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●ハウスマヌカン
house(英)とmannequin(仏)を合わせた日本語。仏語の mannequin(マネキン) と同じくブティック販売員を示す。80年代、モノトーンの店内にオブジェ然として無機質に立つ無表情のハウスマヌカンは怖かった。イケてる人種最先端を気取っていたが、その実態は武士は食わねど……であったことは、1986年、ややが歌って有線大賞新人賞を受賞した「夜霧のハウスマヌカン」で白日の下にさらされることになる。FA(ファッション・アドバイザー)を経て、現在では、また販売員と呼ばれることが多い。輪廻転生。

●羽柴誠三秀吉
`99年大阪府知事選挙、`00年の衆議院総選挙に出陣した豊臣秀吉の生まれ変わりを名乗る青森県出身の大金持ち。なにより度肝を抜いたのが、かぶとを被った五月人形のような装いの選挙ポスター。特に衆院選は、印刷屋さんが喜ぶ金ぴか仕様。出立ちが奇抜なわりには公約はそれほどユニークではないのが残念。ていうか、訛っているのでよく聞き取れない。ちなみにいずれの選挙も落選。

●はったい粉
関東では「麦こがし」というらしい。お湯を入れて練って食べるのだが、なんとなくジジむさい食べ物。もそもそして、口の中が「ウポポポポ」となり、今も昔もおいしいものではないように思う。

●放出
大阪市鶴見区にある地名。「ハナテン」と読む。解読しづらい地名、大阪ナンバーワン。関西人がこれを難なく読めるのは、ひとえに「車、売る?」でおなじみのハナテン中古車センターのCMの恩恵。店主の知人の母親は、以前、スポーツ新聞の「阪神タイガース、田淵放出!」という見出しを見て「タブチがハナテンてなんや?」と言ったという。恐るべし大阪人。

●花山大吉
近衛十四郎演じる「素浪人花山大吉」の主人公。おから好きの変な浪人。その子分が品川隆二演じる クモが嫌いな「焼津の半次」。 半次は曲ったことが大嫌い。続編で「素浪人月影兵庫」も同じキャストで放映された。兵庫は猫が苦手。昔、京都に「花山大吉」というカレー屋があったが、その消息は定かではない。

●原健三郎
通称ハラケン。淡路島出身の93歳。第65代衆議院議長、自民党最高顧問も務めた政治家。演説の後、はち巻きをした嫁が土下座をするのが有名。議員在職50年以上は胸像がつくられる(これは歴代3 人目で、他の2人は尾崎行雄と三木武夫)。これに執念を燃やしていたが、老齢で動きが緩慢となった今、本人がすでに銅像のようである。サンテレビの素人参加のカラオケ番組では審査員もしていた。

●バリクバヤン
兵庫県北部一帯の至るところの電柱に張られている看板。聞くところによると贈答品の店らしいが、魔法使いサリーの呪文のようで脳裏に残る。

●パルナス
「モスクワの味」でおなじみの洋菓子メーカー。「そっとかみしめてごらん ママの暖かい心が〜♪」という物悲しい音楽にしみじみしてしまう。

●ハンター坂
この坂沿いに、英国人の実業家、E・H・ハンター氏の邸宅があったことからこう呼ばれる、神戸・北野の南北の道路。神戸には、このハンター坂をはじめ、フラワーロード、トアロード、サンセット通り、パールストリートなど、気恥ずかしいネーミングの道が多いが、これらを臆することなく口にすることができたとき、初めて真の“神戸市民”になれるのかもしれない。

●パンチョ伊藤
大リーグの試合になると必ず登場する野球解説者。解説の内容より、まるでベレー帽のような“乗っているだけ”のズラが気になって試合内容はほとんどわからなくなる。

●ビールかけ
プロ野球の優勝チームの祝賀会の乾杯の後、かならず繰り広げられる光景。その是非はともかく、必ず翌日の新聞の投稿欄に、これを非難する投稿が掲載される。真夏日に氷の塊をもらって喜ぶ白くまのニュースと同じく、季節の風物詩である。

