マレーシアからの便り19


まーくんさん、お元気ですか。マレーシアの激辛料理をたっぷりと味わっていただけましたか。おいしかったら、教えてください、私も食べてみます。
石橋さん、送っていただいたマレーシア特選激辛セットの一部を試食してみたんでげすが、あまり辛くなかったでげす。でも、味は美味しかったでげすヨ。是非、作ってみて下さいでげす。

それでは、マレーシアからの便り(19)を送ります。
さて、今回はそれほど辛くない、日本人の口にあったとても美味しいペナン島の名物料理の話題です。


マレーシアからの便り(19)

【ペナン名物鍋】

 多民族国家マレーシアでは、マレー、タイ、中国、インドネシア、インド料理と多種多様な食べ物を楽しむことができますが、このうち日本人の口にも大変に良く合いおいしい中国料理が、Steam Boatです。
 これは、日本のしゃぶしゃぶ鍋と同じ鍋を使用して、さまざまな具をスープでぐつぐつと煮て食べるものです。名前の付け方もしゃれていますね。

【ET】

 さて、それでは、今日はペナン島で有名なSteam Boatの店をご紹介しましょう。
 店の名前はET、中国名:一徳煖爐小館(一徳という名前の、温かいイロリの店という意味)ここのお客さんは、半数近くが日本人というくらい日本人にも人気の店です。

 まず店のドアをあけた瞬間、強烈なニンニクのにおいに圧倒されます。広さ20畳ほどの店内には、6卓ほどある大きな丸いテーブルが並び、各テーブルの中央には、しゃぶしゃぶ鍋が置いてあります。席につくと、いつものあいその悪い中国人の女性が、メニューの紙とボールペンを持ってきます。そして、ビール?と聞いてきます。

 メニューには、数十種類の具の名前と量の大小、価格、そしてチェック欄があり、しかも、日本語に訳したメニューも用意してありました。大体大皿1皿が100円から180円程度と激安で、最も高価なカニは時価となっていますが、それでも数百円程度です。

今回は、9人と大人数でしたので、多種多様な具を、いろいろチェックして、先ほどの女性に渡すことにしました。

 鍋が煮えるまでは、まず名物の揚げ餃子と鳥のから揚げで胃のウォーミングアップです。餃子は、日本と異なりニラは入っていませんが、こんがり揚げてあり、鳥肉も同様に、さくさくした食感が添付の甘酸っぱいタレとよく合って大変にこおばしく美味しいです。

 そのうちに、鍋の材料が一皿ずつ机に並べられ、いよいよSteam Boatの始まりですが、この店では、店員が鍋奉行であり、客は鍋を触ると怒られてしまいます。

 鍋のスープは、日本のタンメンのスープに近いような、やや白色の透明なチキンベースのスープ、この中に、まず数種類の具を入れ、蓋をして強火でぐつぐつ煮ます。決して蓋を開けてはいけません。ちょうど食べごろになると、店員がやってきて、蓋を開け、やっと食べさせてもらえます。こうして一度鍋の具を全部食べきってから、スープを継ぎ足し、次の材料を入れる、という作法になっています。具の取り合わせと、入れる順序が店員の腕の見せ所のようで、スープの濁らないような順番が配慮されているらしいです。

 食べるときは、ショウユに2種類のタレを好みで使い分けますが、これはニンニクのミジン切りを油であげた、ニンニク油と、もうひとつは小魚を醗酵させて唐辛子と混ぜたオレンジ色のからくて臭い特製タレ、いずれもたっぷりと入れると食欲のリミッターが外れてしまいます。
 薬味は、例の非常に辛い唐辛子、地元名はCHILLI PADI(チリ パディ)のミジン切りを好みで入れましょう。

【本日のメニュー】

 第1弾、まずは、ネリモノ中心フィッシュボール、シーフード(エビ、イカ、タコ、ナマコ)、しいたけ、ハクサイ。ダンゴ系は、いずれも日本のカマボコを一口サイズのボール状にまるめたものです。ナマコもスープとよく合ってあっという間に食べてしまいました。

 第2弾は、牛肉スライス、鳥ダンゴ、水餃子、地元の魚の切り身、豆腐、中国野菜。水餃子は、日本のものより皮が薄く柔らかく、小ぶりで一口で食べられ、中身はほとんど挽肉と薬味の野菜少々のため、噛むと美味しい汁がたっぷりと出てきます。魚の切り身は、しこしこ食感、やや肉の赤身に似て日本で食べる魚とは異なります。

 第3弾は、地元の人から教えてもらったメニューには載っていない特別品、フライドフィッシュヘッド。先ほどの、魚の切り身を取った後の、頭の部分をカリカリに油で揚げて、匂い消しの生姜と一緒に、鍋で煮ると、魚と牛肉の中間のようなムチッとした食感になり、やや油っこいですが噛むごとにこくのある味は、絶品です。そしてこの生姜の風味が出たスープが非常に美味しくなっています。

 前回は、ここで時価のカニを入れたのですが、これは、ぶつ切りにしたカニを豪快に煮て、濃厚なだしのスープとカニ肉を楽しめました。しかしこの時、カニに集中するあまり会話が途切れてしまったので、今回は見送ることにしました。

 第4弾は、ビーフン、または麺と、中国の葉もの野菜、ここで、水餃子の追加。中国の麺類は、非常に多種多様ですが、この店には、日本のやきそば麺に似たものと、キシメン風のもの、そしてさらに細い麺がありました。いずれもスープにからめて食べると、日本のタンメンに良く似た味です。

以上、約15種類の具を楽しみましが、最後は、定番のおじやです。

これまでの具のすべてのダシがたっぷりと入ったスープに、ご飯、現地ノリ(日本製より緑でやや固い)、にんじんとネギのミジンギリ、最後にとき卵。そして、仕上げの味付けは、あのタレのニンニク油と、コショウをたっぷりと入れます。

このおじやは、米は炊き上げがパサパサのインディカ米ですが、このスープで煮てあるため、日本米よりややさらっとして、塩味ベースの大変に美味しいおじやです。

最後に、デザートは、冷やしたマンゴとパパイヤです。特にマンゴは地元でも大人気で、日本の桃とメロンの中間のような食感と甘さとみずみずしさ、パイナップルに似た酸味と香りが渾然一体となり、絶妙な味です。日本ではまず体験できません。

いやあ、これだけ食べると、マレーシアに来てよかったなあと思わずお腹をさすってしまいますが、普段に比べて数倍に膨れたお腹は、イスに座っているのが苦しくなるほどです。

それでは、画像でその雰囲気を少しだけ味わってください。
鍋がこれから始まる場面と、おじやを作っているところです。

【お会計】

 さて、今回9人がこれだけ飲んで食べて、苦しくなって、会計はいくらだったでしょう。なんと日本円で、一人当たり900円ほどでした。

 ウヒャ〜、旨そうでげすネ。お腹が空いてきたでげす。自分でつくったモノより、旨そうでげす。当たり前でげすネ。それも、900円なんてチョー激安でげすネ。やっぱり、一度マレーシアに行くしかないでげすネ。


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