102mm F5 屈折式望遠鏡

Kochan
 
久しぶりに自作の時間が取れるようになった。まる2ヶ月間自分が誰だかわからないくらい自己(遊びの)

を失っていたため、病気になりそうであった。実は、とっくに、もっと明るい大型レンズでC-2500L用

望遠鏡を製作するため、レンズだけ注文して、届いていたのだが眺めるだけで製作の手が出なかったのだ。

 そのレンズとは国際光器(株式会社マゼラン:075-394-2625)の超お安い102mm F5(F=500mm)のマルチコート・アクロマートレンズ(2波長色収差補正)である。お値段は19,800である。安物買いの銭失いの心配は十分にある。というのはお手軽なお値段の可視光用(通常はVisibleのイニシャルのVが付く)Vセミ・アポクロマート(像面のゆがみの有効平面度が80%)で10万円、Vアポクロマート(以後アポと省略:像面の有効平面度100%、3波長色収差補正)で安いので15万円、色収差を極限まで減らしたEDタイプや弗化カルシュウムレンズを使ったフローライトタイプでは(100mmよりちょっと口径が大きくなりますが)20万円から30万円が最低価格でしょう。これがUV(紫外)や、IR(赤外)まで設計・対応ているタイプは100万円の世界に突入してしまう。(間違いの無いように:これらは対物レンズ単体のお値段です)

 私のポリシーでは、お遊びのレベルで1式合計20万円を越しては自作製作の意味が完全に失われると信じています。


 さて、前置きが長くなりましたが本題に入ります。まず、製作した望遠鏡の写真を見てください。

この望遠鏡は以前紹介したKenko No.2(77mm)の焦点距離500mm(F7)、580mm望遠鏡カメラと基本的に同じ長さですがレンズが102mm径となったため明るさがF5と2倍の明るさになっています。(満月が1/2000秒でOK!)

また、レンズが結構重いので全て塩ビパイプで製作しました。塩ビパイプの規格がよくわからないのですが、100でも内径が107mmくらいあり、セル付きのレンズでもちょっと削ればすっぽりと収まりました。あとは規格レデューサで40まで落とすだけで至極簡単でした。当然、カメラの代わりに接眼レンズのアイピースを挿入すれば、眼視用の望遠鏡に早変わりします。

内部は艶消し黒ラッカー、外は銀ラッカーで塗装、本当は植毛紙を内面に張った方が迷光がずっと減るのでしょうが、使って気に入ったら色々とブラシュアップするつもりです。

今回は、補強プレートや微動雲台まで製作してみました。というのも市販のプレートは重く長さが中途半端、雲台も機動性がなくバックラッシュがあり重く高さが30mm近くも有る等、我慢できなかったのがきっかけです。お金がセーブ出来るのもポリシーにかなっています。

プレート(2段式:飾りネジで簡単に取り外し可)部と微動雲台のクローズアップ

鏡筒の下に取り付けてあるプレートには三脚の1/4インチネジがバランスよく取り付け可能な様に角形引き抜きアルミパイプの中には6箇所のナットが接着してある。この重量になれば3/8インチネジの世界だと思うが、そこまで行くと三脚の方が目が飛び出るほど高くなるので、また天体望遠鏡用の三脚は重いし持ち歩くには大げさすぎる(夜の天体観測だけで有れば恥ずかしくないが・・・)

カメラの底からレンズの中心までの高さは丁度40mm、設計の時覚えやすくて楽でした。

写真でも少しわかると思いますが、この微動雲台はスライドボードを抱えてゴムローラで押しつけて感触の良いフリクションとバックラッシュなしの優秀な機能を発揮します。

その微動雲台を取り外した上からの外観です。

箱(雲台)は、長さ65mmのコの字型のアルミ棒(15mm角厚み1mm)2個を、厚さ1.5mm、65mmX40mmのアルミ板に向かい合わせでネジ止めしたものです。強度を心配されるでしょうが、アルミでも冷間引き抜きの物はかちかちに堅くてとても丈夫です(キャスティングとは比べ物にならないくらい)。

スライドボードも厚さ1.5mmの引き抜き品で裏の中心のみ20mmの幅で張り合わせて3mmになっています。本当はこっちが固定なので、スライドボードでなくレールですね。

つまみは引き出し用の取っ手(120円)です。

スライドボードを抜いて箱(雲台)を裏から見たところ

ターレットは2mmのアルミ2枚で構成、1枚は1/4インチネジをねじ込んで、もう1枚はネジの頭より大きな穴を開けアミン系の強力エポキシで接着して製作。

ゴムローラは、商品名ウエルナット(中空の壁にネジを取り付けるときに使うブラインドナットの1種でゴム式の物)をカットして使用。ネオプレーンゴムなので弾力・強度とも申し分ない。つまみと直結の方はナットが埋め込まれている側を使いネジで締め上げて直径を調節、丁度良いフリクションと摺動性がだせる。空回りの方は5mm用のNiスリーブにはめ込み5mmネジと空回りさせる。2個の空回りローラーの距離を維持するためのスペーサも同じNiスリーブを使用した。写真ではわからないが、直結側のネジの軸受けにもNiスリーブを使用している。

秘密がもう一つ、この写真のコの字型アルミ棒の裏には、テフロン製のダイフロンテープが張ってある。これが有ることでしっくりとした滑りが実現できている。

実際に撮影した写真を近く掲載する予定ですが、Kenko No.2の500mm(F7)の望遠鏡より鮮明な画像が得られています。

このように望遠鏡製作もエスカレートしていくと、レンズがだんだん重くなり、特に長くて先端が重いのがかなわない!! この次はこの性能を維持しつつも重心を手前に持ってくる設計が出来ないか考えてみたい。


4月11日、春霞の暗く赤い月だが三脚を据えて写真を撮ってみた。 原画像を縦横に1.5倍ピクセル数を増やしカット画像をそのままレタッチなしで掲載しました。(解放1/400秒、WB:5500K、カメラのレンズ:Reynox MSO-450(4X))

この解像度であれば安物買いの銭失いにかろうじてならなくて済んだかな? なにせ安物アクロマートレンズですからね。 昼間の景色ならここまで0(ゼロ)/1の明暗差は無いでしょうから色ずれは出てこない(気が付かない)でしょう。 絶対にアポクロマートなんかに手は出さないぞ!