保険診療による医療費の目安笠井耳鼻咽喉科クリニック

主な検査・手術

3割負担額

標準純音聴力検査(聞こえの検査)

1,050

簡易聴力検査(気導純音聴力検査) 330

チンパノメトリー(鼓膜の動きの測定)

1,020

中耳ファイバースコピー(中耳内視鏡検査) 720

ファイバースコピー(鼻咽腔・喉頭内視鏡)

1,800

X線検査(顔面・鼻×2)デジタル映像化加算

690

平衡感覚機能検査(簡易めまい検査)

480

重心動揺計検査(めまい・平衡機能検査機器) 750
鼻腔通気度検査(鼻の通りやすさの診断) 900

細菌培養及び薬剤感受性検査(口腔2菌種)

1,590

咽頭クラミジア検査(咽頭クラミジア感染症) 1,060
淋菌及びクラミジア・トラコマチス同時核酸検出 1,310

A群β溶血性連鎖球菌迅速検査

850

病理組織検査(摘出組織の病理診断)

3,030

細胞診断検査 (痰などのガン細胞診断)

1,020

術前の血液検査(一般血及び肝炎等)

2,660

血液検査(扁桃検査)

1,810

血液検査(貧血・肝機能など)

1,340

アレルギー抗原血液検査(主要抗原7種類)

3,600

鼻汁中の好酸球検査(アレルギー反応の有無) 420

甲状腺疾患血液検査(初診時診断用)

3,600

静脈性嗅覚検査(アリナミンテスト) 150
味覚定量検査(濾紙ディスク法) 900

鼓膜切開手術(イオン浸透麻酔併用)

2,210

鼓膜換気チューブ挿入(イオン麻酔併用)

9,240

鼻茸・鼻ポリープ摘出(病理組織検査含)

6,300

鼻内篩骨洞根治手術(蓄膿症の保存的手術)

18,540

口蓋扁桃切除手術(ラジオ波凝固手術)

4,290

軟口蓋形成術(いびきの手術・レーザー等含)

29,100

声帯ポリープ切除(内視鏡ファイバーによる)

12,900

鼻甲介切除術(高周波電気凝固法;ラジオ波凝固法) 2,700

鼻腔粘膜焼灼術(鼻出血などに適応)

2,700

下甲介粘膜焼灼術(一側)  2,700
下甲介粘膜レーザー焼灼術(両側)

:アレルギー性鼻炎・花粉症・肥厚性鼻炎等

8,730

検査には判断料等を含み、手術に関しては手術料本体部分のみの点数です。
初診料、再診料は含みません。
※診療情報提供料(1):他病医院への紹介状 250点(750円)
※診療情報提供料(2):セカンドオピニオンの紹介 500点(1500円)

診療報酬点数表:平成22年4月より)
耳鼻咽喉科診療に係る主要診療報酬点数要約
耳鼻咽喉科外来診療における明細書と領収書


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【以下に、お問い合わせが多い医療費について、具体的に示します】
 
