長谷寺のだだ押し です

奈良に残る修二会(しゅにえ)のパート2です

  ・長谷寺は奈良の遙か南、桜井から山に入った不便なところにありますが、登廊(のぼりろう)や
   牡丹で有名ですし、結構商売気があってWebも充実しているので何となく行きたくなります
  ・このお寺では2月8日に始まる修二会の締めくくりとして2月14日に「だだ押し」が行われます
   これも追儺会のひとつですが、「だだ押し」と呼ぶのは、僧呂が堂の床を踏み鳴らす足音が
   「ダダ」と聞こえるためとか、閻魔大王の宝印である「檀拏(だんだ)」を額に押し当てて
   加持することに由来するからだとか、疫病神を駆逐する「儺押し(だおし)」から来たとか色々
   といわれており定説はないようです
  ・ただ、「ダダ」という言葉には何となく魂を揺さぶるローカルな力を感じます
   そういえばウルトラマンにも「ダダ」という怪獣がいましたっけ
 

(1)だだ押しのポスター

  ・「ダダ押し」とは何か、何を押すのかとおもいますが、どうも鬼が出てくるようです
   事実、終わってみるとこのポスターは写真よりも状況をうまく表しています
ダダ押しのポスター

(2)長谷寺

  ・近鉄の長谷寺駅から谷の向かい側、急な谷を降りて反対側の斜面に長谷寺はあります
   ちょっとした門前町が形成されており、奈良漬けや吉野葛の土産物屋や宿屋が並んでいます
長谷寺入り口

(3)護摩焚き

  ・午後2時過ぎから本堂の横で山伏姿の僧により護摩法要が行われます
   都会から離れた山中なので、さすが一般観光客は多くありません
   町場と違い、山の峰に近い高さなので天上界に近くて御利益がありそうな感じがします
護摩法要
   
  ・修行のカリキュラムの一環なのでしょうか若い山伏姿の僧が多く見られます
   護摩を焚く法要なんてそう頻繁にある訳ではないので、動作はぎこちなく
   まるで、卒業式の送辞のような感じです
   同僚らしい若いお坊さんが、参列者の後ろからデジカメで撮影している姿も見られます
法要の山伏
   
  ・いよいよ火が付けられると煙で燻されます
   講の信者でしょうか、法被姿で祈る人が多く見られます
護摩焚き

(3)大導師上堂

  ・午後3時過ぎから十一面観音悔過法要(初夜)が始まります
  ・本堂正面の舞台でカメラの陣取りが熾烈を極めている最中
   寂しそうな鐘がなって導師様が下のお堂から上がってきます
導師上堂
   
  ・本尊の十一面観音菩薩に向かって、僧たちが世界中の人々が犯した罪をすべて背負って
   懺悔する法要が終わると世の中のすべての罪が浄化されるそうで、法事は延々と続きます
  ・修二会ですから声明や走りの行とか散華もしているようですが回廊からはよく見えません
   盛んにゴオウ(牛黄?)の押印を買い求めるように解説係の坊さんが催促します
  ・吹きさらしの回廊ではアマチュアカメラマン達が押し合いへし合いの場所争いが続きます
法要

(4)鬼の登場

  ・午後5時をすぎて薄暗くなる頃、ブォードロドロとホラ貝と太鼓が鳴って、本堂の中に鬼が現れます
   坊さんに追われぐるぐる回ったあと、今度は本堂の周りの回廊に出てきます
  ・鬼の後ろには松明が続きます
   男衆が担ぐ松明は1丈五尺(約4.5米)三十貫(約110キロ)という巨大なものです
緑鬼の登場
 
  ・鬼たちを炎の勢いで退散させるとのことですが、鬼が松明を引きずっているようにもみえます
   鬼の暴れ方はグデングデンの酔っぱらいの様に凶暴で、押し寄せる参拝者に掴みかからんばかり
   そのたびに松明も揺れて狭い回廊上は人の波が押したり引いたり、もう撮影どころではなくなります
青鬼の登場
 
  ・「ダダ」と言うだけあって、おごそかな感じはありません。カオスの世界です
   坊さんも俗人並みに結構乗ってます
お坊さんもカメラマン
   
  ・3周くらいしたでしょうか、青、緑、そして最後に赤鬼が出てきます
   この赤鬼のお面だけは骨董品的に立派です
赤鬼の登場
   
いごもり祭 おたきあげ
   
  ・松明が本堂横の護摩壇に放り投げられると参拝者は群がり競って解体を始めます
   その様は鬼より凶暴です。燃えカスは、無病息災、家内安全のお守りになるのだそうです
  ・午後6時を回り法要も終わるとあたりは真っ暗で、門前の店々は早くも戸を閉めています
   小さなお婆さんが、身の丈もある大きな焼けぼっくりを担いで帰る後ろ姿が忘れられません
   焼けぼっくりは、ちょっと卒塔婆みたいにも見えましたが、ホクホクとした影法師でした

  
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