである。オープニングの軽快な「MONKEY ON MY BACK」と、美しいロッカ・バラード「VENEZUELA」が特にいい。他にもR&Bあり、力強いロック・ナンバーやドラマティック・ソングありと楽曲も粒揃いだ。

 参加ミュージシャンもそうそうたる顔ぶれ。EJ(vo)、ビル・チャンプリン(vo)、スティーブ・ルカサー(g)、ジェイ・グレイドン(g)、デヴィッド・フォスター(key)、ジェフ・ポーカロ(ds)、トム・スコット(sax)等、一流どころが勢揃いし、洗練されたサウンドでガッチリ固めている。プロデュースはHumberto Gatica。バーニー自身が全曲作詞で、Dennis Tufano(作曲)とのコンビを組んでの力作となった。

 最近になって国内でも再びAORブームが起き、2000年に入ってからはAOR名盤セレクション・シリーズとして幾つかの貴重盤がCD化された。そのラインナップの中になんと本作「ライド・ザ・タイガー」が加わり嬉しいリリースとなった。もちろんこれが世界初CD化となる。


FARM DOGS / IMMIGRANT SONS(1998年)

 バーニー参加のバンド、ファーム・ドッグスとしては2枚目のアルバムとなる。メンバーは、Bernie Taupin(vo)、TONY BROCK(ds.p.key.vo)、Jim Cregan(g.vo)、Robin Le Mesurier(g)、Tad Wadhams(b.vo)の5人で、ここにはEJファミリーの名はない。全曲、JimとRobin & バーニーの共作で、全体に漂う今風ポップ・カントリー・ソングがじつに耳に心地よい。メンバーがリラックスして楽しみながら演奏してるのが伝わってくるようだ。ブックレットも含めて丁寧に作られている。トップの「FOREIGN WINDOWS」と、2曲目の「DISTANCE TO THE MOUNTAIN」が聴きたくて何度もCDを掛けてしまう。そんなアルバムだ。


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