あなたの街にもある、こんな店

こんな店はイヤだ!

*これらの店は実在しません。でも実在したらかなりイヤだ。


こんなそば屋はイヤだ!

●店主のプロフィール

大阪府東大阪市出身。近畿大学商経学部卒、道修町の専門商社勤続12年目。とある田舎町で食べたそばのおいしさに開眼。かねてよりの麺好きで、本町の「やなぎ」のカレーうどんが好物だったこともあり、一念奮起して脱サラ。近鉄沿線、河内永和に手打ちそば「風花庵」を開店。開店資金は、退職金と財形解約で250万、嫁の実家から300万、大阪府中小企業支援団体から200万。

●修業
カルチャーセンターの「手打ちそば教室」に3ヶ月。後独学。
●内装
どっしりとした黒塗りの古木を使用。流木などをさりげなくレイアウト。
●什器
テーブルは東急ハンズで購入した自然な木のフォルムを生かした一枚板。
椅子は切りっぱなしの木の株。器は嫁の父が趣味で焼く、備前焼もどき
●メニュー
和紙に326風の筆文字。木の表紙付き。絵手紙風のイラストあり。
●ショップカード
材料を吟味していることや店主のこだわりをつらつらと書く。
さりげなく「オレ的生き様」も込めてある。
●BGM
モダンジャズ。だけど客のいないときはもっぱら演歌。たまにJポップも。
●酒
地酒中心。銘柄のことはよくわからないので、セレクトは近所の酒屋に一任。
●ユニフォーム
もちろん作務衣! 無造作に束ねたちょんまげ。足袋とゲタは一応そろえたが、はき慣れないため足に水膨れができるのでタビックス健康サンダルを愛用。
●そば粉
もちろん、国内産の玄そばを使用。じゃまくさいので1日1回しか打たない。
でも、取材では「季節や温度、湿度に合わせて、そば粉の配合を調節。
香りを大切にしているので、オーダーがあってからそばを打ちます」とか言う。
●つゆ
だしは、いちおうかつおとサバと昆布からとる。醤油はヒガシマルとキッコーマンをブレンド。みりんと酒は中の上のもの。砂糖は三温糖。塩は赤穂塩。でも取材では「だしは、かつおを中心に数種類の雑節をブレンド。醤油は、銘柄は言えませんが、厳選した醤油を合わせています。みりんは三河みりん、酒は吟醸酒、砂糖は沖縄のミネラル分の多い、きび砂糖、塩は原塩を使っています」とか言う。で、追及されれば「企業秘密です」と逃げる。メニュー内容は「ざる」「もり」の冷たいそば中心。先月から、妥協してランチに定食も始めた。でも、内心はもっとメニューを増やし、できればうどんも組み入れたいし、出前もしたい。そのジレンマのせいか最近脱毛がひどい。


こんなフレンチはいイヤだ!
●店主のプロフィール
岡山県赤磐郡瀬戸町出身。同志社大学で文化史を専攻。3回生のときに休学してパリに遊学。渋澤達彦とジョルジュ・バタイユが愛読書。ゲンズブールに心酔している。きまぐれにバイトしたサンジェルマンのブラッスリーで、なんとなく料理を覚える。もともと手先が器用なので、スタンダードなものはマスターしてしまった。ポトフが得意。もちろんゲイ。帰国後大学を中退し、ゲイのシェフがいるビストロでバイトする。痴話げんかで店を辞め、祖父の遺産で松ヶ崎にビストロを開業。店名は「ポトラッチ」。
●内装
ウッディでちょいリリカルなペンション風。壁には鍋やフライパン、フェイクなタマネギ、唐辛子、ドライフラワーなどを飾る。クロスは淡いパープル。常に花は欠かさない。なぜか鏡が多い。BGMはシャンソン、たまにアルゼンチンタンゴ
●メニュー
テリーヌやパテ、リエットに異常に凝る。ポトフ、クルート、ラタトゥイユなど、オーソドックスなものが中心。間違ってもヌーベル・キュイジーヌ系は作らない。味を極める職人気質は本意ではないので、アラカルトはほんの添え物。コースが中心。
●取材泣かせ
「別に何も変わったことしてないよ」「全部おすすめです」とか煙に巻く。
質問を無視して「パリの空ってさー」「料理って愛だよね」とか勝手なことを言い出す。かと思えば「フランス料理とは、メディチ家の・・」と講釈たれる。小奇麗な男のライターが来ると、とたんに機嫌がよくなり、高いワインをあける。

