■平成16年2月6日0504簡略化の例・訂正NEW
■平成16年1月20日天空率の基礎
■平成15年7月24日「簡略化による算定方法」を追加
■平成15年7月25日「後退距離の異なる入り角敷地の審査方法」を追加
■平成15年7月25日「路地状敷地の天空率」を訂正
文責:鈴木繁康
この審査方法は、各種斜線制限が予想していなかった「各種高さ制限適合建築物」の審査方法、ならびに、申請された天空率の合理的な審査方法を示すものである。
通常、建築基準法56条第7項に規定する天空率による高さ制限の申請は、コンピュータを利用したものになる。そこで構造計算ソフトのように国土交通大臣又は特定行政庁が天空率作図ソフトを認定し、認定ソフトで算定した天空率のチェックを省略または簡略化してはどうかという意見がある。
しかし、天空率については直接数値がアウトプットされるため、構造計算のように計算過程をチェックすることができない。また、データ入力はさまざまな設計者が行うのであるから、正しく入力されたものであることを確認する必要がある。
さらに、天空率はキャド画面上に表示されるため、書き換えが可能であることにも注意しなければならない。このように問題はソフトの精度とは別の問題である。したがって、どのような方法で算出された天空率による申請に対しても審査を省略することはできない。
(1) 天空率審査の基本は、高さ制限適合建築物の作図方法が適法であること、測定点の位置が道路境界線または隣地境界線から法に定める距離に正しく置かれていることの2点を確認することである。(2) 道路境界線または隣地境界線が複雑な形状である場合において、敷地内で法に定める範囲において高さ制限適合建築物の位置を単純化することは設計者の自由であるが、測定点を単純化あるいは簡略化することはできない。
(3) 測定点は常に法に定める位置、または、行き当り道路等に用いられる仮想道路境界線上に置かなければならない。
(4) 境界線の曲がり、食い違いが微少である場合については、別に定める基準の範囲内であれば、認められる区間を一辺として天空率を算定することができることとする。
(5) 総合設計制度の審査においては道路または隣地境界線を簡略化する審査方法が認められているが、指導助言が可能である許可と裁量の余地のない確認を同列に扱うことはできない。天空率による高さ制限は仕様規定である。
(6) 正射影図を描く場合には、各斜線制限に即して描かなければならない。例えば道路斜線に天空率を適用する場合に、当該敷地境界線あるいは隣地境界線を超えて描かれてはならない。ただし、路地状敷地においては例外的取扱いとする。
(7) 敷地の形状によっては必ずしも天空率の適用が有利に働くとは限らない。このような場合に原則を崩して取り扱うことは適切な措置とはいえない。原則を崩したために隣地または周辺地に対して通風・採光上の不利益を与えることが予想されるためである。
(8) 天空率による審査は仕様規定であり、あらかじめ示された天空率を満足することを求める性能規定とは本質的に異なるものである。即地的に各種斜線制限による適合建築物と計画建築物との比較しなければならない。仕様規定の審査において建築主事の裁量が認められないように、天空率審査においても裁量の余地はない。
高さ制限適合建築物の作図方法は、次に掲げる参考資料に基づく斜線制限等の取扱いを逸脱するものであってはならない。
<参考資料>
(1) 行止まり道路等に関する斜線制限の取り扱いについて/46首建調発第43号・昭和46年4月6日
◆行き止り道路、入り角敷地、T字交差道路の回り込み、路地状敷地の道路斜線の取扱い
(2) 監修・建設省住宅局建築指導課、同市街地建築課/改正建築基準法の解説・1987年版/財団法人日本建築センター
◆道路斜線、隣地斜線の後退距離の取り扱い
(3) 「高さ・階数の算定方法・同解説」/平成7年5月22日・日本建築行政会議基準総則研究会
◆平均地盤面、ドライエリア等の取り扱い
(1) 天空率の有効数字は小数点以下4位(%表示では小数点以下2位)までとする。(2) 法56条7項に規定する「同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保される」ことについては、パソコン処理過程における誤差を考慮して、0.0002(0.02%)以上の余裕をもたせることとする。
(3) チェックを要する測定点は事前に調整したうえで次の資料の提出を求める。なお、天空率の審査箇所は適合建築物と計画建築物の天空率が最も接近している箇所等に限定し必要最小限度にとどめることとする。
ア 正射影図位置確認表(建築物の部分(指定点)の高さ、測定点からの距離、仰角、方位角)
表 正射影図位置確認表 天空図半径(r)=10cm
測定点 指定点 配置図の表示 天空図の表示 建築物の高さ
測定点までの距離
仰角 方位角 r*cosh
No.001
A - - - - - B - - - - - C - - - - - No.004
A.
B.
C- - - - - No.009
A.
B.
C- - - - - イ 半径10cmの天空図(方位は配置図の方位に合わせること)
ウ 天空率算定求積図(正射影の長さ(=建築物の高さ=仰角)、三斜求積図等)
■三斜求積にあたっては、上図のように計画建築物の天空率は小さく(安全側)なるよう内接させること。また、適合建築物の三斜求積では天空率が大きめに出るよう外接させること。
三斜求積の分割角度は自由に設定して良い。角度が大きければより安全側になり、角度を小さくすればより精密な数値が得られる。
10°程度が妥当である。5°以下ではほとんど建築物上部の曲線と近似してしまうため、図上審査が難しくなる。
■パソコン上で三斜求積をする方法を検討中。
・内接線は自動で描けるが、外接線は手入力しなければならない。
・正射影図で計画建築物の上辺はほぼ直線になるため内接、外接とも直線とみなしてもよい。
・したがってソフト求積と三斜求積の結果が共に0.02%以上の安全幅をクリアしていればよいことになる。
【参考】正射影によるセル別天空率の比較
(円周と半径を10度で分割した場合=36×9=324セル)

