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ROAD TO BRAZIL !!

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2000/10/25 めぐり逢い・・・宇宙(そら)
 さて、いよいよ最終章です。僕の旅日記は今回で幕を閉じます。これを書き終わっ た後、僕は飛行機に乗り込む予定です。長いようで短いようで、やっぱり長かった 3ヶ月間(笑)。成り行きで始まったこの旅日記が、まさかここまで続くとは思って もいませんでした(笑)。電話のある家を借りれるまでは、デパートの公衆電話など から必死こいて繋いでいたものです(笑)。懐かしい。

 言葉の通じない異国の地では、楽しいことばかりではなく、辛いことや苦しいこと もたくさんありました。でも本当に充実した3ヶ月でした。アパートを探すのも大 変。バスや地下鉄に乗ることさえも最初は緊張でした。ここで得た友達は生涯の財産 となることでしょう。修行記には書きませんでしたが、イグアスの滝までへも飛行機 で行ってみたりしました。とてつもない大自然のスペクタクルを間近で見ることが出 来ました。全てが素晴らしい経験でした。

 では、最後のお話を始めさせて下さい。

 日曜日は再びイアッチ・クルービへ黒帯の試合を見に行きました。しかし今回は ビッグネームがあまり出場していませんでした。マリオ・スペーヒー、ブスタマン チ、ホイラーなど、すでにアブダビやバーリ・トゥードといった世界の舞台で活躍し ている選手はもちろんの事、アリアンシではファビオ・グージェウ、レオジーニョな どが不出場。おまけにシャオリン、ジョォン・ホーキといったノヴァ・ウニオン勢 は、今回のブラジレイロをボイコットしてしまったのです。僕が見たビッグネーム は、マーシオとマルガリータ、そしてテレレーくらいのものでしょうか。みんなのブ ラジレイロ離れが進んでおります。

 今、世界の柔術家達の最終目標は、ブラジレイロから本格的にムンディアルへと移 行しつつあるようです。一昔前は、ムンディアルよりもブラジレイロの方がレベルが 高いと言われた時代もありました。しかし今後その状況は大きく変わっていく事で しょう。ムンディアルこそが真の世界のチャンピオン・シップといえます。ムンディ アル王者になる為に、世界中の柔術家達がしのぎを削って戦う時代がやって来たので す。僕も何とかしてその輪の中に加わりたいです(笑)。桑原君や塩田さんといっ た、中井さんに続く柔術新世代のみんなも、きっと志を共にしてくれることでしょ う。とりあえず僕自身は、来年以降パンナムとムンディアルの二つの選手権だけに絞 り込んで調整をするつもりです。

 イアッチ・クルービでは、元GJで現在グレイシー・バッハで修行を続けている、 滝川ナオさんに再会しました。ムンディアルの時もお会いしていたのですが、その時 は「滞在中、困ったことがあったらいつでも連絡して下さい」と電話番号などを教え て頂き、本当に心強かったものです。しかし日々の生活に追われ、結局一度も連絡出 来ずに終わってしまいました。ビザの時、病気の時など、連絡すれば良かったなぁと 今頃気付きました(笑)。僕の試合の話は同門のハンゲル君からすでに聞いていたよ うです。彼は茶帯に昇級するだろうとのこと。ナオさん自身は、来週行われる別の大 会に出るそうです。ポルトガル語の学校へ通い、たった一人で修行を続けるナオさ ん。僕も一度手合わせした事がありますが、そのうち日本のプレスからも注目を集め るであろう、素晴らしい選手です。

 黒帯のファイナルには、我がパイパ道場からも2人ファイナリストが出ました。ガ ブリエルとレオ・レイチです。レオはもちろん優勝しましたが、ガブは負けてしまい ました。黒ペナです。でもガブにとっては黒帯初の試合でしたし、フレジソン・アウ ベスやマルコス・バルボーザが序盤で敗退している中で、決勝まで残ること自体が凄 いですよね。良い試合でした。僕もチームの一員としてみんなと一緒に応援しまし た。ブラジル式で(笑)。ただ一つ残念だったのが、今回中井さんが参加されなかっ た事です。ガブと優勝者の試合を見て思いました。もし中井さんが参加していれば、 かなりの確率で優勝出来たことでしょう。僕は普段ガブと練習しているから分かりま す。まあ結果論なのですが。でも中井さんも「狙うは世界!」と言っておられました し、来年の世界王者になる予定ですから何の問題もないでしょう(^^)。

 ダニエル・コヘア君は、茶帯の初試合なのにいきなり優勝していました。君の成長 は速過ぎだ。どうなってるんだ?ハンゲル君といい。何だか僕だけ取り残されたよう な気がしました・・・というか実際取り残されてるんですけど(笑)。まあ仕方ない ですね。悔しいけど、彼らに少しでも追いつけるようにがんばるしかないです。また 同じ土俵に立てるように、紫帯で実績を積んで、いつかまたチャレンジしたいです。 そう信じて、柔術で充実し続けます(笑)。来年のパンナムは、悲願の海外初タイト ルを奪取したいですね。

 道場のみんなとの最後の別れでは、淋しがりやで泣き虫の僕も、特に泣きわめくよ うなことはありませんでした(笑)。なんか実感が湧かなかったんですよね。アリア ンシを、ブラジルを離れるなんて。道場のみんなが最後にくれた言葉は「グッド・ブ ラッド」というセリフです。良い血が流れている、まあ「君はいい人だった」と言う 意味だそうです。お別れの時に言うセリフなんでしょう。僕は彼らの優しさに支えら れて今日までやって来れました。グッドブラッド、アリアンシ。

 アレシャンドリへの手紙も道場の仲間に預けましたし、みんなへの挨拶も済ませま した。もうやり残した事はありません。後は日本へ帰るだけです。そう、僕には帰れ るところがあるんです。正道会館のみんなが待っててくれる(はず)。こんなに嬉し いことはありません。アリアンシのみんなには、またいつだって会えるから。

 そう、来年僕はまたこの地に帰って来るでしょう。世界選手権で戦うために。その 時が来るまで、一生懸命練習して、自分を磨いておきます。アレシャンドリに「強く なったな」と言ってもらえるように。世界王者になれるように。

 そして最後になりましたが、この旅の実現に力を貸して下さった僕のたった一人の 先生に、この場を借りてお礼を言わせて下さい。ブラジルに来る前は、「早川をブラ ジルへ行かせる為に、プロレスで金を稼ぐぞ!」なんて言ってくれてましたっけ (笑)。平さん、本当にありがとうございました!!

 では皆さん、最後までご愛読ありがとうございました。

 日本でお会いしましょう!!
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「ROAD TO BRAZIL」は今回で終了です。
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