●火付盗賊改方
鬼平こと長谷川平蔵の役職。放火犯や盗賊、博徒の取り締まりを任務とする。

●ビックリマンチョコ
ビックリマン2000のシールがガキどもに大ブレイクしているが、その元祖は昭和50年代に発売された、立体的なお金や安全ピン、血糊などが超リアルに描かれた「どっきりシール」である。店主はこのシールをかなり本気にコレクションしていて、今も店主の実家の至るところでこのシールを見ることができる。

●ひとつヨロシク
広告代理店の調子のいい営業マン(たいていちょんまげ&マオカラー)が、超てきとうなオリエンテーションの後、発する言葉。90%の確率で、この前に「というわけで」という言葉がつく。

●秘密手帳
“象が踏んでも壊れない筆箱”で知られるサンスター文具から販売されていた手帳。秘密を書いても水に溶けるページや太陽光線を反射させ相手をひるませる鏡などが付いていた。これを持っているだけで気分は探偵! 余談ではあるが、店主は机の上から、象が踏んでも壊れない筆箱をめがけて飛び降りたことがあるが、筆箱は見事にまっぷたつに割れた。

●ピンクハウス
金子功デザインのレースやリボンがやたらと付いたリリカルな服。なぜかこれを好むタイプは二人連れで歩いており、その多くがデブ。不思議と中高年の女性も少なくない。ちなみに漫才師、今川大助・花子の花子もご愛用。

●フィンガー5
安室らが台頭するずっと前に沖縄からデビューした5人兄妹グループ。上から、玉元一夫、光男、正男、晃、妙子。小学生だった店主はけっこうなファンで、掃除の時間はほうきをマイクに仕立てて歌って踊った。

●藤田平
阪神タイガースのいぶし銀左打者。`81年には首位打者にもなったが、いかんせんチャンスで打てない職人バッター。幼少の頃の店主はそんなところに魅力を感じ、彼の顔写真入りの財布を持っていた。大人になってから神戸の焼肉屋で隣同士になったが、あくまで物静かな紳士だった。`84年引退。優勝を知らない選手である。

●ブラックタイガー
黒に黄色、赤、白などの縞模様がある海老。ボイルするといずれも鮮やかに発色する。東南アジアで養殖が盛んになり大量に日本に輸入されている。しかし、ブラックタイガーとは、「宇宙戦艦ヤマト」の戦闘機でもあり、店主はこれを操縦していた加藤のファンだった。

●プラッシー
1958年〜米穀店を中心に販売されていた武田食品のオレンジジュース。なんとなく薄い味。りんご味のマリンカもあった。親は米穀店で売ってることに安全性の根拠を見いだし、さかんに店主にすすめたが、ガキどもはチェリオやミリンダやファンタを好んだ。プラッシーの後に出てきたのが「C1000」シリーズである。

●プラム梅川
`79年、1月26日、三菱銀行(現・東京三菱銀行)北畠支店に、猟銃を持って押し入り、行員たちを人質にとってろう城した犯人。本名、梅川昭美。月亭可朝のようなパナマ帽を被ったラテンな容貌と猟奇的な事件の内容はもちろんだが、彼の自宅アパートの表札に、キュートな書体で「プラム」と表記されていたこと。また、彼が射殺され、その遺体を運ぶ刑事が大勢の報道陣の前で、すってん!と転び「でへへ」と思いっきりテレ笑いをしたシーンが、未だに目に浮かぶ。

●ブルドック
フランス原産のマスチフ系の犬、そしてソース。しかしやはり、フォーリーブスがゴムを伸縮させながら「にっちもさっちもどうにもブルドック、うっ!」と歌って踊る姿に軍配が上がる。