0401 入り角部分の道路斜線
東京都では斜線制限の連続性を保つために、敷地の入り角部分についても斜線制限が円弧を描く形で適用している。
天空率による建築物の高さ制限は「法56条各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保される」場合に適用されるのであるから、入り角部分(C)についても審査対象としなければならない。

0402 入り角部分の道路高さ適合建築物
入り角部分の道路高さ適合建築物は前図(C)部分において円弧を描いているため、適合建築物を作図しにくくなる。
このため(C)部分については(A)及び(B)部分の延長部分としてそれぞれ作図することとする。

0403 適合建築物と前面道路の境界線
(B)部分の適合建築物と前面道路の境界線を次のように設定する。

0404 天空率図の作成
(B)部分の天空率図は、前面道路の境界線(a−b)上の測定点から道路高さ適合建築物(a’−b’)という「窓」を通して描くことになる。

0404までの審査方法ではC部分をA、B部分の一部を二重に審査することになる。
この場合、A、B部分の後退距離が異なる場合には、後退距離の小さな側からの天空率が後退距離の大きな側を支配することになる。
したがって、後退距離が異なる入り角敷地においては、入り角部分を二等分して審査することとする。


0501 境界線の簡略化
下図のように道路境界線A,B,Cが屈曲している場合に、A,Cを「みなし道路境界線」として簡略化して天空率を比較することはできるのか。

0502 境界線を簡略化した場合の正射影図
簡略化した場合と現状のままの適合建築物の正射影図は下図のようになる。つまり、簡略化した場合の正射影図の面積は、現状の分割された正射影図を合算したものになる。

0503 計画建築物の自由度
簡略化した場合には、大きな正射影図を対象に計画建築物を設定することになり、格段に設計の自由度が増すことになる。
例えば、敷地の一方に建築物を寄せることも可能になり、本来の道路斜線制限との比較にならない。
したがって、測定点を置くことになる「反対側の道路境界線の簡略化」は避けなければならない。
ただし、高さ制限適合建築物の位置は道路境界線と計画建築物の間であれば自由に作成できる。

前面道路の反対側の境界線及び隣地境界線について、おおむね20メートル任意の区間における1メートル以内の屈曲は、その区間を一つの窓として取扱うことができることとする。

0505 簡略化による天空率の算定方法

簡略化は道路斜線の発生源である「前面道路の反対側の境界線」が対象である。道路境界線(敷地と道路の境界線)はどのような形であっても斜線制限に影響しないため考慮する必要はない。
測定点は敷地の両端と「前面道路の反対側の境界線」の最短距離を結ぶ区間内に均等に配置する。
適合建築物は道路境界線と計画建築物の間に設定する。
天空率は「窓(上図の場合は道路境界線)」を一つの区間として算定する。

0601 行き止り道路の道路斜線
東京都では、行き止り道路の道路斜線は下図のように取り扱っている。
A,Eゾーンは通常の道路斜線。
Cゾーンは道路延長方向に幅員wの仮定境界線を設けている
入り角部B、Dゾーンはb、cを中心に幅員wの道路斜線を回転させている。

0602 行き止り道路の適合建築物と前面道路の境界線
B、Cゾーンは入り角敷地と同様に円弧斜線制限を直線で補完する。
Cゾーンでは、a−dを反対側の道路境界線とみなし、b−c上に適合建築物を設定することにより、B、Dゾーンの一部を含む部分の天空率を比較する。

■B、C、Dゾーンの道路高さ適合建築物のイメージ
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0701 路地状敷地の道路斜線
路地状敷地の道路斜線制限は前面道路に面する範囲で適用される。その他の部分は隣地斜線制限が適用される。
なお、道路斜線の円弧処理は入り角部分敷地における2方向の道路斜線を連続させることを目的とするものである。
したがって、道路斜線を隣地斜線の適用部分に回りこませることは考慮しない。
0703 路地状敷地の応用
路地状敷地の考え方から下図のような敷地における隣地の後背部分については下図のように取り扱うこととする。


入り角敷地における適合建築物の回り込み部分の後退距離は下図のように設定する。


