国宝の鬼瓦

国宝の鬼瓦シリーズ

国宝の鬼瓦シリーズは、国宝建造物の屋根を対象にそこにいる鬼瓦を見ていきます。
国宝に指定されている建造物は全国に131ケ所。寺院が97ケ所、神社が25ケ所、城が5ケ所、その他4ケ所となっています。
当日本鬼面瓦保存会の調査によればその中で鬼瓦がいる国宝建造物は寺院で50ケ所、神社で3ケ所、その他で1ケ所。
鬼瓦は撮影する角度によって大きくその顔かたちは変わってきます。もちろん季節によっても時間帯によってもかなり受ける感じが違います。
皆様も国宝寺院にお参りした時は是非カメラを屋根の上の鬼瓦に向けてみて下さい。

1.国宝 東照宮陽明門の鬼瓦

陽明門 国宝 東照宮陽明門。「陽明門」の名は京都御所12門の内の一つを朝廷からいただいたもので三間一戸の楼門。入母屋造りで軒唐破風が四方についています。
御水尾天皇(1611ー1629)宸筆の「東照大権現」の額があるので勅額門、12本の柱があるので12脚門、見飽きることがないので「日暮門」ともいわれています。

楼門の通路両側正面には随神像、通路天井には狩野探幽の墨絵「昇龍降龍」、門側面には赤と白のボタンの浮彫がある。
門をささえる12本のケヤキの柱には、グリという渦巻きの模様が刻まれているが、1本だけ渦巻きが逆さになっている。これは陽明門の完璧さに魔がささぬよう魔除けの逆さ柱という。

屋根は全て銅瓦本葺です。厚い銅板を瓦のように葺いた上に黒漆をぬって、銅が腐らないような工夫と共に雨漏りを防ぎ、火の粉なども防ぐ役目をも兼ね備えています。
ちなみに東照宮の建築物のうち、漆の塗られていない部分は本殿の柱や長押、厩舎の一部だけで他は全て漆でぬりかためられています。漆の強い密着性、美しい色艶、堅牢な皮膜による装飾と同時に耐湿という特性は、多雨多湿の日光の気象条件下で木造建築物を永く保護維持する最良の方法でありました。

黒漆を塗った銅瓦の屋根に、金色の鬼瓦が正面の軒唐破風の上と大棟の両側、裏側の軒唐破風の上に鎮座しています。

陽明門鬼瓦 陽明門鬼瓦

正面の軒唐破風の上に顔を出している鬼瓦です。鬼というよりか狛犬の顔に似ている。
銅板の上に金箔を厚く貼っているので風雪に見事に耐えている。国宝の鬼瓦です。

陽明門鬼瓦 陽明門鬼瓦

陽明門鬼瓦

大棟の左右の鬼瓦は正面のとは違った趣があります。

左の画像は正面から向かって左大棟鬼で「阿(あ)」の型、右の画像が大棟右側鬼で「吽(うん)」型をしています。
下の画像は左大棟鬼を角度を変えて撮ったものです。国宝の鬼瓦で金箔の鬼瓦はこの日光東照宮陽明門だけです。

徳川家康の遺訓

人の一生は重荷を負いて 遠き道をゆくが如し
いそぐべからず 不自由を常とおもへば不足なし
こころに望おこらば困窮したる時を思い出すべし
堪忍は無事長久の基 怒りは敵とおもヘ
勝事ばかり知りてまくることを知らざれば害其身にいたる
おのれを責て人をせむるな 及ばざるは過ぎたるよりまされり

慶長9年正月15日