先日、掲示板にタイプデザイナーのゆたぼんさんから書き込まれた裏技は大変に参考になりました。アウトライン化した文字に「合体フィルタ」を加える。見た目には何も変化が生じない。しかし、それにさらに「角を丸くするフィルタ」を加えて初めて変化が生じるという。10年以上もIllustratorというソフトを使用していて、未だに気付かない色々な方法がまだまだ数多く存在していることを実感させられました。そこでこの方法は非常にユニークなので、実際にいろいろ試してみました。
図-1
上はタイプバンクゴシックをアウトライン化した状態。
図-2
何もしないで、ただ「フィルタ/スタイライズ/角を丸くする」を実行した場合は上のような状態になる。角丸になっているところとならないところが生じてしまう。
図-3
今度はゆたぼんさんの教えのように「図-1」の元画像に「フィルタ/合体」を実行する。見た目には何の変化も生じない。
図-4
「図-3」で変化の生じないものに「フィルタ/スタイライズ/角を丸くする」を実行する。角は全て丸くなるのだが、曲線部分が直線に変化してしまう。
図-5
今度は、「図-1」の元画像に「フィルタ/オブジェクト/アンカーポイントを追加」を1回実行したもの(図-5)。
図-6
「図-5」でアンカーポイントを追加したものに「フィルタ/合体」さらに「フィルタ/スタイライズ/角を丸くする」を実行する。
図-6まではIllustrator5.5・Illustrator8でも同じ結果になった。図-7からはIllustrator8での試用になります。(Illustrator5.5でも同様の結果がえられますが、パスのオフセットフィルタを実行したときに再度合体フィルタが必要になり、余分な交差部分を削除が必要となる。)
図-7
「図-7」は「図-1」で使用した元画像。
文字の大きさは200pointで角丸を2mmを得るという前提で行っています。
図-8
「図-7」のオブジェクトに「オブジェクト/パス/パスのオフセット」を選択してダイアログボックッスを出す。「図-8」のように入力設定を行う。
図-9
「図-8」のダイアログで「OK」をクリックすると
文字の内側に2mm程度細い文字が作成される。
図-10
ここではじめて角を丸くするための設定を行う。「図-9」で作成した文字に今度は「オブジェクト/パス/パスのオフセット」を選択。ダイアログボックスで「図-10」のように入力設定する。これは「図-9」で2mm細くした文字を元の太さに戻すための設定。
図-11
「図-10」のダイアログボックスで「OK」をクリックした結果が「図-11」です。元の文字にピッタリと重なって2mmの角丸文字が作成される。
図-12
「図-12」は「図-11」で完成した文字のみを残して、余分な部分を消し去ったもの。この方法で自分が必要としていた角丸文字は得られるのですが、小さな角はベベルになってしまう。しかし、この200ポイント程度の文字を100ポイント以下の大きさで使用するなら、この程度のベベルは気にならないと思う。どうしてもベベル部分が気になるという性格の人は、手作業での修正を行っても大した苦にはならないでしょう。