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Present By Kyoka

ファンタジーの法則 

〜 rule of fantasy 〜

(C)深沢美潮/迎夏生/メディアワークス/角川書店

出会ってくれてありがとう(*^^*)

世間や自分に押されつつ、心に浮かぶよしなしごとを、つれづれに書き留めております。
おいでませ〜。何番?番目に訪れてくれたあなたに、素敵なことが次々と訪れますように。
( counter : since 1998/ 8/23 ) 

 

続・本日の香華に飛ぶ
続・ファンタジーの法則に飛ぶ
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NEW SENTENCE

last up data2012/10/7

表紙/10月のミステリーより

up data2012/6/24

表紙/7月の童話

あなたの心に響くことがあったなら

押してやってくださいませ。

 

 

 

 

『10月のミステリー』より

 私は自分に言い聞かせる。

 疑っているんじゃない。

 違う、と確かめるためだと。

 水嶋さんの仕立てのいいスーツの後ろ姿を追う。

 気づかれないぐらいに離れて、でも、視線だけははずさない。

 駅から続く商店街の本屋に入っていく。

 距離が近づきすぎないように、私も足を止めた。

 そこに肩を叩かれて、飛び上がるほど驚いた。声を上げなかったのは評価したいぐらいだ。

 振り返ると、祐介だった。

「何、してんの?」

 あきらかに不機嫌な声音だ。

「あら、こんばんは。私が何をしていても、あなたに関係ないでしょう?」

 私は平静を装って言った。

 1年前、こっぴどく私を振った男が、昨日、私のマンションの、しかも隣の部屋に引っ越してきた。かわいらしい彼女と新婚さんの勢いで。引っ越しソバならぬ、引っ越しタオルをゴミ箱に捨てずにすんだのは、ヤツ同様、私も新しい想いをようやくみつけていたからだ。

「・・・昨日も思ったけど、お前、顔色悪いぞ」

 そりゃそうだ。昨日はほとんど、眠れていない。でも、原因は心から誓って、視界に祐介が入ってきたからではない。もちろん祐介の登場は愉快ではないけれども。

「隣人に、そこまでお気づかいなく」

 私はなんとか笑顔を張り付かせて、本屋の方に顔を向けた。息を止めていた。

 目の前に水嶋さんが立っていた。

「藤野さん、どうしたの、こんなところで?」

 いつもの優しげな水嶋さんに見えるのに、息が詰まったままだった。

「灯、知り合いか?」

 呼び捨てに、馴れ馴れしい。あんたと私は他人、ただの隣人だろうが!

 呪縛がとけて、声にならない叫びをあげ、打ち震えていると、水嶋さんが軽く頭を下げた。

「藤野さんの同僚の水嶋です」

恋泥シリーズ(未完)
夕焼けこやけシリーズ(未完)
  

  
 

 

 


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