第22回日豪合同セミナー

分科会
10.オーストラリアのNGO、NPOへの取組み
Terry White(豪日交流基金事務局長)

Terry Whiteさんによる、「オーストラリアのNGO.NPOへの取組み」(投稿者:middy)

まず、NGO・NPOとは何か?
「ボランティア」という回答が多かったのですが、テリーさんのお話では、NGOの職員は給料をもらっているのでボランティアではなく、特別な技能を持って働いている人々、つまりProfessionalな団体だということです。NGOの活動には、海外援助、環境保護、女性問題、交流、人権、無政府主義etc.があり、国内での活動を中心としたもの、国際的なもの、国内外両方で活動しているものなどがあるそうです。それぞれ、具体的な団体名をあげて、詳しい説明がありました。

またNPOに関しては、私たちのイメージどおり、無償で市民のために働くコミュニティー密着型のもので、このNPOには、Education, Service, Arts, Politics, Economics, Sportsといった分野があるそうです。

この後、NGO・NPOの財源や税金のしくみについて、詳しい説明がありました。(難しかったので私からは省略させていただきます。)

オーストラリア人とNPOについてオーストラリア人にとってNPOへの取組みは、「日常の一部」だということで、そのほとんどはスポーツ関係。ほとんどのスポーツ施設は政府ではなくNPO(クラブ)がつくっている。オーストラリア人はクラブに属しているのが当たり前で、これらはすべて、「オーストラリア人が参加することが大好きだから!」ということでした。

どうしてオーストラリアにこのような風潮ができたのか?
* 多面積・少人口、隣人とmiles awayのため、人に頼り助け合わないと生きていけない。
* "mateship"、つまり皆と一緒に負担を負うことが喜び
* 宗教的側面、自分より相手のことを思う利他主義のため
* オーストラリア人は自分たちを"The lucky country"と考え、個人個人が豊かであると感じている。
  自分が豊かであるから、その一部を貢献することを喜びとできる。
  ex.ボートを持っていたら、一人二人でなく大勢で集まって遊ぶ
* 自分たちの属するもの(州、国etc)に対して熱心である。
  ex.自分たちの地域のフットボールチームを熱狂的に応援する

日本とオーストラリアのNGOへの姿勢の違い
* オーストラリアでは国の政策を立ち上げる時、ほとんど必ずNGOと話し合いを持ち、
  NGOの意見を重要視している。(イギリス系伝統)
* 一方日本では、政府はNGOの意見はあまり聞き入れない。
  むしろ国家として発表したくない意見ばかりをNGOに任せがち。
* また日本のNGOは、海外に目が向いていがちで国内にあまり目を向けていない。
  (海外経験有の国際的な人が多いため。)
* 日本では人権教育、環境教育、権利と義務、市民としての責任という考え、などが発展途上であるうえに、
  歴史的背景、憲法、"public"が「皆で」ではなく「公」=行政が行なうもの、
  と解釈されることなどからNPO活動が根付きにくい。

全体を通して印象的だったのは、オーストラリア人の国民性と言われるmateshipの素晴らしさ、そしてそれがオーストラリア人のNPOに対する取組みやボランティア精神の根底に常に流れている、ということでした。NGO・NPOの話を通して、オーストラリアとオーストラリア人に対する理解を深めることができた分科会だったと思います。




11.日豪のキャンパスライフの相違点から今後の日豪関係まで 学制による討論会
Andrew Le Lievre(Goldman Sachs (Japan)Ltd.)
<出席された方のレポート寄稿をお願いいたします>



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