こんなエスニックはイヤだ!
●店主のプロフィール
和歌山県串本町出身。父親は漁師。実家は釣り船を持つ民宿を経営。大阪芸術大学舞台芸術科卒。アジアが好きで、夏休みや春休みには、ベトナムやタイを拠点に、アジア各地をリュックひとつで地球を歩く。富田林のチャイの店でアルバイトしていたとき、店に出入りする客を相手に、アジア各地を紹介するフリーペーパーを発行する。その中でコラム「激うまアジアごはん」を連載。常連たちの「おいしそう」という声に触発され、皆にふるまっているうちに「イケるかも?」と、ナニゲに阿倍野に開店。営業時間は昼〜深夜。
●内装
元スナックの什器はそのまま使用。バティックやインド綿などを使った手作りインテリア。旅先で買った象の置物やバリの影絵人形などを無造作にレイアウト。お香はお約束。BGMはシタールの音色。器はベトナムのチープなもので揃える。壁には友人が参加している劇団やバンドの告知ポスター。一心寺シアターのスケジュールも。
●メニュー
ベトナムはゴイクン、フォー。インドネシアはナシゴレン。タイはヤムウンセン、トムヤンクン。韓国はパジョン、冷麺など。デザートはチェーやタピオカティー、サーターアンダーギーなど。おすすめのトムヤンクン鍋は、クノールの固形スープを利用。ピリカラそばは、インスタントもの。シンハーやサンミゲル、333,バリハイなど、アジアなビールを揃えているのが自慢。
●イベント
芸大時代の仲間の詩の朗読会やパントマイム、コスプレ、一人芝居、ピアニカ演奏会などを不定期に開催。年に一回、常連達とチベットなんかのアジアツアーを開催。去年はモンゴルのパオ生活を企画。一昨年はチベットトレッキングの旅。アジアツアー専門代理店・風の旅人社、道祖神などとタイアップ。今年はアフガニスタンのバーミヤーンへ石窟寺院見学の旅14日間を企画。54万円也。あくまで知識といいながら、タントラも大好き。トイレにはタントラのタンカが。
●本場の味
ソースやスープは、すべて袋、あるいは瓶から出したそのまま。麺はインスタント。しかし、取材では「メニューは自分が実際にアジアを歩いて出会ったものばかり。
スパイスなどはすべて本場のものを直輸入しています。
日本人向けのアレンジは一切していません」と言う。


こんなペンションはイヤだ!
●オーナーのプロフィール
兵庫県尼崎市出身。大阪市立大学卒。遅れてきた安保世代。学生運動を夢見て市大に入ったものの、70年安保はもう下火だった。マルクス、ジンメル、マックスウェーバーはひと通り。小田実も少し。現在は柄谷行人が愛読書。卒業後は、予備校の講師を目指すも、採用されず、電機メーカーに就職。営業畑から労務に異動になったとき、挫折を感じ、転向。八重山諸島に半年住んだ後、菅平にログハウスを建て、ペンション「いちごの森」を始める。家族構成は、大阪女子大学卒の嫁と「こんにちわ!」と無駄に元気のいいガキ2人、ラブラドールリトリバーの「チャッピー」と柴犬「子太郎」、雑種の「小雪」、アメリカンショートヘアの「ミーシャ」、うさぎの「ぴょん」、ハムスターの「ハムテル」。趣味は陶芸とトライアスロン。ニックネームは「ヒゲさん」。
●料理
自慢は、地元の素材を使った欧風料理もどき。とろとろロールキャベツのクリーム煮込み、ことこと煮込んだ山の幸カレー、無農薬有機栽培の元気サラダ、具だくさんのあったかみねすとろーね。料理には必ず「ヒゲさんの焼いた天然酵母パン」が付く。食後は自家製ハーブティーかチャイ、たんぽぽ珈琲。ヨーコさん(嫁)お手製の果実酒もおすすめ。洗い物は空くん(ガキ)と、風ちゃん(ガキ)が担当。最近、自家製ベーコンも手がけた。
●オプション
希望すれば、ヨーコさんお得意の「トールペインティング」「ステンシル」「デコパージュ」講座も受講可。もちろんレジ横でヨーコさんの作品は展示販売。「WELCOME」とか。おみやげにおひとついかが。1点2800円。近々、ひげさんのウッディクラフトも並ぶ予定。ペン立てとか。推定価格12000円。(時間がかかりますから…)。ヒゲさんがインストラクターをつとめる陶芸教室も不定期で開催。
●お風呂
大きな天窓が自慢。ホーローの浴槽のお湯にはみかんの皮を乾燥させたものやハーブなどを入れる。でも入浴時間は23時が最終ね。「早く入ってください」。オフ期に宿泊すると、ヨーコさんや風ちゃん達の入浴後という可能性も。到着したらすぐに入っておきましょう。もちろんシャンプーはリンプー。あひるとかガキどものおもちゃが転がっているのもアットホームな雰囲気。
●ミーティング
食後はハンカチ落としなどのゲームの後、食堂でヒゲさんの弾き語りコンサートを開催。あがた森魚、岡林信康、高石ともや、六文銭、NSP、5つの赤い風船、浅川マキ、吉田拓郎など。十八番は「赤い橋」と「かもめ」「メリンダ」「想い出の赤いヤッケ」「プカプカ」「落陽」「ペニーレインでバーボンを」。たまに「チューリップのアップリケ」や「夕暮れ時はさみしそう」も。
宿泊客相手に「オレの生き方」を説く。そして「愛って何?」とか問い掛ける。
ちなみにミーティングの時には、ヨーコさんお手製のハーブクッキーが出ます。お茶もセルフサービス(入り口にカップとポットとティーバッグをご用意しましたからご自由に)。チェックアウトまでに、ぜひ「いちごの日記」に、思い出を綴ってください。書棚には椎名誠、赤瀬川原平、北方謙三、蔵前仁一と「買ってはいけない」「こちかめ」「美味しんぼ」「男樹」が並んでます。ヨーコさんコレクションの少女漫画は、「いちご文庫」として閲覧開放。「生徒諸君!」の庄司陽子などフレンド系が充実。白泉社系はない。
●将来の夢
本気で不登校の子供たちを集めたフリースクールを作ろうと考えている。カリキュラムは、まき割りや飯ごうでのご飯炊き、トライアスロン、陶芸、無農薬野菜作り。
いつかはNHK(制作:NHK中国支局)に取り上げられたい…ETV特集ぐらいがウレシイ。タイトルはクレヨン系の手書き文字で「いちご教育論〜ヒゲさんのフリースクール135日〜」。ナレーションはできれば柳生博で。BGMは姫神。お礼に「どーもくん」グッズがもらえたら、子供達も喜びます。ゲストルーム以外、特にリビングの31型テレビのチャンネル権はヒゲさんのもの。もっぱら写るのはビデオ録りした「神々の詩」「北の国から」。