●ヘドバとダビデ
イスラエル人デュオ。`70年代に日本語で歌った「ナオミの夢」がヒット。これ以降、外国人が日本語で歌うパターンが定着し、後のベッツィー&クリスの「白い色は恋人の色」のヒットにつながった。しかし、ヘドバとダビデ。イスラエルでは、普通なのであろうが、脳裏からなかなか離れてくれない、強烈な名前である。

●ペナント
細長い三角形の旗。かつては土産物の最右翼アイテムとして君臨。以下、木刀やご当地名入り提灯、通行手形、回転式の日めくり付きのオブジェ、目が飛び出る骸骨のキーホルダー、傾けると裸になるおねーちゃんのボールペン、貝殻で作ったカッパ等の人形などが続く。この頂点に立つのが、北海道土産の鮭をくわえた木彫りの熊である。

●紅粉船長
冷凍貨物船第十八富士山丸の船長、紅粉勇。1983年11月1日、はまぐりを運んでいたときに、密航者を発見したことが原因で、北朝鮮に密航幇助とスパイ容疑で北朝鮮に6年11ヶ月拉致された。事件の内容はもちろんだが、紅粉船長がビートたけしに酷似していることに驚いた。

●ベレー帽
水兵さんやボーイスカウトの制服であるが、店主は幼少の頃、漫画家が被るものだとかたく信じ、これを身に付けることを拒んでいた。ベレー帽の似合う人ベスト3は、手塚治虫、トニー谷、大久保清。

●ボウタイ
ループタイともいう。元教師などがよく身に付ける。どちらかというと現役リタイアした人々の準正装ルックとして、Vゾーンを飾る。このテの人は俳句や詩吟など、文化的な趣味を持つタイプが多い。環境はリタイアしているが、気持ちは現役でありたい。ボウタイはその証しであり主張である。

●ほたえる (京阪)
暴れる、という意味だが、金属バットを振り回す、というよりも、どちらかというとふざけてバタバタするというニュアンス。「そんな床の間でほたえたら掛け軸が落ちる!」てなあたりで粗暴性はない。

●ポテチン
京唄子・鳳啓介の漫才のなかで、唄子にさんざこきおろされた啓介が、言葉につまり自嘲的に発するセリフ。啓介の「エッ、鳳啓介でございます」の「エッ」は、口を横に開いてドイツ語のように「ア」と「エ」の中間の音を出すとうまくいく。

●ポン菓子
店主の幼少の頃、よく物売りがこれを売りにきた。お米を渡すと、その場で大きな釜の中に米を入れ、下から火で暖める。暖めている間はお釜をハンドルで回転させつづけると「ポン!」と大きな音がして、お米がポップコーンのようになる。砂糖を一緒に渡すと甘くなる。この一連の作業がおもしろくて、物売りが来るたびに購入するのだが、すぐ飽きて湿らせてしまう。

●ボンタン飴
鹿児島のセイカ食品が大正14年から製造している飴。キオスクの必須アイテム。大阪の図案家による南国情緒あふれるパッケージが今や逆にイケている。昭和23年には抹茶味の「兵六餅」も製造販売。こちらは、臀部まるだしの褌姿がパッケージ。いずれもオブラートで包まれた粘度の高い飴で、入れ歯の人にはけっこう辛い。

●ポンチャック
韓国歌謡の源ともいえる音楽。ややもするとB級扱いされがちではあるが、一部愛好家には根強い人気がある。チープなシンセのオケで、韓国の民謡やナツメロを延々とメドレーで歌い続けるハイ・テンポな音楽。ポンチャックには踊りがつきもので、民謡系フリースタイルともいうべきホッスルというステップがある。李博士(イ・パクサ)が代表的歌手。日本では電気グルーヴとのリミックスで知る人ぞの存在だが、本国ではあまり知られてないのが残念。店主は、彼のCDを探しに、ソウルまで出かけたが、どこのレコード店でも、怪訝な顔をされてしまった。ディスカバー・ポンチャック