平成15年の医療費改定により、ほとんどの方が健康保険の窓口自己負担が3割となりました。
初診料2,820円×0.3=850円
再診料730円×0.3=220円
 これは、検査も処置も何もしない基本的診察だけに関わる医療費です。必要に応じてレントゲン検査や内視鏡検査などを施行しますと表記の検査料が、また、お薬が出ると処方せん料が加算されることになります。院外処方ではお薬は最寄りの調剤薬局でお受け取りいただくことになります。保険診療では、日本中どこでも全ての科でどのような医師にかかっても同じ医療費です。
鼻粘膜のレーザー治療下鼻甲介レーザー手術)を初診日片側に施行する場合ですと、
初診料2,820円×0.3=850円
手術料(1側)9,000円×0.3=2,700円
麻酔薬剤60円×0.3=20円
処方箋料700円×0.3=210円
3,780円となります。
 両側同時に施行しますと、術後反応性の鼻汁過多や両側の鼻づまりによって睡眠が充分取れなくて辛かったとおっしゃる方や鼻閉による口呼吸のために喉を痛め熱が出るような方も稀にあり、通院して術後の鼻処置や投薬を受けていただくことが必要になります。通常では強い炎症反応の治まる数日から1週間以上の間隔を空けて片方ずつのレーザー治療をお勧めしています。下鼻甲介のレーザー手術は外来治療ですので、術後にも出来るだけ苦痛の少ない安全な治療方法を選択していただくようにしています。上記のリスクを十分理解された上で、耳鼻咽喉科で術後処置が出来るのであれば、初回にでもご希望によっては両側同時にレーザー治療を行っていただくことも可能です。
初診日両側レーザー治療を行う場合の治療費は、下甲介粘膜レーザー焼灼術(両側)が適応されますので、検査料も含めた総計で10,210円程度の自己負担額(3割負担)になります。
 また、これは手術に関連した医療費用だけの分です。初診の場合には鼻腔深部の病変の有無を確認したり、レーザー手術の適応があるのかどうかを判断する目的に
鼻咽腔の内視鏡検査あるいは鼻腔通気度検査等を施行することがあります。また、副鼻腔炎や鼻茸の合併があるときには鼻のレントゲン検査や、鼻内局所にアレルギー反応が出ているかどうかの判断のために鼻汁中の好酸球検査(1,400×0.3=420円)を行います。それらの検査に関わる医療費用は別途加算されます。
鼻粘膜のレーザー治療再診両側施行すると、
再診料730円×0.3=220円
手術料(両側)29,100円×0.3=8,730円
麻酔薬剤130円×0.3=40円
処方箋料700円×0.3=210円
9,200円となります。
下鼻甲介のラジオ波凝固治療;鼻甲介切除術(高周波電気凝固法
ラジオ波凝固治療の実際
 レーザー治療と殆ど変わりなく、局所麻酔注射料がわずかに加算される程度です。ただし、手術を受けられる1週間以上前に、感染症や出血傾向などの有無を術前血液検査として受けて頂く必要があります。また、治療直前に鼻腔通気度検査で鼻の通り具合を確認します。
 以下の手術は全て術前に血液検査が必要です。
イビキのための咽頭形成手術LAUP:咽頭形成手術)を再診日に施行しますと、
再診料730円×0.3=220円
手術料97,000円×0.3=29,100円
麻酔料110円+硫酸アトロピン注90円)×0.3=60円
処方箋料710円×0.3=210円
29,590円となります。
鼻内篩骨洞手術蓄膿症の鼻内手術、鼻茸切除を含む)では、
再診料730円×0.3=220円
手術料41,700円×0.3=12,510円+副鼻腔内視鏡加算3,000円(=10,000円×0.3)
麻酔料60円+硫酸アトロピン注90円)×0.3=50円
病理組織検査10,100円×0.3=3,030円
処方箋料700円×0.3=210円
19,020円となります。
口蓋扁桃切除術(片側、口蓋扁桃のラジオ波凝固治療)を再診日に施行しますと、
再診料730円×0.3=220円
手術料14,300円×0.3=4,290円
麻酔料110円+硫酸アトロピン注90円)×0.3=60円
処方箋料710円×0.3=210円
4,780円
なお、保険診療報酬点数はきわめて複雑な仕組みとなっていますので、薬の種類、検査、処置内容などによって多少の増減があることをご承知下さい。


【質問】
 
花粉症のレーザー治療について、お尋ねいたします。
 約10年ほど花粉症で悩んでいます。昨年3月初めに、レーザー治療専門の病院で初めてレーザー治療を受けました。費用は保険適用外で約9万円かかりました。今月2月の中旬に再び花粉症の症状が出てきましたので、1週間前に同クリニックで再度レーザー治療を受けました。費用は6万円でした。現在の所は鼻水が出ますが、徐々に良くなってくると思います。
 私のように
毎年レーザー治療を受けていて、副作用の心配はありませんでしょうか。
 花粉のシーズンに入る前に治療を受けた方が良いとのことですが、貴医院では
来年に備えてだと、いつ頃から治療を始めて、何度くらい通院が必要なのでしょうか。
 又、この病院では花粉症のほかに、シミ、ホクロ、いびきなどのレーザー治療も行っているのですが、
保険が適用になる、適応にならないという違いは何なのでしょうか。
【回答】花粉症のレーザー治療1-2アレルギー性鼻炎のレーザー治療1-2-3-4
 レーザー治療は様々な疾患の治療に対して応用されています。耳鼻咽喉科領域でも鼻粘膜への照射は、アレルギー性鼻炎花粉症慢性副鼻腔炎鼻茸切除などで適応があるとされています。鼻粘膜へのレーザー照射は粘膜全体を消失させるわけではなく、その熱エネルギーで粘膜表層組織を気化・蒸散するものです。レーザー照射後1ヶ月で粘膜上皮はほぼ再生してきますので、1ヶ月に1回の照射を3、4回位繰り返すことについては全く問題がないと考えられます。逆に、レーザー照射の効果を確実にするために、その位の回数は繰り返した方がよい効果が出ています。日本でも10数年以上の臨床経験から、重大な副作用報告はありません。
炭酸ガスレーザ 炭酸ガスレーザー 半導体レーザー 半導体レーザー
 気管支喘息、アトピー、アレルギー性鼻炎、花粉症などアレルギー性疾患は「治る」病気ではありません。薬などいろいろな手段でつらい症状をコントロールして、健康な人と変わりない生活を送れるようにすることを目標にする疾患です。藁をもすがる気持ちで様々な治療法を求める方々に完治できるという宣伝をする、いわゆるアトピー商法などは、まず怪しいものだと認識されたほうがよいでしょう。どのような新薬もアレルギーを根本的に治すものは今のところありません。手術的治療も同様でアレルギーが「治る」わけではありません。ただ、「治療」を続けておられる方の中には薬も使う必要がなくなり、治ったとしか言いようのない人もいらっしゃるのも事実です。しかし、それが治療によるものなのか、あるいは自然経過でそうなったのかについて厳密な比較試験で確証が得られたものはありません。
 スギ花粉症に関しては、その年の花粉の飛散量によっても違いますし、その人のその時の体調によっても、日々違ってきます。治療法にもいろいろな手段があります。その人その人によって、どの治療法が良いのかは、生活習慣や治療に対する考え方によっても違ってきます。予防薬といわれる
抗アレルギー薬の季節前からの内服や、シーズンに入ってからの抗ヒスタミン作用の内服薬ステロイド点鼻薬などのお薬でうまくコントロールできている方はそれで充分ですし、それが一般的には最も多くの方が選択しておられる鼻アレルギーの標準的な治療法です。最近では副作用の少ない抗アレルギー薬も開発され、これまで眠気やだるさが出るという理由でお薬を使えなかった人には重宝されています。また眠気が無いという点では漢方薬という選択もあります。しかし、いずれのお薬でもアレルギーの根本治療では無く、あくまで症状を軽快させるという目的で使われる対症治療です。
 
