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女神との出逢い No.02


 私が女神と出会ったのはIllustratorが3.2Jにバージョンアップされたばかりの1993年の事だったと記憶している。(No1のにやんこさんによると1991になっていたが…?)雑誌のレビューなどで予備知識はあった。それでもなお、初めて触って信じられない程の衝撃を受けた。それは文字の自由度の高さだった。それまで写植を利用して細かく指定し、カッターやピンセットを使って切り貼りし、細かく微調整するのが当たり前のアナログなデザインしか知らなかった私には、写植機と版下作成装置と暗室カメラを一緒にしたようなこのアプリケーションの虜にならずにはいられなかったのである。勿論、他にもすばらしい機能はいくらでもあるのだが、一番驚いたのは、あくまで文字の取り扱いの容易さだった。
 それまでの作業と言えば、仕上がりを頭の中でシュミレーションしながら、書体を決めて、1ミリ4歯という計算の元、長さから最適な書体の大きさと詰め具合を指定し、行間を設定した指定用紙から打ち出された写植の印画紙を三角定規を当てて水平直角に切り、ピンセットで貼り込んで行く。切り方がまずいと水平を出すのは容易な事ではなかった。間違えた文字は膜面を神業の如くはがし、のりを付けて再び貼り込む。指定を間違えたりしたら、ひと文字づつ切り貼りする事も珍しくはなかった。その後に文字の訂正でも来ようものなら悲劇が待っていたものだ。
 それは、カルチャーショックというにはあまりに大きな衝撃的な出来事だった。同じ経験をした方は多いに違いない。だけど、最初からMacintoshでDTPが当然という状況下でIllustratorに出会った人にはこのショックは分からないかもしれない。文字が詰められる。大きさが自由に変えられる。どこにでも打ち込めて、回転が出来て、簡単に書体が変えられて、変形出来て、反転すら出来る。しかも後でいくらでも変えられるという今では当たり前の事だが、それまで手でやっていた事は一体何だったんだろう…と、ただ唖然とするしかなかった。
 同じような事は、例えば同様にバージョンアップされたばかりのQuarkXpress3.11Jでも出来ない事はなかった。しかし、全くアプローチが違う。使い勝手の良さというか、手になじむというか、それはまるで手にピンセットを持って写植の印画紙を台紙上で貼り込んでいくような、ごく自然なインターフェースがあった。規則でガチガチのQuarkXpressと違い、使い方に色々なアプローチがあり、どんな手段を選んでも思った通りの結果を出してくれるのだ。まるでデザイナーの為にあるようなアプリケーションだと思えた。
 Illustratorを仕事で実戦で使いだすまでに1月と掛からなかったような気がする。実際、フィルムを出して納品したのはIllustratorを使いだして2ヶ月後位だった。ベジェ曲線はどういう訳かマスターするのに殆ど時間が掛からなかった。それほど自分に合っていたのだろうか。(Freehandは常にIllustratorより高機能で多機能だが未だにしっくりこない)
 Illustratorを使いだしてからデザインが変わったような気がする。それまで実現可能な事を中心に考えていたものが、まず何をしたいか…と考えるようになったからだ。やりたい事が見つかれば初めて女神様の真価の発揮となる。やりたくても、あまりに手間が掛かるので断念していたような事も簡単に実現可能になった。まるで魔法を自分が使えるようになった気さえしたものである。
 以来、私は会う人間すべてにIllustratorが如何に素晴らしいかを、相手が辟易とするほど語り続けた。聞いた人は女神に惚れて周りが見えなくなった恋煩い位にしか思わなかったかもしれない。だけど、現在のこの不況下に曲がりなりにもDTPで飯が食えているのは、きっと女神が微笑んでいるに違いないからだ…と思うのだ。
 私にとってMacintoshとの出会いはIllustratorとの出会いに等しい。Macintoshとの出会いをあつく語る人の気持ちは良く分かる。だけど、私はMacintoshというよりMacintosh上で動くIllustratorに感動したと言っていいのかもしれない。
 そして、その時以来、私はそれを超える驚きに未だ出会っていない…。



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