今でも、君の夢を見るんだ……。
忘れた筈なのに、忘れていた筈なのに、
時折夢の中に現れては、胸の奥底に深く沈めた筈の、昂りを呼び戻す。
半年に一度あるか無いかの君の夢が、僕の現(うつつ)を震わせているんだよ。

僕の中で遠い記憶の断片となった事柄達が、混ざり合って新たなストーリーを作り上げる。
君はいつでも優しくて、あの頃と同じ微笑で、柔らかな振る舞いで、僕の前に現れる。
消え入りそうな儚さで……。

それでも、いつも君の心が遠いのは、現実世界で、もう君が遠く去ってしまったままの事を、悲しいけれど夢の中に迄記憶してしまっているからなのだろう。
そんな愛しいままの君を前にして、心の遠さに悶え苦しみながらも、心は昂り、暖かくなってゆく。

そして……、
いつからだろう。
君のそんな夢を“何か良い事がある兆(きざし)”の様な気がし始めたのは……。

君の夢を見た後、本当に良い事があったかどうか……、今ではそれも覚えていない。
もしかしたら、
そんな事も一度位はあったのかもしれない。
でも僕は、例えそれが君の夢を見た後、2、3ヶ月後の事だったとしても、君の夢のお陰だと思う。
そう思いたい……。

僕はきっと心の何処かで、そんな君が夢の中に現れるのを待っている。
あの日、別れたままの、面影で、
次に起こる何かの兆(きざし)として……。