ROAD TO BRAZIL 2

  2001年7月22日前編 「アリアンシ」
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 今日はアリアンシの練習方法についてお話を。前回のRTBの中でも触れたお話ですが、また改めて書こうと思います。前回認識しきっていなかったことで今回分かったこともありますので。

 アリアンシとはそもそも何なのか、実は僕もあまり詳しくないんです。ジャカレーという偉大な黒帯が最初に作ったということだけは分かります。そして彼の弟子達が各地に支部を作り、その横つながりの組織として形成されたがアリアンシという連合です。

 僕が通う道場は、ジャカレーの弟子の一人、アレッシャンドリ・パイバ先生の道場です。一日の練習は、朝7:30から、昼10:30から、夕方16:30から、そして夜19:30からの4回行われます。最初と最後のクラスをアレシャンドリが教え、昼はガブ、夕方はオハラが教えます。

 さらに夕方クラスの後にキッズクラスがあるとの噂ですが、その時間帯に道場へ行くことがないので謎のままです。試合後はキッズクラスも見学してインストラクションのノウハウを学ぼうと思っております。

 また、金曜の夜はフリーマットで自主練のみです。日曜日は休みです。僕は平日の昼と夜の2回練習に参加しています。

 今回の修行で前回と大きく違う点は、僕がここに来た時期が大会前であるか、大会後であるかという事でしょう。去年はムンジアル後にアリアンシで腰を落ち着けて練習しました。今考えてみればそれゆえにゆったりとした練習が行われていたように思えます。ゲーム性の強いトレーニングも数多く見られました。しかし今回は大会前ということで、当然のごとく試合モードの練習が連日繰り返されます。試合に出るために地方のアリアンシからも選手が集結しています。

 一番の悩みはクラスの開始時刻です。一応の開始時刻は上の通りらしいのですが、その時刻に始まったことはありません。みんなそれが分かっているのでなかなか集まらない。遅刻が遅刻を呼ぶ悪循環にはまっているようです。遅れるとかそういう次元ではなく、毎日思い切り1時間はずれ込みます。去年はだいたい8時くらいには始まったのですが、今年は8時半開始になっていました。

 アレシャンドリが登場する前に、オハラの号令と共にウォーミングアップが始まります。首、肩、腰、膝を、回す、ストレッチするなどして、それから腹筋が始まります。300回くらい。その後さらにブリッジ、脚部、股、背中などのストレッチを行い、腕立てふせがはじまります。その後肩のストレッチをして終了。時間にして20分くらいでしょうか。なぜか終わる頃にはアレシャンドリが道場に来ていて、テクニックのレッスンが始まります。日に一つ。多くても二つから三つ。

 その後は名物の勝ち残りスパーが始まります。6人くらいが元立ちして、他の道場生は道場の壁に沿ってぐるりとその周りを囲みます。勝った者はその場に残り、負けた者は列の最後に行く。新たに列の先頭の者が元立ちの人間に挑む。クロスガードから、オープンから、ハーフから、日替わりで様々なシチュエーションで15〜20分ほど繰り返します。これを”サークル・トレーニング”と呼んでいます。とても良い練習なので、ストライプルでも僕は取り入れています。

 サークルトレーニングが終わると今度はフリースパー。日本と違うのは、先生が誰と誰でやりなさいと指名するところです。1本7分〜10分。バカでかいブラジル人達と10分もやると3本でバテテしまいます。でもじっくり時間を使っての戦術を考えたりと、自分のスタイルも試合を意識したものに変わってきたと思います。こちらの人はなぜかスパーをあんまりやりません。僕はへばって出来ないだけですが、他のブラジル人達も3〜5本やったらもう上がってしまいます。練習量だけでは間違いなく日本人の方が勝っているでしょう。

 練習方法以外にも色々と日本と異なるところはあります。クラスの終わりの挨拶がないので気付いたらみんないなくなっていたりとか、窓の外へ思い切りタンを吐き飛ばしたりとか、練習中に道衣で当たり前のように鼻をかみます。これはたまらないです。道衣も洗わない人は永遠に洗わないです。

 一番笑えるのが携帯電話です。練習中、誰もが道場の片隅に携帯電話を置き、鳴れば普通に出てしゃべりだすのです。スパーの最中ですら、「ちょっと待て」と言ってストップし、普通に電話を取りに行くのです。しばらく話してから戻って来ると、同じポジションから再開します。こんな事が許されているのがいかにもブラジルらしいですね。「黙想」とか「押忍」とか教えてあげたくなります。結構面白がって真似するかもしれませんね。

 ということで道場の練習風景をお伝えしました。
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TAIRA Naoyuki
Jiu-Jitsu & Total Fighting
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