乳幼児で、咳や発熱、鼻汁、喘鳴などのいわゆる「かぜ症状」が10日間以上続いたり、繰り返すことがよくあります。通常の小児のかぜなら3、4日で症状が改善するのが普通です。それが長引き発熱や喘鳴、肺炎などを繰り返すようであれば、その多くは副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)が原因となっています。副鼻腔炎は、細菌感染やアレルギーによって鼻の奥の粘膜が炎症を起こしているものです。鼻閉(鼻づまり)や鼻漏、後鼻漏などの症状のほか、鼻のX線検査で分泌物がたまっていたり、粘膜がはれているのが解ります。しかし、乳幼児の場合には、X線検査では診断がつかないことも多く、しかも症状が鼻漏や鼻閉といった典型的症状ではなく、咳、発熱、喘鳴といった呼吸器症状であるため、一般のかぜ症状と区別できず、内科や小児科では「かぜ」「喘息様気管支炎」「鼻炎や単なる鼻風邪」などと診断され、副鼻腔炎は見過ごされています。
小児の場合、急性上気道炎(いわゆる風邪症状)がきっかけとなって、副鼻腔炎が発症し、悪化していることは非常によくあることです。咳や鼻水、鼻閉、発熱などの呼吸器症状が10日以上続き、改善傾向がない場合には、急性副鼻腔炎の併発を疑うべきだとする診断指標がよく使われます。この診断指標を満たしていれば、わざわざX線撮影などを行わなくても急性副鼻腔炎を併発しているとみなして治療してよいと考えられています。1ヶ月くらいまでの病状であれば急性副鼻腔炎、それ以上続く場合は遷延化しており、3ヶ月以上続くときには慢性副鼻腔炎と臨床的には診断されます。耳鼻咽喉科では鼻や咽を診察するだけで容易に診断を下すことが出来ます。
小児急性鼻副鼻腔炎右鼻腔内所見(粘膿性前鼻漏)
小児急性鼻副鼻腔炎左鼻腔内所見(膿性前鼻漏)
こうした小児の副鼻腔炎の治療に、最近マクロライド系抗菌薬の少量長期投与が注目されています。このマクロライドの少量長期投与は、びまん性汎細気管支炎、慢性気道感染症、成人の慢性副鼻腔炎や浸出性中耳炎にも応用されてきています。
小児で副鼻腔炎が疑われる症状
・発熱を繰り返す
・頑固な喘鳴(ゼロゼロ)が長く続く
・特に夜間の痰を伴う咳嗽
・中耳炎を繰り返す
・肺炎、気管支喘息を繰り返す
・頑固な鼻汁、後鼻漏が続く
・いびき、睡眠障害がある
咳の原因となる、咽頭後壁を流れ落ちる膿性の後鼻漏
自由が丘耳鼻咽喉科・笠井クリニック
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