マレーシアからの便り18


まーくんさん、お元気ですか。マレーシアの貧相な特派員)石橋です。

次回のプレゼントは、連載20回記念としてでもやりましょうか。
 先週のカウンターナンバー当てクイズは、みなさん分かりましたか。いろいろと語呂合わせの回答を想定して、余分に景品を用意していましたので、今回の余った景品は、次回に持ち越しとさせていただきます。

それでは、さっそく、マレーシアからの便り(18)を送ります。
今回は、「出掛けるときは忘れずに」をお送りするでげす


マレーシアからの便り(18)

 さて、早いもので、マレーシアでの生活もすでに7ヶ月となり、次第に緊張感が薄らいできた今日このごろ、こういう時に思わぬトラブルに遭遇しました。

 以前のマレーシアからの便りで紹介しましたが、現在マレーシアでは経済危機のインドネシアからの不法就労者に対する取り締まりが厳しく行われています。ニュースでは、一斉検挙された大勢のインドネシア人たちが、手縄をかけられ、警察の広場に集められた後、強制送還される様子がたびたび報道されています。これを日本人の合法就労者である私は、自宅のテレビでソファーに寝そべって、ドリアンアイスクリームをなめながら、見ていました。

ところが、今回まさか自分が、、、という経験をしたのでご紹介します。題して

『出かける時は忘れずに』

【貧相な不審人物】

 今日は花の金曜日、仕事が終わって、いつものように会社のバンでスーパーマーケット前まで送ってもらい、買い物を済ませ、夜9時半頃いつもの道を歩いていました。以前ご紹介した自宅アパートに隣接する建設途中のマンションとショッピングセンターの前、つまり自宅まであと50 mの所まで来た時、突然2人乗りオートバイの男性に呼び止められたのです。

 まず、いきなりマレー語で話しかけられたため、一瞬現地のおじさんに、お金をたかられたのかなと、たじろいだところ、暗闇の中目をこらして見ると、制服を着ています。そうです現地の警官でした。

 私がマレー語を理解できないと分かると、次は英語で、どこに住んでいるかと尋ねてきたので、指差してすぐそこのアパートだと答えると、どこの国から来たか、いつから住んでいるか、どこで働いているかと矢継ぎ早に尋問が始まりました。手にはパトカーを呼ぶための無線機を持っています。さらにもう一台のオートバイも合流して合計4人の警官に取り囲まれてしまいました。そうです、建設現場のインドネシア不法就労者に間違われてしまったというわけです。以前のマレーシアからの便りのオチに使った、現地人よりも貧相に見えることを本当に実践してしまいました。これは、笑えません。

【パスポート】

 つたない英語を話し、日本人だと弁解した結果、どうやら不法滞在インドネシア人ではないらしいと分かると、本当に意外な顔をされ、次は

日本人なら、パスポートは持っているか、

ときました。こういう時のためにと準備しておいたパスポートのコピーを、すかさず提示しようと、カバンを開いたのですが、、、、、ありません。

 2ヶ月前に、ペナン領事館で更新し、正式に3年の就労ビザも取得済みのパスポートは、紛失を恐れて、通常はコピーを持ち歩いていました。そこで、通勤かばん(パソコンバッグ)をごそごそ探したのですが、どうしても見つかりません。

 こういう時は、本当に気が動転して自分を見失ってしまいます。何度バッグを探しても、出てこないのです。その間、警官たちも懐中電灯を照らしてくれて、こちらもごそごそとバッグの中を捜すのですが、さっぱり出てきません。

そうしている最中も、しきりに

「パスポートを携帯していないのか、パスポートは出かける時は忘れずに必ず携帯して、いつでもすぐに身分を証明できるようにすべきなのに、どうしておまえは持っていないのか。しかもコピーを持っていると返答しているが、今はどちらを持っているのか、」

と繰り返し問いただしてきます。

だから、すぐそこのアパートに行けば本物をすぐに見せるから、と答えると、

「パスポートは出かける時は忘れずに必ず携帯して、いつでもすぐに、、、、、、、」

と、またもや同じことの繰り返しです。この問答が5分ほど続いた後、業を煮やした警官は、

「おまえはマレー語が話せるか?」 と尋ねてきたのです。

 非常にまずい。このままでは、連行されそうだとの危機感が次第につのってきました。そこで、とにかく何か示さねばと思い、だめもとで会社の名刺をひとりに手渡したのです。

 名刺の名前と勤務する会社名を見た後、その警官は私の名前と名刺の名前とを照合するために、名前を尋ねてきたため、長年使い慣れた自分の名前をとにかくはっきりと答えたのです。
 その結果、仲間の警官と2、3のやり取りをした後、おもむろに、

「では、これからは必ずパスポートを携帯していつでも提示できるようにすべきだ(さもないと連行する)」

と再度の説教の後で、やっと放免してくれました。この間15分ほどが経過したようですが、動転していたためあまり長くは感じませんでした。いやあ、緊張の瞬間でした。

 パスポート、出かける時は忘れずに、です。

 ところで、あれほど探しても見つからなかったパスポートのコピーですが、3分後に自宅に戻ってバッグを開けてみると、あーら不思議、すぐに出てきました。

 もし、あの時名刺が無かったら、どうなっていたでしょう。
おそらく今回のマレーシアからの便りのテーマが、違っていました。

【出かける時は忘れずに】

ではなくて、

【マレーシアの警察の取調室】

 今回のマレーシアからのクイズ、御苦労様でげした。次回もやるんでげすネ。今度は、わかりやすい様にクイズのページをつくるでげすネ。
 ひゃ〜、石橋さんひどい目にあったんでげすネ。最近の日本の警察はそうでもないでげすが、警察って悪いコトしていなくても何かこわいイメージがあるでげすよネ。4人もの警察に囲まれたら、おいらだったら動けないでげす。でも、マレーシアの警察の取調室も聞いてみたかったでげす。(笑)


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