こんなスナックはイヤだ!
●ママのプロフィール
大阪市西淀川区出身。福島女子高校中退。西淀のボビン工場に勤める。18歳で、総会屋の使い走りをしていた同い年と結婚。一男(翔太)一女(桃子)をもうけるが、旦那の服役中に勤めていたソープの支配人との浮気バレ、離婚。もめた際に殴られた後遺症で今も片頭痛がひどい。現在、息子はトヨタカローラオート寝屋川店勤務、娘は店を手伝う。
●内装
居抜きで借りた福島区聖天通りのペンシルビルの4階。店名は「来夢来人」(ライムライト)。客のくれた全国各地のいやげもの(マルcみうらじゅん)が飾られる。民芸調の家庭的な雰囲気。「めちゃうま特製やきそば」など、桃子の書いたマル文字のメニューも。タンバリンとマラカスは常備。氷とミネの下には、ロベルタのハンドタオルを敷く。サニタリーグッズはピエールカルダン
●メニュー
セット3000円。スーパーニッカが標準。ヘネシー、いいちこ、吉四六、日本酒も。ミネラルウォーターは、瓶をリサイクル。中身はミズトピアでろ過した水。かわきものは、かっぱえびせんやドンタコスなど、マルエーで買った袋菓子。つきだしはママお手製の水菜とお揚げの煮物や肉じゃが。サッポロ一番塩ラーメンも。
●カラオケ
ママの十八番は、「大阪情話」「花街の母」「釜ヶ崎人情」などもず唱平作詞のセリフ入りのもの。あるいは「女町エレジー」「新宿そだち」「カスマプゲ」「無法松の一生」。桃子は「時の流れに身をまかせ」「越冬つばめ」「天城越え」など不倫もの。1曲100円。回数券あり。
●客層
商店街の店主。公害訴訟でもめる西淀の工場に勤めるブルーカラー。スーツ&ネクタイ率0,03%。話題は「みかじめ料を払うか否か」「来月のボウリング大会の景品」「桃子の婿さがし」「リストラについて」など。ママの「しょせん、浮世のことや。みんながんばらなあかんよ!」でオチがつく。

