[東京のまちづくり情報]

北側に前面道路がある場合の天空率の取扱いに関する考察

文責:鈴木繁康20051124

 敷地の北側に前面道路がある場合の、北側高さ制限に体する天空率の適用の可否について、考察してみましょう。

 まず、北側高さ制限に対する天空率の算定位置は次のように規定されています。

(法第五十六条第七項第三号 の政令で定める位置)

令第百三十五条の十一  法第五十六条第七項第三号 の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。

一 当該建築物の敷地(北側高さ制限が適用される地域内の部分に限る。)の真北に面する部分の両端から真北方向の法第五十六条第七項第三号 に規定する外側の線(以下この条において「基準線」という。)上の位置


  ここでは算定位置を基準線上に設定しなければならないことを規定しています。

  基準線とは「敷地の真北に面する部分の両端から真北方向の法第五十六条第七項第三号 に規定する外側の線」です。

  法第五十六条第七項第三号の規定は次のとおりです。

法第56条第7項

三 第一項第三号、第五項及び前項(同号の規定の適用の緩和に係る部分に限る。)

 隣地境界線から真北方向への水平距離が、第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内の建築物にあつては四メートル、第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域内の建築物にあつては八メートルだけ外側の線上の政令で定める位置


 この条文では、隣地境界線に対する4mまたは8mの算定位置を定めています。しかし、道路境界線や前面道路の反対側の境界線についての規定はありません。

 この点に着目して、JCBO(日本建築行政会議)の市街地部会は会員向けのQ&Aで次のように回答しています。

法 第 56 条第 7 項第 3 号には「前面道路の反対側の境界線から真北方向への水平距離」 との規定はなく、したがって天空率の算定位置を配置できないことから、(北側に道路がある)の敷地の場合は 本制度を適用できません。

 この回答も一理あるところですが、論理解釈として成り立つものなのか、検証してみましょう。

 まず、法第56条第7項の本文は次のように規定しています。

7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。

 ここでは、天空率の算定は「当該各号に定める位置において」行いなさい、と規定しているだけです。また、第3号に、北側に前面道路がある場合には天空率を適用しない、との規定はありません。

 論理解釈としては、北側の前面道路に対応する基準線の有無に関わらず、「隣地境界線から真北方向への水平距離が4mまたは8mだけ外側の政令で定める位置」で算定すればよいことになります。

 それでは、北側に前面道路がある場合の天空率はどのように算定することになるのでしょうか。

 図01は、前面道路が真北に対して45度振れたケースです。このケースでは北側の隣地境界線に対応する基準線上の算定位置から北側の前面道路の境界線を見渡せます、

 この算定位置で適合建築物と計画建築物の天空率を比較することができます。

 図02は、前面道路が真北に対して直交している場合です。この場合は、基準線が点になってしまいますが、これは直線が限りなく短くなったものと解釈します。

 このように、北側の前面道路が真北に対してどのような角度になっていても、北側の隣地境界線に対応する基準線上の算定位置において、天空率を算定することができます。

 この算定方法が不合理であって、天空率を適用することができないというのであれば、北側の前面道路に対する基準線を規定するなり、天空率を適用させないなりの条文の整備が必要になります。