突発性難聴について 笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室
明らかな原因がなく(原因不明)、突然に難聴をきたす病気です。
典型的な症状は、ある日突然、片方の耳が聞こえなくなり、耳鳴りもあり、激しいめまいがすることもあります。
めまいは2、3日で消えてしまいますが、難聴と耳鳴りが続きます。
突発性難聴の何割か、特に軽症のものは自然に治るといわれています。
聴力回復が期待できるのは発症後約一ヶ月以内で、それ以後は回復が望めない場合が多いので、できるだけ早期に治療を開始することが望まれます。
【突発性難聴の治療】
高度難聴の場合は、入院治療となります。
軽症から中等度の場合は外来通院しながら、薬物治療で治します。
薬物治療はステロイドホルモン剤とビタミン剤を内服し、聴力の改善状況を検査しながら、ステロイド剤は徐々に減量していく方法です。
【日常生活上の注意】
安静を保ち、ストレスを感じない生活を心がけてください。
薬は決められた時間に決められた量を確実に内服してください。
突発性難聴の原因はまだよく分かっていませんが、過労やストレス、風邪(ウイルス性とも考えられています)などがきっかけとなることが多いようです。
突発性難聴 耳の構造
【典型的なケース】
 仕事が忙しく、精神的にもイライラしていたある日の午前中、勤務中に突然、右耳で耳鳴りを感じた。そのうち治るだろうと仕事を続けていたら、夕方には回転性のめまいが始まった。内科を受診して薬をもらい、めまいは2、3日続いた後、消えてしまったが、その後も軽い耳鳴りは続いていた。聞こえ方も悪くなったような気がして、内科の先生に相談して耳鼻科の受診をすすめられた。ということで、数日してから耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査の結果、突発性難聴の診断を受けた。
 突発性難聴は、出来るだけ早い内に、治療開始をしてください。とくに、治療を受けるのをぐずぐず引き延ばしていると、病状が固定して治療しても回復不可能となる恐れがあります。(参考記事:突発性難聴突発性難聴について突難突発難聴1-2 突発難聴の解説-図譜

