ほのぼのぐーさんの詩27
連作 父に(1)
ー一周忌に寄せてー
みえっぱりで 人一倍おしゃれだった
短気でわがまま 常識家で整頓好き
純情な芯を 隠して ナイーブな心を
田舎者の風情と古くさくなった道徳や価値観で武装して
追い求めていたのは 何だったんですか
ぼくらに いい想い出だけを残して
享年74歳。
深い理由なんて ないはず
いつもきまって 日本酒ひとりあじわいながら 孤独な魂は呻吟していた
こどものこと じぶんのこと はるかなむかしの青春の夢のかけら
「戦争」はあなたにとって 他の何者にもいいかえのきかない出来事だった
1944年10月のレイテ沖 軽巡洋艦・能代の艦上 米軍機の波状攻撃 散乱する死体
アビキョウカン イキジゴク ホンマツテントウ ハシリヌケル ハシリヌケル!
まだ20代の若者だったあなたは はやくも「死」のとばくちを何度も見たはず
あなたが戦争から帰って 母と結婚して最初に生まれた子であるぼくは
いまようやく 母の死んだ年齢になりました
昨年6月に他界した父について。太平洋戦争の中でももっとも激戦のひとつといわれるレイテ沖海戦に戦艦武蔵をともなう栗田艦隊の一兵卒として出陣、乗船していた艦船が魚雷の直撃で沈没し、1昼夜、レイテの海に投げ出されて九死に一生を得た体験を持つ。寡黙な親父ではあったけれども、そこで目にした地獄図を、たった一度だけぽつりと語ったことがあった。復員後、海上自衛隊創設の折り幹部要員として誘われるもことわり、一介の市民としてその生涯を全うした。
合掌。