MOMOTARO PINK With Original PINKS


 70年代初頭、豊中にあったロック喫茶「フリーク」を拠点として活動を開始した
貧゜苦巣は、時代に即したメッセージとうたごころあふれる日本語によるうたと演奏が
一体化した、まだまだ日本語でロックをやることが珍しかった当時の関西では傑出し
たバンドだった。はっぴえんどのコンサートを聞きに行って、はじめてそれに出演し
ていた貧゜苦巣(正確にはその時は貧゜苦のソロにごまのはえの藤本雄志らのバック
が付いたもの)の演奏に触れ、その魅力に取り付かれた僕は、以後フリーク主催で、
彼らがレギュラーで出演していた「はみだしコンサート」や福岡風太主催による「六
番町コンサート」に彼らを追っかけて聞いていた。
そのうたと演奏もさることながら、フリークのマスター坂本洋とともに
「フリークアウト」というミニコミを発行したり、自分たちの好きなミュージシャン
をゲストに呼んで定期コンサートを開催しながら演奏活動をつづけて行く方法論にも
僕は大きな影響を受けたのだった。
 フォークシンガー田中研二がアルバムを制作するにあたって彼らがそのバックをつ
とめ、それはその後六番町コンサートでも生で再現された。そんな彼らのスタンスに
も僕は魅力を感じていた。しかし、そのアルバムが世に出るのを待たずし
て彼らは解散してしまう。結局、件の結成以前の演奏が「春一番」の10枚組ライブ
に収められただけで終わってしまうのかと思われた。ところが76年にURCレコー
ドから発表された京都のフォークシンガー古川豪のサードアルバムのディレクターを
貧゜苦がつとめたことがきっかけとなって、貧゜苦のアルバムがURCから出ることになる。
そして、かつての貧゜苦巣のメンバーが全員参加し、制作されたのがこのアルバムだ。
結局URCが倒産してしまった.ため、自主制作盤として世に出ることになった。貧゜苦巣
解散後、ドラムの備瀬、ベースの杉浦が結成したシェリフのメンバーや、貧゜苦が結成し
ていたオアシスのメンバーなども参加し、貧゜苦巣時代の名曲の数々が当時よりもシェリ
フのサウンド寄りのアメリカンテイスト豊かに、ゴージャスになってレコーディングさ
れている。貧゜苦がこのCDを見ることなく逝ってしまったのがものすごく悔しい。
でも今またこうしてCD化されたことで、関西の日本語ロック創世紀の時代のメッセー
ジと熱さをまた多くの人が感じてくれることになればうれしいと思う。

                                   中村よお


田中研二との活動でも知られた彼らが、78年に300枚限定で自主制作したレコードを
初CD化! 日本のフォーク.ロック史に残る隠れた名盤であり、またレア中のレア音源です。


SEAL-015 ¥2300(Tax In)



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