こんな和食はイヤだ!
●店主のプロフィール
兵庫県姫路市出身。父親は公務員。調理師専門学校卒。三セク経営の冠婚葬祭会館の料飲部に就職するが、封建的な職場にイヤ気がさし、1年で退職。その後、京橋の居酒屋に勤める。3年目の春、煮物・焼き物ひととおりこなせるようになったという、大きな勘違いから独立開業。創作日本料理「味彩 ZEN」をオープン。
●内装
外観は一見民家風。看板は凝視しないとわからないくらい小さい。引き戸もかがまないと入れないほど小さい茶室風。コンクリート打ちっぱなしの箱に、黒竹を大胆にレイアウト。和紙を使った間接照明を多用する。カウンター7席と掘りごたつスタイルの小あがり3卓。野の花中心の生け花。BGMはモダンジャズや癒し系の音。
●スタッフ
全員、作務衣をアレンジした中近東スタイル。茶髪・ヤンキー率高い。

●メニュー
明太子だし巻き680円、じゃこごはん580円、豆腐とキノコの和風グラタン880円、お肉屋さんのコロッケ380円。なぜか豚キムチ530円も。彩コース3800円、ZEN懐石5800円。毎週火曜日は女性のみ手作りデザートをサービス。ピーチツリーやカシスオレンジなど、スィートなリキュールを使ったカクテル多い。日本酒「あっ、不思議なお酒」も。

取材では、
自分が行きたい、と思えるような店を作りたかった。日本料理をベースに、ジャンルにこだわらず、自分が食べ歩いてみつけた、いろんな美味をいいとこどりしました。
フランス料理の経験もあるので、フレンチのテイストも随所に盛り込んでいます」
などとほざき、なぜか某有名料亭で修業した、という経歴になっている。「いらっしゃいませ」のかわりに「お帰りなさい」、「ありがとうございました」のかわりに「いってらっしゃい」と言う。オーダーすると「よろこんで!」と元気に応える。


こんな雑貨屋はイヤだ!
その1
●店主のプロフィール
父親は大手鉄鋼メーカーの次長。母は専業主婦。神戸市西区在住。大阪の服飾専門学校を卒業後、大手アパレルメーカーのパターンナーとして就職。5年目の春、なんとなく退職し、大阪の南堀江で雑貨&カフェをオープン。
●内装
元民家を改築した店内は、ステンレスと石、自然木のコントラストが際立つモノトーンな空間。ネオン管とブラックライトのライティングで凝ったつもりだが、おとなしめの器とのチグハグさは否めない。
●商品ラインナップ
いちおースタルクやイームズのイス、海外旅行の際に購入したミッドセンチュリーものを少し。しかし、とてもそれだけではもたないため、大手メーカーから仕入れしたビビッドなステーショナリーがズラリ。専門学校時代の友人が制作した自称「アート」なアクセサリーやフォトフレームなども。取材では「作家もの、一点ものの作品も揃っています」と鼻息荒く答える。
●カフェ
申し訳程度にテーブルを3つ設けたカフェのウリは、自家製ワッフルとベーグルサンド。自家製と言いつつも、ワッフルの生地は、市販のホットケーキミックスを使用。
その2
●店主のプロフィール
元雑貨店スタッフ。時給650円でこきつかわれる日々にうんざりし、独立開業。店舗はミナミのはずれで、祖母が趣味でたばこ屋兼・手芸品の「趣味の店」を営んでいたところをそのまま使用。家業は代々続く米屋。
●内装
しっくい壁は白いペンキでペイント。コンクリートブロックに白木の板を渡した簡単なひな段。木製の看板はサイケな文字で「ちゃんぷるー屋」。1日中お香を焚いているのでなんだか臭い。
●商品ラインナップ
ベトナム、インド、タイなど東南アジアの食器が中心。ベトナム製のアルミのスプーンなど、現地の20倍のえげつない価格をつける。中国の毛沢東グッズや自分がファンの香港映画のポスターなどもさりげなく。ネパールのストールなども売っているが、1日中焚くお香の香りが染みついてあまり売れない。しょっちゅう友達がいりびたっており、客が来てもほっておくので、万引きが絶えない。


