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コルビエール&ボルドー


Ch.Leoville-Poyferre / St.Julien/Bordeaux
レオヴィユ・ポワフェレ


国道2号線沿い北に向かって左側にあるポワフェレの門とヘッド・オフィス

 ボルドーは広い! あらためて実感いたしました。
 サンテミリオンからサンジュリアンまで車でたっぷり1時間かかりました。カントナック村あたりで県道2号線(メドックワイン街道)に入り、マルゴー、スーサン、キューサック村を過ぎてサンジュリアンへ入りました。ベイシュヴェルが見えるとサンジュリアンの実感が急に湧いてきます。グロリア、ボーカイユを通り過ぎて、右側にバルトン、ラスカズの醸造所が見え、すぐ左側に目指すポワフェレがありました。
(写真左:ポワフェレの門柱と右手がヘッドオフィスと樽熟庫)

 14:00時15分前ぐらいに到着したため、お昼の休憩中でしばし待つ間に、ラスカズなどを外から覗いていました。(写真右:ラスカズの石門)
 暫く待つうちに、醸造長のドートさんがお見えになりポワフェレ所内をくまなく案内して下さいました。門を入り右手の建物に事務所があり、正面のドアを開くと、外観からは想像もつかない程の、近代的な内装になっていました。ガラス張りの熟成庫には2000年ものの樽がぎっしりと並び、見る者を圧倒します。


国道2号線沿い北に向かって右側にあるラスカズの門

ラスカズの門内に入ってからそんまんまの風景。
正面のドアから左がラスカズ、ドアの右手からポワフェレ。

 元はラス=カズ家の広大な領地にあったレオヴィルのワイン畑は三つに分割後、それぞれ競い合う形で向上しあっています。現在ポワフェレはブドウ畑は80ha、75のパーセルから年産40〜45万本のワインを造っています。

★★さて、驚くことがここでもありました!★★

最初に訪れたポワフェレの醸造所はヘッド・オフィスと熟成庫の建物で占められ、収穫後の醗酵までの作業は別の場所で行われていたのです。
 そこは何と、道路を挟んで向かい側にあるレオヴィル・ラス・カズの醸造所でした!

 ラス・カズあの有名な鉄の門に飾られた大きな敷地内は左右と正面の建家の三カ所から成り立っていますが、正面のドアはラス・カズでそこから左側がラス・カズのもの。ドアに所有権はありませんが、そのすぐ右側からの建物が全てポワフェレの所有と、全くの2分割されていました。

 よくよく見ると(さっき覗いていたところ)、それぞれの建物の上部に大きくロゴが入っていました。ともかくポワフェレはここで収穫後の作業と醗酵作業を行っていたのです。


ラスカズ内にある右側の建物はポワフェレの醗酵所

 ステンレス醗酵槽は全部で26基(?)。140hlx10基、180hlx8基、225hlx8基ありました。
 ブドウの収量は50hl/1ha。醗酵期間は3週間、一部はマロラルティック醗酵が行われます。
 この後、樽熟前にもう一つの工程がありました。
vin de pressという作業です。アルコール発酵が終了した後の絞りかす(果皮や種子)を専用の大きな機械で圧搾します。果皮がとろけるぐらいにこれを何度か繰り返し、発酵後のワインに混ぜるのです。フェノール類(アントシアニン&タンニン)を多く抽出・混醸させることで長期保存に大変必要な作業だそうで、メドックでは一般的に行われているようです。

 さて、醗酵までの一連の作業が終わると樽熟成に入るのですが、その為には、道を横断して熟成庫のある建物まで運ばなければなりません。これが一番辛い作業だと言っていました。

 熟成庫に納められた樫樽は静かにじっと眠るのかと思いきや、さにあらず、でした・・。そうです、スティラージュ作業がありましたね。

 ここでも1999年と2000年を試飲させていただきました。双方の良さと2000年の飛び抜けた良さに期待は確信に変わって来ました。

 最後にオールド・ヴィンテージが保管されているセラーを拝見させて戴きました。伝説の1982年がありましたよ〜! 他にも1986、1989、1990などなど、未だ熟成中のお宝ポワフェレがありました。

 2nd.のCh. Moulin-Richeの他に、仏国内レストラン専用の3rd.で、パヴィヨン・デュ・コメンターブルというワインがありました。




貴重な見聞、「Soutirage」
スティラージュ / 澱引き

 幸運な事にスティラージュ作業をたっぷりとしかも間近で見ることができました。
 どこのシャトーでもしていることで、スティラージュの言葉は知っていましたが、これほど大変なお仕事だとは夢にも思っていませんでした。
 ポワフェレは年産大凡45万本、樽にすると約1,500樽。当然澱引きしたり目減りしたりで量が減るので10〜20%多い1650〜1800樽を約3ヶ月をめどにして澱引きを繰り返すのです。しかも前年度や前前年度の樽もあるわけですから、毎日もくもくとこの仕事を続けなければならず、これは経営面から見ても大変な事だと思いました。
 まず樽内の上の方の部分を別の樽に移し替えます。(写真:2段目左)

 移し替えが後半に入ってくると、直接樽に移し替えるのではなく小さな桶に入れていきます。その際作業の方がワイングラスで澱の状況をずっと見つめながら移し替えて行きます。(写真2段目右)
 最後は二人一組で樽を傾けながら移し替えます。(写真:3段目右)熟練の作業は濁りだした途端に移し替えを中止し、濁ったワインだけを最後に集めます。(写真:4段目左)
 この濁ったワインも捨てるのではなく最後に普通の樽に入れて、やはり数ヶ月後に澱引き作業をするそうです。

 一連の作業を複数の工程(移し替え)を同時に進行させながら、もう一人の方は移し終えた樽の洗浄をしていきます。洗浄室は別室で、樽の穴の開いた側を下にして、吹き上げる水で樽内を洗浄します。(写真:4段目右)
 225L木樽、重いです。持ち上げるのは到底無理。
転がし方や向きの変え方も慣れないと思うように行きません!

 洗浄が終わり水切りをした後、樽内消毒殺菌処置をします。
 先端がくるくる渦巻きになった針金の先端に、笛ガム状の二酸化硫黄を刺して火を着け、樽の中に入れて燻すのです。
 簡単な風邪なら治っちゃうよ、という醸造長の言葉がまるで本当のように強烈な臭いでした。SO2、気になる人には本当に気になるようですが、これをやらなければ、滅菌できず、ワインは絶対に長持ちしません。
 長いワイン醸造の歴史の中で、人体への影響を最小限に押さえた効果的な滅菌法なのです。原始的な方法に思えましたが、煙で燻す方法は大きなシャトーならどこでも同じ方法を採っているようです。



ヴィユルージュ・クレマド シュヴァル・ブラン
ボールギャール レオヴィユ・ポワフェレ
マルゴー バストール・ラモンターニュ
サン・ロベール オー・ブリオン
スティラージュ/澱引き 恒例:喰ったもん

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