マレーシアからの便り36


 まーくんさん、大変ご無沙汰いたしました。 1ヶ月ぶりのマレーシアからの便りをお送りいたします。題して、辛い料理も慣れるとヤミツキ、です。


マレーシアからの便り(36)

マレーシアの気候は日本の7月と8月の繰り返しですから、春と秋と冬がありません。ですからいつまでも夏のために、秋になると現れる夏バテがありません。あるいは、年中夏バテ状態なのかもしれません。日本食で夏の定番は、そうめんとうなぎがですが、東南アジア地方では、食欲増進のために、辛い料理が一般的です。マレーシアにもタイやインドとは異なる独特の辛い料理があります。

【体調】

マレーシアに滞在して半年間は、辛いマレーシア料理が苦手で、日本食か中華かパン食という偏った食生活だったため、口内炎に悩まされていました。また体重も次第に減少してきました。

ところで、会社の食堂には午前9時におやつとしてナシメラという一般的なマレーシアの朝食がありました。
ある日、胃の調子が悪い時に、思いきってこの辛そうな現地食に半ばやけくそ、荒治療のつもりで挑戦してみました。これは、なんと中国人でさえも、体調不十分な時には敬遠するほど辛い食べ物なのです。日本人の私が食堂でこのナシメラを食べていると、皆さん驚きの目を持って覗いていきました。

【ナシメラ】

これは、ぱさぱさご飯に、小魚のフライ少々、ピーナッツ、ゆで玉子半分、きゅうり2切れに、非常に辛いルーがかかっています。このルーは、チリソースベースの具のないカレールーですが、日本のものよりは茶色が濃く、時には唐辛子の皮がいくつも入っていることから、そうとう量の唐辛子ペーストが入れられているようです。ひとなめすると舌全体がしびれるほどの辛さです。このルーを持って帰えると、日本でもナシメラを再現できますが、誰も食べてくれないでしょう。この意外な取り合わせの具とご飯にルーを混ぜて食べおわると、頭のてっぺんからも汗が吹き出てきて、全身の毛穴が開くのがわかります。ほどなくして、身体全体が活性化するのが分かり、暑さが苦にならなくなってきます。今この文章を書いている途中から、思いだすだけで口の中に辛さがよみがえって額が汗ばんできました。なお、ルーにはココナッツミルクが使用されており、大変なカロリー食だそうです。このナシメラ、実はその昔、ジャングルの肉体労働者用スタミナ朝食として考案されたとのことです。

こうして食後口の中は、昼過ぎまでひりひりしびれていますが、胃が刺激されて食欲が出ました。

【おやつの習慣】

ナシメラ初体験の時は、文字どおり全身汗だく、口の中は感覚を失うほどでしたが、なぜか翌日も挑戦したのです。そして次第に辛さに慣れてくると、辛さの奥にある不思議な美味しさに魅了されて、食べずにいられなくなってしまいました。
具のこおばしさがぱさぱさご飯と混ざり、激辛ルーによって不思議な美味しさを形成しているのです。

こうして、慣れるとくせになって、その翌日もまた食べたくなり、とうとう毎朝待ち遠しくなってしまいました。初めは私の食べるのに驚いていた同僚の日本人も今ではナシメラ友達です。

【食生活】

12時半からの昼休みには、食堂の野菜かけご飯を食べます。ぱさぱさご飯に、何種類かあるおかずのうち、希望のものをのせてもらい、レジで清算しますが、一品0.5リンギットから1.5リンギットのおかずは、魚のカレー、鳥のから揚げ、野菜の煮物等です。これらは朝食ほどは辛くありませんが、全般的に塩味がうすく、この時はさすがに日本の醤油が恋しくなります。2品のおかずで合計2リンギット(=60円)。このように、現地食だけを食べるのであれば、1日3食300円で十分です。

なお夜は、お付き合いの外食以外は、自炊を心がけています。また、朝食はクラッカーと豆乳で軽くすませるようになりました。なお、飲み物は、ミネラルウォーターや煮沸消毒した水、コーラ、パイナップルジュース、オレンジジュースや豆乳などが一般的です。ビールなどのアルコール飲料は中国人と外国人しか飲みません。

こうして、一日3食半の食生活で、悩まされた口内炎もきれいさっぱり完治してしまい、現在では体調すこぶる快調です。

次回の話題は、日本では大変なことになる、あっと驚く食べ物の話題をお送りいたします。

ところで、ナシメラの値段ですが、今まで0.7 リンギット(21円)でしたが、このところの不景気の影響で40%以上も値上がりし、1リンギット(30円)になってしまいました。



 辛いモノが好きなあの人この人が喜びそうな話題でげす。ナシメラは辛そうでげすね。おいら読んでいただけで、何か飲みたくなってきたでげす。


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