ROAD TO BRAZIL 2

  2001年8月1日 「ムンジアルその他の試合など」
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 ムンジアルで行われたその他の試合についてなど、印象に残ったことを書きたいと思います。

 今回の黒帯の部のチャンピオンですが、マーシオとファビオ以外はほとんどニューフェイスに入れ替わりました。これが大きな出来事ではないでしょうか。去年もその傾向はありましたが、今年はさらに顕著だったと思います。

 ガロ級ではノヴァ・ウニオンで見た強い黒帯が居たのですが、彼が優勝しました。名前はちょっと確認していません。ノヴァで見たときにすでに凄まじい動きをしていました。

 プルーマ級ではご存知の通りホブソン・モウラの牙城が遂に陥落し、ホビーニョの永遠のライバルパンピーニョもメガトンに敗れました。そして天才ヒカルジーニョと決勝で彼と争ったノヴァの黒帯が現れました。ヒカルジーニョは黒帯を取得したばかりだと言います。世代交代の波が押し寄せているようです。

 ペナ級では中井さんを1本で葬ったフレジソン・パイシャオンが登場。去年のブラジレイロで頭角を現してはいたのですが、世界大会でも4戦中3回の一本勝ちという、脅威の成績で優勝してしまいました。彼も紫帯からの飛び級で黒帯になってからはまだ日が浅いそうです。バルボザもパイシャオンに負けた試合以外にも辛勝が多く、勝つのが難しくなってきたなという印象があります。

 レーヴィ級ではシャオリン、レオジーニョがいない今回の大会、マーシオの一人勝ちに終わりました。初戦のアリアンシの選手には47ポイント取って遊んでいました。決勝はレオナルド・サントスとやるはずでしたが、レオサンは準決で腕を負傷していたため棄権。マーシオが何事もなく優勝してしまいました。

 メジオ級も1階級上げてきたシャオリンに、テレレーが敗れて王座を明渡してしまいました。難しい勝負でした。引き込んだテレレーがあらゆるスウィープにトライしましたが、万策尽きて負けてしまいました。凄いバランスです。シャオリンは今の柔術界ではパウンド・フォー・パウンドの実力者かもしれませんね。

 メイオペサドから先はうろ覚えですが、ファビオがコンプリドとの同門対決を制して優勝。しかし八百長試合でした。普通同門対決はやらないのですが、テレビ中継の関係上試合は行ったのでしょう。本気でやりあったらコンプリドに分があったかもしれませんね。コンプリドが居る限り皮肉にもファビオの王座はまだ守られそうです。

 ペサド級では僕の道場の怪物フィリップ・モレノが、ノヴァの優勝選手にボコされていたのを覚えています。僕が触れただけで3回転させられるフィリップをどうやったらボコれるのか、凄すぎてもうコメントのしようがありません。ノヴァのゴイという選手だったかな?ぺデネイラスも一押しのようです。

 そして大会最大のクライマックスはサウロvsマルガリータの対決です。アブソリュートの決勝と、自分の階級の決勝、二つともこのカードになってしまったようで、何と日本の大相撲のように一日2度この対決を拝めることになりました。

 最初はスペルペサド級決勝としての試合、会場のボルテージが最高潮に達しました。僕は縁あってかマルガリータの試合をアメリカでもブラジルでも何度も見る機会がありました。地上最強と思えるくらいの強さで、リスクを恐れず果敢に攻め、最後はどんな敵からも必ず一本取ってしまう、そういう印象のある選手です。試合でタップなどしたことのないファビオ・グージェウさえも、今年のパンナムではマルガリータの十字絞めでタップアウトさせられています。

 一方のサウロ・ヒベイロも、この階級、そしてアブソリュートでは常勝の雄です。最近はアブダビなどでの負けも目立ちますが、このルールでの無敵ぶりはやはり健在です。サウロはマルガリータにとってもおそらく過去最高の強敵でしょうから、俄然注目は集まるというものです。やはりサウロなのか、それともマルガリータの勢いが勝るのか。

 試合開始早々、小内刈りで先手を取ったのはサウロでした。そして怒涛のパスガード。やはりサウロは強し、このまま終わるのか?という迫力でした。しかしマルガリータはパスされず、立ちに戻すと今度は背負いでサウロを投げる。完全に中を舞いましたが、腹ばいで落ちたためにアドバン止まり。しかしこの辺でサウロに疲れが見え始めます。

 休みながらぶら下がるだけのサウロに、今度は完璧な背負いを決めるマルガリータ。そのままパスガード、ニーオンザベリー。最後は上からの絞めでサウロから生涯初のタップアウトを奪いました。

 大会メインイベントで行われたアブソリュート決勝では、明らかに闘志の萎えているサウロを、マルガリータは完封して勝利しました。2階級制覇です。新キングの誕生です。これが今大会の一番大きな出来事でした。

 大会の途中で中井さんがカルロスJrに呼ばれて、本部席で今後の柔術活動についてなどのミーティングを行っていました。まあ去年と似たような話をされたそうです。大きな大会をしてスポンサーを獲得しろとか、日本でプロ柔術をやるならバッハの選手も呼んでくれとか。

 その際中井さんも、先日バッハで行ったルールミーティングで聞き足りなかった部分の確認を、カルロスJrにしていました。結構長いこと話していたので、かなり詳細をチェックすることが出来たようです。新しいルールもそうですが、これまで曖昧になっていた部分なども。これらのルールを明文化し、日本の公式ルールブックも更新することになりそうです。おそらくカンペオナート辺りから導入されることになると思います。
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