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突発性難聴に関する質問(参考記事突発性難聴
1. 突発性難聴とはどんな病気か
表1 突発性難聴の診断基準(要約)
・ 主症状 1.突然の難聴 2.高度な感音難聴 3.原因が不明
・ 副症状 1.耳鳴り 2.めまい
 これが1973年に定められた突発性難聴の診断基準です。つまり、「ある日突然起こり、耳鳴りやめまいを伴うこともある、原因が不明の感音難聴」が突発性難聴です。
耳あかが詰まって聞こえが悪いとか、中耳炎が原因の難聴は伝音難聴です。感音難聴は神経性難聴とも呼ばれ、内耳から脳までの音を伝える神経の道筋のどこかに障害があって起こる難聴です。感音難聴か伝音難聴かは聴力検査をすればはっきりします。
2. 具体的な症状とその原因
 突発性難聴は片方の耳に起こるのが普通です。ある朝、目が覚めて気づくことがあります。これは睡眠中に突発性難聴が起こったと考えられます。電話をかけているとき気づいたり、ヘッドフォンで音楽を聞いて始めて片方の耳が聞こえていないことに気づいたりすることもあります。耳鳴りやめまいが起こり、よく注意してみると耳鳴りのしている方の耳は聞こえも悪いことがわかる場合もあります。片方の耳だけの難聴で、もう一方の耳の聞こえはよいので、案外気づかずに何日か経ってしまっていることもあります。難聴の程度が軽い場合には何となく耳が変だとか、耳あかでも詰まっているのではないかということで耳鼻咽喉科を受診して聴力検査で始めて難聴があると診断がつくこともあります。
 感音難聴の中で原因がわからないのが突発性難聴です。死に至る病気ではありませんから、突発性難聴を発症した患者さんの耳の中を解剖するといったことも行われていません。以前に突発性難聴になった人が、後になって他の病気で死亡し、その時点で解剖が行われても内耳の組織には様々な変化が入ってしまっているので、今後も原因が判明することは期待できません。そこで、発症の原因は次のようなことではないかと推測されているに過ぎません。原因として有力なものはウイルス感染説、内耳の血液循環障害説、アレルギー説などです。しかし、もし原因が判明すればその時点で病名は突発性難聴ではなくなります。なぜなら、突発性難聴の診断基準に「原因不明である」ということがあるわけですから。というわけで、突発性難聴は妙な病気あるいは病名であるわけです。
3. 自覚症状について
 聞こえが悪いということが唯一の手がかりです。それは耳鼻咽喉科で正確な聴力検査をすることで始めて診断されます。軽い難聴の場合には、音が二重に聞こえるとか、耳がふさがったようなとか、耳が詰まった感じとか、自分の話す声が変に聞こえるとか表現されます。難聴の訴えではなく、耳鳴りがする、めまいとそれに伴う吐き気、ふらつく感じがするということで耳鼻咽喉科を受診されることもあります。
4. なりやすい人の傾向(体格、生活習慣)
 いままで全く健康な人に、男女の差なく、ある日突然に突発性難聴は起こります。40〜50才台に発症する頻度は多いのですが、実際の臨床では20〜40才台の患者さんの数も多く、60才以上の方も増加傾向にあります。20才以下や70才以上の発症は少ないので、突発性難聴は20〜50才台で働き盛りの人の病気であるといえます。そのときの状況を問診すると、睡眠不足であったとか、疲れ気味であったとか、心身のストレスが重なっていたとかを聞き出せることも多いのですが、現代の生活を営んでいる以上、ストレスから解放されている方はむしろ希で、突発性難聴はいつ誰にでも起こりうる病気であると考えています。
5. 事前の予防について。日常生活での注意点など。
 日常生活で充分な睡眠をとり、ストレスを避けるというのはどのような病気にも言えることです。予防というよりも、治療の項でお話しするように、耳が変だと思ったら一日でも早く耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
6. 治療について。完治することは可能かどうか。
 突発性難聴は感音難聴の中で治療することができる数少ない疾患です。いろいろな原因が考えられているため、血液の循環を良くし、炎症を抑え、弱っている神経の機能を改善するといった目的で治療がおこなわれます。最も治療効果が明確に認められているのはステロイド薬の内服や点滴です。ビタミン剤、代謝賦活剤、血液循環改善剤、血管拡張剤、利尿剤、抗ウイルス剤などの薬もあわせて使われることもあります。その他にも高気圧酸素療法、星状神経節ブロックなどの治療法も試みられています。しかし、有効性が確実に認められているのはステロイドしか今のところはありません。
 突発性難聴は発症後早期に治療を始めると治療成績がよいことがわかっています。発症後遅くても2週間以内、出来れば1週間以内に治療を始めるのが望ましく、1ヶ月を過ぎると改善の見込みはほとんど無くなります。そのため、難聴を見逃さずに出来るだけ早く耳鼻咽喉科を受診していただきたいと思います。残念なことに、どれほど手を尽くしても殆ど改善の見られない方もあります。発症時に聴力が完全に無くなってしまった方やめまいを伴う高度難聴の方は治療効果が良くありません。一方では軽度難聴の人では治療をしないでも自然治癒することもあります。軽度の難聴だから治りやすいと考えていた方の中にも難聴が残り、あるいは難聴は改善してもやっかいな耳鳴りで悩まされることもあり、治療の有効性は別にしてもやはり早期発見と早期治療が原則です。
 また、たとえ難聴が治ったあとでも定期的に耳鼻咽喉科で聴力検査を受けていただくのがよいでしょう。その時点では原因不明の突発性難聴とされていても、あとになってMRI検査などで
聴神経腫瘍(第八脳神経の頭蓋内における良性の新生物)がみつかることや繰り返す場合にはメニエール病(めまいを伴わない蝸牛型メニエール)であるという診断に変更される場合もあるからです。聴神経腫瘍患者の1割くらいは突発性の感音難聴で発症するとされています。

急性に感音難聴を来す疾患
突発性難聴
 低音障害型突発難聴
 ステロイド依存性感音難聴
急性低音障害型感音難聴
前庭水管拡大症
外リンパ瘻
 〜特発性(原因不明)、外傷性、耳掃除、平手打ち、咳き込み、力んだ、重いものを持ち上げた、子どもを抱き上げた、耳管通気、鼻かみ、ダイビング、飛行機の搭乗とくに下降時、逆立ち、吹奏楽器演奏中等々〜
メニエール病
急性音響外傷
ムンプス難聴
ハント症候群
聴神経腫瘍
頭部外傷
気圧外傷
脳幹梗塞、多発性硬化症

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