僕がはじめて“女神”こと『Illustrator』に出会ったのは1996年の4月1日、新入社員として印刷会社に入社したその日でした。当社は今でこそマックがズラリと並んでいますが、その当時はマックが4台しかなく、仕事に使っているのは1台だけでした。
僕は情報技術(プログラム)関連の専門学校を経て印刷会社に入社したのですが、マックは触ったこともなく『Illustrator』の存在すら知りませんでした。
そんな人間が初日からマック講習…、憶えられるわけがありません。『Illustrator』だけならいいのですが、『Photoshop』や『SMI EDICOLOR』(住友金属)など一通りのDTPソフトを入社2日間で習得するという、猛特訓を受けさせられました。そのせいか、最初の『Illustrator』に対する印象は最悪でした。
当時『Illustrator』はバージョン5.5でした。使いはじめの印象は「とにかく使い辛い」です。ベジェ曲線で思い通りに線を引けない、文字組版の機能が少ない、マニュアルは辞書なみに難しい等々。
その中でも『ベジェ曲線』には特に頭を悩まされました。それまでビットマップに触れる機会はあったのですが、ベジェ曲線は未知の世界であったため理解に苦しみました。それでも今では何のストレスもなく使うことができます。しかし、文字組版に関してはいまだに使い辛いといった印象が残っています。他のレイアウトソフトに比べるとページ機能もなく、インデントやタブも使い辛い。それもあって『InDesign日本語版』の発売が待ち遠しいです。
マニュアルが読み辛いという問題ですが、僕は一通りの機能を憶えてしまったので関係ないのですが、これから『Illustrator』を憶えようとする後輩は「読みたくない書籍のベスト3には入る」と言って読むことはありません。(笑)
他にも、意味不明なエラーが発生して一から仕事をやり直すハメになったり。本当にこのソフトで世界中のデザイナーや印刷屋が仕事をしているのかと、疑いたくなるような散々な印象でした。
Illustratorユーザーの中で、このソフトを最初から「使いやすい」とか「簡単だなぁ」と言って使っている人はいるのでしょうか?。僕は見たことも会ったこともありません。しかし、その分このソフトから離れられる人もいないと思いますが…。
僕はチラシやパンフレットを作るだけでなく、PDFやフォント作成にも使っています。こんなに“便利”なソフトはありませんよね。