こんなラーメン屋はイヤだ!
●店主のプロフィール
大阪市立の工業高校中退。欄間職人を目指すが、「盗んで学べ」という親方の時代錯誤な仕事の進め方にイヤ気がさし、暴走族時代に身に付けたドライブテクニックが生かせるかも、と、運送会社に勤務。全国各地を走るうちに、津々浦々で食べたラーメンの味に感動! 資本金100万で鴻池新田にラーメン屋を開業。
●内装
元ラーメン屋を居抜きで借用。オレンジ色のカウンターになぜか民芸調のスツール。
水のコップは、そこらへんからかき集めたワンカップ大関とモロゾフのプリンの空き瓶。14インチのテレビでは、もっぱら阪神タイガースのナイターを中継。阪神のチャンスには、調理の手が止まるのがネック。雑誌は「週刊宝石」、サンスポを常備。
●こだわり
豚骨と鶏ガラでとっただしと秘伝(?)の醤油ダレをあわせたスープが自慢。門外不出のレシピは、「味の素」と「ハイミー」のブレンド。グルタミン酸とアスコルビン酸のブレンドによって、えもいわれぬ・・・ってホントか? 水はミネラル水を使用。背脂を希望に応じて増減するフレキシブルさをウリにしている。麺は大手メーカーの中の上ランクのものを使用しているが、取材相手には「粉は独自のブレンド。十分に生地を寝かしてコシを出しています」とかいう。
●にぎやかな壁
壁には店主独自の「全国ラーメンランキング」をデカデカと黒マジックで表記した一覧表張ってある。例「京都・天下一品 白っぽいとろとしたスープがゲキうま!」(原文ママ)という一言コメントも添えられている。もちろん壁には「ミネラル水使用!!!」「オリジナルのしこ&しこ麺」などど、右肩上がりのヘタな文字で書かれた短冊も。さらにガキ(紗也加2歳)と嫁のポートレートや自分の野球チームの集合写真なども。

こんなパン屋はイヤだ!

●店主のプロフィール

元公務員の夫と団体職員の妻が、子供のアトピーに悩み、自然食を追及するうちに帰結した自然派パン屋。京都のエコな街、一乗寺に「パン工房・夢民」(むーみん)を開業。

●内装
自然食仲間たちと手作りしたレンガ窯が自慢。白木と自然木を用いたウッディーでナチュラルな空間。パンにはひとつひとつ「ぱんぷきんぶれっど 熊本県産の有機栽培のかぼちゃをたっぷり使っています。レーズン種使用、ミルク・バターは一切使っていません」「五穀ぶれっど アマランスやひえ、あわ、きび、麦などミネラルたっぷり! 国内産小麦 はるゆたか使用」などと、能書きがつらつらと筆文字で書かれている。
●こだわり
もちろん、無添加、有機栽培の素材のみを使用。アトピーでも食べられるパンが多いのが自慢。当然、天然酵母を使用! あんこやクリームなども自家製にしたいのだが、酵母の管理にてんてこ舞いで、そこまで手が回らず、市販のものを使っている。取材などで、そこらへんをつっこまれると、「うちは、ハード系の食事パンが自慢なので・・」と苦しい逃げ。
●信条!
とにかく体にいいこと! にプライオリティーが・・。しかし、パンがまずいという大きな欠点に気がついていない。客が天然酵母について少しでも質問すると、有機栽培、マクロビオティック、ベジタリアンなど、延々と話が止まず、パンの倍ほど、それらの能書きを書いたパンフレットをもらうハメになる。
●常連たち
昔、学生運動やってました〜の元リブ系のおばさま方。ボランティアや地域活動に積極的参加する行動的なタイプ多し。なぜか皆、ノーメーク。店舗は、無農薬野菜の共同購入の連絡先にもなっている。

こんな京都の老舗はイヤだ!
●店のプロフィール
創業寛永年間の和菓子屋。店主の言う「この前の戦争では・・」は、第二次世界大戦ではなく、「応仁の乱」であることはいうまでもない。
●内装
築100年以上の町屋。建て付けの悪い引き戸が、老舗の証。凝視しないと判読できない、文字が消えかかった看板も「わかりにくうて、すんませんなぁ」と言いつつ実は自慢
●こだわり
創業以来の伝統の製法をかたくなに守る。その製法は、一子相伝、門外不出の秘法……らしいが、それほど難しいものではないようにも推察される。和菓子は、その日に売る分しか作らず、売り切れ御免を身上とす。
●いけず
取材の機材に対して「大きい荷物で大変どすなぁ(柱にぶつけんといてや)」。「急なお話で何にも用意できんと、すんまへんなぁ(もっとはよ言うてこんかい!)」と、穏やかな笑顔の裏に、どろどろととぐろを巻くいけずがどっさり。地方者が「河原町(かわらちょう)はどこですか?」と間違って尋ねた場合、「河原町(かわらまち)」だと、すぐに推察できるにもかかわらず、「かわらちょう? そんなとこ知りまへんなぁ」と答える。
●将来展望
百貨店進出を目論む、中学校からの同志社卒の11代目との間に喧嘩が絶えず、妥協して百貨店の「京の老舗フェア」の催事ものには、数アイテムを出品。しかしながらボンボンの11代目は、店舗に隣接する町屋を改造して、和モダンなテイストの和菓子カフェのオープンを虎視眈々と計画中。