慢性に続く咳、慢性咳嗽 笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室
咳について
 副鼻腔炎アレルギー性鼻炎などの鼻の病気で鼻汁がのどの方へ落ちること後鼻漏といいます。後鼻漏というのは症状であり、病名(疾患名)ではありません。後鼻漏は耳鼻咽喉科領域では慢性咳嗽の最も多い原因となっています。慢性咳嗽の原因となる疾病には、気管支喘息慢性喉頭炎慢性気管支炎気管支拡張症胃食道逆流症(GERD)、逆流性食道炎、咽喉頭酸逆流症(LPRD)喉頭アレルギーなどがあり、ある種の降圧剤などの薬も慢性の咳の原因となります。小児では慢性の咳の主な原因は咳喘息、副鼻腔炎、神経性咳嗽です。耳鼻咽喉科外来では、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎による後鼻漏が原因の慢性咳に対して、鼻の治療をすることで良くなることが非常に多く経験されます。(咳嗽に関するガイドライン第2

タンについて
 痰には、気管・気管支・肺(下気道)からセキとともに吐き出されるものと、鼻からのどへまわっていく鼻汁(これは実際には痰ではなく後鼻漏です)の2種類があります。下気道から痰が出る時は、咳が詰まり、胸が苦しかったり、熱が出たりするので、早期に医療機関を受診して診断治療を受けると思います。一方、日常の耳鼻咽喉科外来診療で遭遇することの多い痰の訴えでは、下気道からの痰の割合は少なく、多くは後鼻漏が原因です。
鼻からのどにまわる痰(後鼻漏)は、せいぜい風邪が長引いている位にしか考えられず、放置されていることが多いのですが、後鼻漏は耳鼻咽喉科では咳と咽頭喉頭異常感症の原因として非常に多いものです。痰が気になる人は、肺癌や結核などを疑って呼吸器の検査を受ける必要もありますが、鼻の病気である場合も多く、耳鼻咽喉科でのどの検査と共に、蓄膿症や鼻アレルギーの検査や治療が必要です。
後鼻漏、咳 喉頭、気管内に流れ込む後鼻漏
急性喉頭炎 かぜ症候群に伴う喉頭炎、声帯炎、声門下喉頭・気管炎
 ちくのうやアレルギー性鼻炎の人では、鼻汁が大量に出て、のどにまわり、夜眠っている間に気管の中にすいこまれていき、朝起きたときにセキと共に口の方へ戻されてきます。また、痰はつばや食べ物と一緒に飲み込まれていくので、鼻の悪い人の胃には驚くほどの痰が大量にあって、胃を障害して、口臭の原因にもなり、全身的にも悪影響を及ぼしています。タンの出る原因を正しく診断して、治療を受けてください。(痰が絡む病気長引く咳慢性副鼻腔炎による咳と痰

慢性喉頭炎ネブライザー吸入治療前 慢性喉頭炎の治療後治療後

長引く咳の原因
1.
痰の多い、湿った咳が続く主な原因疾患
 
慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎
 慢性副鼻腔炎などに伴う後鼻漏 、 副鼻腔気管支症候群
 かぜ症候群後の慢性咳嗽
 
逆流性食道炎、胃食道逆流症 GERD、咽喉頭(酸)逆流症 LPRD
 肺結核:2週間以上続く咳は胸部X腺検査をおすすめします。
 肺真菌症
 気管支喘息
 肺癌

2.
痰の少ない、いわゆる空咳が続く主な原因疾患
 
咳喘息(咳と痰
 アレルギー性気管支炎
 アトピー咳嗽
 アレルギー性鼻炎にともなう後鼻漏
 喉頭アレルギー
 間質性肺炎、肺線維症
 マイコプラズマ肺炎

 百日咳

 肺炎クラミジア
 肺癌、胸膜腫瘍、気管支腫瘍、縦隔腫瘍
 薬剤性咳嗽(アスピリン、NSAID、β阻害薬)
 耳性咳嗽
 神経性咳嗽(ヒステリー、心因性、習慣性)

咳と痰の治療
 症状に合わせて、次のような薬を用います。
1. 中枢性鎮咳剤:中枢に働いて咳の反射の神経を抑制する。
2. 末梢性鎮咳剤:末梢に働いて気管支のけいれんを抑制する。
3. 去痰剤・喀痰溶解剤・蛋白分解酵素剤:喀痰を柔らかくして排出する。
4. 気管支拡張剤:自律神経に作用して気管支のけいれんを抑制する。
5. 抗ヒスタミン剤:気道の分泌を抑制し、抗アレルギーとして作用する。
6. 副腎皮質ホルモン剤:抗アレルギーおよび抗炎症作用。
7. 抗生物質:細菌感染を防止する。
8. 漢方薬:麦門冬湯、麻黄湯、小青竜湯、清肺湯、滋陰降下湯など。
9. 制酸剤・プロトンポンプインヒビター(PPI):逆流性食道炎などに。

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