五智如来 


 密教で大日如来のそなえる5つの知恵を、『金剛頂経』に説く5つの如来にあてはめたもの。
 大日如来・法界体性智(ほっかいたいしょうち。最高の知)。その姿は金剛界大日如来と同じ。
 阿しゅく如来・大円鏡智(だいえんきょうち。丸い鏡に全てが映るように、清浄な知)。その姿は右手は右膝前で掌を伏せ5指を伸ばし、左手は腹前で大衣の端を握る。大日如来の東方に位置する。
 宝生如来(ほうしょう)・平等性智(びょうどうしょうち。あらゆる存在の平等を観ずる知)。その姿は右手は右膝前で掌を上に向け5指を伸ばして地面につけ、左手は腹前で拳をつくり掌を上に向けて構える。大日如来の南方に位置する。
 阿弥陀如来・妙感察智(みょうかんざっち。衆生をよく観察し説法し、疑いを解く知)。その姿は両手を腹前で法界定印のように結ぶが、第二指を曲げた阿弥陀の定印を組む。大日如来の西方に位置する。
 不空成就如来(ふくうじょうじゅ)・成所作智(じょうしょさち。衆生を利益するためにすべき事を成就させる知)。その姿は右手は施無畏印、左手は腹前で拳をつくり掌を上に向けて構える。大日如来の北方に位置する。
 五智如来は曼陀羅に描かれるものの独立した作例はなく、彫像も多くはないが平安時代以降幾つかの作例が見られる。
 なお胎蔵界曼陀羅でも胎蔵界五仏があり大日如来を中心に、東方に宝幢如来(ほうどう)、南方に開敷華王如来(かいふけおう)、西方に無量寿如来(むりょうじゅ)、北方に天鼓雷王如来(てんくらいおん)を配している。金剛界五智如来とは名前が異なるがそれぞれ同体であると解釈されている(金胎不二の思想)。


京都
 安祥寺 坐像(平安 木造)重文
和歌山
 高野山金剛三昧院 坐像(鎌倉 木造)重文