法隆寺西円堂の追儺 です

奈良に残る修二会(しゅにえ)のパート1です

  ・法隆寺というと日本最古の伽藍建築、聖徳太子、夢殿などで知られていますが、
   北西の小高い丘に八角形の西円堂という御堂があることを知っている方はかなりの通です
   養老二年(718)に光明皇后の母である橘夫人の発願によって、行基菩薩が建立したとか
   たとえ「とか」でも「建長二年(1250)に再建されたもの」でもそれだけで十分価値があるでしょう
  ・毎年2月1日から3日間、仏法の興隆と国の安泰を祈る修二会が営まれ、
   3日目の結願の後には追儺会(鬼追式)(ついなえ、おにおいしき)が執り行われます
 

(1)法隆寺

  ・2月3日、ほかのお寺では節分の法要や豆まきでに賑わっている日ですが
   ここ法隆寺は特に夕方ともなると人の姿がなくなり寒さがズンと響きます
法隆寺

(2)法隆寺 西円堂

  ・左手奥に向かうと丘の上に西円堂があります
   5時前に修二会法要に向かう僧侶達が三々五々集まってきます
   よく見ると、工事現場のような興ざめな金網が西円堂をすっぽり囲んでいます
法隆寺 西円堂

(3)西円堂 修二会

  ・修二会法要が始まりました。「薬師悔過」という行法だそうです
   いつもは本尊の薬師如来のお顔は薄暗がりの中でしか拝めませんが
   今日は正面の戸が開けられており数人のカメラマンが盛んにフラッシュをたいています
     南無阿弥陀仏と唱えながら特別の一枚を撮らせていただきました
西円堂 修二会法要
  
  ・振り返ると五重塔と金堂が冬の空の下、夕日に赤く染まっています
   色々な調子の読経は延々と続きます

(3)西円堂 追儺会

  ・7時を回り、真っ暗になった頃、300人くらいが集まりました
   付近の住民でしょう、家族連れ、それも子供達が目立ちます
  ・響きのない乾いた音色の太鼓と銅鑼が間をおいてゆっくりゆっくり打たれます
   30分もかかったでしょうか、世話役がかかげた松明に先導され鬼が出てきました
   まず青鬼が、東の階段の上で斧を研ぐ所作をゆっくりと念入りにします
青鬼の斧研ぎ
   
  ・紋付き姿の世話役が松明を渡すとそれを高々とかかげ大見栄をきります
青鬼の松明
   
  ・そして、ブンブン回して、ほとんどノーコンで荒っぽく放り投げます
   松明は、時にはものすごい勢いで金網に当たって火の粉をまき散らします
   地面にたたきつけられたり、軒に当たったりすることもざらで
   待ちかまえている地元の消防団がすばやく拾って火の粉をたたき消します
青鬼の松明投げ
   
  ・鬼は子供に手を取られゆっくりと時計周りに堂の縁を進み
   正面と西の階段の前で順に同様なパーフォーマンスを繰り返します
   続いて緑鬼が現れ同様に大見栄を切ってから松明を放り投げます
緑鬼
   
  ・三番目は赤鬼です
   杖のようなものを持っており、松明とぶつけて盛んに火の粉をとばします
  ・鬼の面はかなり年代物らしく、それも重厚さを醸し出します
   目の穴が小さいので方向感覚が失われ、それでとんでもない方向に松明が投げられるのだそうです
   昔は参拝者も少なかったせいか、安全云々がやかましくなかったせいか
   金網はなく、松明の燃えかすは厄除けとして取り合いになっていたそうです
   今は金網があるので安心して、コッチコッチと催促の声が挙がります
赤鬼
 
  ・3〜4回巡ったでしょうか。毘沙門天らしい神様が子供に手を引かれ現れます
   ゆっくりゆっくり堂をまわり、鬼達は奥の方に退散します
いごもり祭 竹引き2
 
  ・ライトアップなどなく、鬼がウォーとか声を一切上げないのがかえって不気味です
 
  ・8時を過ぎて鬼追いは終わりました
   人気のない広い境内を親子連れの長い影法師が家路に向います
   「鬼さん怖かったね、また来年も楽しみだね」とでも言っているようなその影が忘れられません

  
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