●涙の水洗いキーボード

改めて語るべくなく、私の部屋は汚い。当然、PC回りも……、いや1日のうちで一番長い時間を費やす、ここらへんが最汚染エリアである。特にキーボードは、お菓子の食べカスや虫の死骸、綿ぼこり等々の攻撃を被り、「ぐいっ!」と力を込めてぶったたかないとスムーズに動いてくれない。そんなとき、ふと、ある人物(カズ氏)の言葉を思い浮かべた。その人は、パソコン本体も何もかも、すべて水洗いするという。「特にキーボードは簡単だよ!」と爽やかにいってたな、確か。なーんだ、簡単じゃん! 「さてと、天気もいいことだし、いっちょ洗うか!」と、くだんのカズ氏が「まず、1日放電させて、解体して云々」などと、説明してくれていたことなど、きれいに忘れ、やおらバスルームで、キーボードにジャジャジャーとシャワーをかけた。出るわ、出るわ、黒い水。長年の溜まりに溜まった澱が流れていく。うーん、爽快! なんてドラスティック!

流れる水もきれいになったところで、キーボードをブンブン振り回し、水滴を飛ばす。そしてタオルでふきふき。しかし……、ここでフト不安に襲われる。「水分がちょこっとでもあれば、電気通すとまずいのでは?」。これはいかん! と、ティッシュペーパーでこよりを撚ること数十本。撚っては、キーの間にこよりをつっこみ、水を吸いだす。撚って撚ってまた撚って。ひとつ撚るのも親のため。嗚呼、女工哀史。プロレタリア文学ばんざい! しかし、こよりの残がいが小山になったところで、力尽き果てる。「ちくしょう! こより作り過ぎで、親指と人さし指が痛いよぅ!」。キーボードの裏を見やると、そこは細かな水滴でもぉわ〜んと霞んでいる。ああ、すべてをあからさまに見せてしまうスケルトン仕様が恨めしい。くそう!「誰かiMacオーナーはいねーか〜」と、いのうえ画伯に電話する「えーとぉ、使ってないキーボードとかない?」 画伯「あるかい! そんなもん!」。えーん、どこか電気っぽいクライアントは……、おお! それはドス○イ! 某PC雑誌の編集J氏に助けを求め、当該事象に関する記事のファクスをもらう。

記事によるとキーボード水洗いは、間違いではないらしい。それどころか洗濯機で洗うことをすすめている。が、しかし! これは、水洗いだ。私が使ったのは、たしかお湯……。だめじゃん! さらに「日陰の風通しのよい場所で陰干しにし、最低3日は干すこと。とりあえずスペアのキーボードを用意してからトライしていただきたい」と、ある。3日も待てねーよ、明日、入稿なんだよっ! おまけに外は雨。ならば、解体して拭けばいいじゃんと、ドライバーで、ネジを回したはよかったが、スカスカ空回り。キィ〜!! となってネジをぐりぐりしたら! ネジ山が壊れてしまいました。はい。とりあえず、購入してから電源を入れたこと通算10回未満、埃をかぶりまくったVAIOの電源を入れる。インターネットの設定に翻弄されること約3時間。ああ、きらいだウインドウズなんて。こんなの人間が使うもんじゃねーよな。ビル・ゲイツ逝ってよし! などと悪態つくも空し、梅雨の宵。

翌日、くだんのいのうえ画伯の家に押しかけ、隠していたiMacのキーボードを借り受ける。ふふふ。水洗いして返してやるぜ! そしてその翌日は、もみさんがマイルームに訪れ、キーボードの解体&部屋の掃除をしてくれる。さらには、その翌日、岡田カメラマンより、「余っているからあげる」というキーボードが着払いで届く。ああん、なんて幸せものな私なんでしょう。ご迷惑をおかけした皆さまありがとうございました。生きとし生けるものに感謝!

汚染度の激しいPC回り。食卓の上がモノだらけなので、ここで食事することも少なくないせいか、食べこぼしがあちこちに。また、ここで化粧をすることも多いので、キーボードの間には、ファンデーションやパウダーの粉も累々と……。でも、いちおーiMacのタンジェリンカラーとコーディネートして、グッズの色なんかも、揃えてみたりしているところが健気だと思っている。

解体後、更に水洗い。けっこう気持ちよかったりする。キーの間の水は、こよりを使って吸い上げよう!

皆さま、たいへんお騒がせしました。