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  1. 養液栽培の方法
 2002年から始めた養液栽培技術の開発で心がけたのは、1)誰にでも可能な手順を示すこと(方法が平易で具体的であること)、2)理論に基づくこと(現象の背後にある法則を考慮すること)、でした。私自身としてはこの目標を達成できたと思っています。開発した装置を用いてトマトを栽培する場合の、養分および水分管理に関して、マニュアルとその根拠となる理論をWeb上に公開します。実施可能な方法が具体的に示されているか、論理の展開に誤りや不明な点がないか、ご意見をいただければ幸いです。養液栽培の経験者よりもむしろ、異分野の方からの視点を歓迎します。(2007.01.01作成;いずれ余力があればPDFファイルのHTML化をしたいと思います)


  1. 養液栽培の排液を再利用する場合の培養液管理法
    [はじめに] 動力ポンプを用いずに排液を培養液に混入して再利用する傾斜地用の養液栽培装置では、作物に供給される培養液に対する排液の割合(排液率)を2割以下に抑制すれば原理的には排液を完全に再利用できる。すなわち、系外(施設の外)に排液を排出しない一種の閉鎖式養液栽培装置となる。一般に排液率を低く保つにはコントローラを使用した日射比例制御など精密な制御、あるいは生育状態や天候に応じたこまめな給液量の調節を行うなど経験が必要とされているが、ここでは簡単な制御装置を用いて排液の発生を抑制する給液管理の手順を紹介する。また、閉鎖式養液栽培では培養液組成に大きな狂いが生じないように培養液の分析やそれに基づいた成分の調整が必要と考えられているが、排液のEC(電気伝導度)測定のみで培養液濃度を管理する方法を示す。なお、ここで対象とする作物はトマトである。

    マニュアルのダウンロードはこちら(PDF:312KB)

    [おわりに] 最後に、筆者の個人的見解について述べる。養液栽培に限らず農業では、施設内といえども天候などの影響は避けられないし、ハウス内の環境、培地や土壌の性質、使用する装置、人の手による作業、あるいは作物の株ごとに必ず誤差やバラツキがある。そのような状況の中で「精密さ」を追求すると、技術そのものはもちろん、技術開発に要するコストが膨大になりかねない。ある程度の「いい加減さ」や「大雑把さ」を許容できる方法を模索した結果がここで紹介した技術である。また、この技術開発は理論研究を基にしており、関係式を求めるための計測や分析、あるいは生育調査、最適な条件を決めるための試行錯誤をほとんど行っていない。開発に要したのはたった1名の人件費と検証試験の費用のみで、開発コストも低く抑えられている。技術とコストとの折り合いをつける考え方の一例として参考になれば幸いである。

  2. 排液を再利用する場合の給液管理法
    [摘要] 排液を再利用する養液栽培装置において、タイマを用いた給液制御装置に簡単な装置を付加することにより、排液の発生を抑制して排液を完全に再利用することができる。この給液装置を用いれば環境計測も経験も必要としない給液管理が可能である。また、分析手段を持たない一般農家にも可能な、ECのみで管理する閉鎖式養液栽培装置の培養液管理法を考案した。

    給液管理方法の詳細のダウンロードはこちら(PDF:964KB)

  3. 給液管理方法に関する理論解析
    [摘要] 排液を再利用する傾斜地用養液栽培装置において、給液管理方法、排液の発生を抑制するための制御装置、培地に必要な保水力および培養液濃度と組成の管理方法について、理論に基づき代数的に導くことができる。最適条件を求めるための試行錯誤や装置の試作、改良はほとんど必要ない。

    理論解析の詳細のダウンロードはこちら(PDF:3.7MB)


はしくれ生化学者のひとりごと・目次