減感作治療(抗原特異的免疫療法)といって何年も根気強く原因抗原の少量を皮下注射する治療法に通われて満足されている方もいます。非特異的免疫療法とも言うべきヒスタグロビンなどの古くから用いられている薬を週に一回で5〜10回皮下注射する方法で効果がある方もいらっしゃいます。花粉症のひどいときには、ステロイドの内服や眠気の副作用が出やすい薬ですがセレスタミンというステロイド含有の抗ヒスタミン剤を1、2週間服用することが必要になることもあります。
 
ケナコルトAやデポ・メドロールなどのステロイドの筋肉注射は、注射1本の薬価が1,000円以下の価格ですから保険を使えば300円以下の非常に安い自己負担で済む上に、抗アレルギー効果が非常に強く、体内で持続性があるため、2〜3週以上の長期間に渡って「良く効く」のですが、副作用として注射部位の萎縮、顔面や全身のむくみ、糖尿病や胃潰瘍の顕性化、副腎皮質の抑制、過敏症として喘息発作の誘発、ステロイドの依存性、ニキビや吹き出物の悪化、特に女性の方では生理不順や不正出血が長く続くなどのやっかいな問題が起こることが多く、積極的にはおすすめできません。しかし、とてもひどい症状が出てしまっており、健全な社会生活を営む上でその強いアレルギー反応をどうしてもすぐに抑えなくてはいけない時があります。そのような場合には、緊急避難的な目的で一時的に使うことがあるのはやむを得ないかもしれません。但し、「注射一本で花粉症が治る」という触れ込みで、ステロイドであるとの何の説明も無く、毎年のように安易に注射を受けておられる方があるのは問題です。ステロイド筋肉注射の副作用に関する充分な説明を医師からお受けになり、起こり得るリスクを充分に理解し承諾した上での自己責任で行われるべき医療行為です。もし副作用に関して医師が説明していないのであれば、それは医療側の責任を問われることになるでしょう。ステロイドの筋肉注射は受けられるにしても腕ではなく、お尻にしていただくのがよいでしょう。上腕部だと注射部位の萎縮が万一起こった場合に、特に上腕を露出することの多い女性では目立つことがあり、医療訴訟になっているケースがあります。注射は皮下脂肪組織の浅い部位ではなく、確実に筋肉内に行って頂き、注射部位を決して揉まないことが大切です。また、長期間に渡って効果が出るといっても、花粉症の全期間をカバーできるわけではありませんから、1シーズンに何度も行うことがないように、注射するタイミングは慎重に選ばないといけません。(参考資料:ケナコルトの添付文書1-2-3-4
ケナコルト注射による皮膚萎縮 ケナコルト皮下注射による上腕外側部の陥凹
 
手術的治療は標準的な治療では満足のゆく効果が出ていない方やお薬での治療では副作用が出るような方が主な対象です。レーザー治療(→下鼻甲介粘膜のレーザー治療の実際)と同じような効果は従来からおこなわれている高周波電気凝固治療あるいは新しく開発されたラジオ波凝固治療(→下鼻甲介のラジオ波凝固治療の実際)、アルゴンプラズマ凝固治療、超音波メス等の手術支援機器でも得られます。年中ひどい鼻詰まりが続いている場合は、下甲介粘膜を一部分切除してしまう手術も行われます。手術的治療に限らず、いろいろな方法があるということは、万人に対して安全で完全に根治できる決定的な治療方法は、残念ながら未だ無いということです。アレルギー鼻炎に対しては、このようにいろいろな治療手段があります。生命には直接危険のある病気ではありませんから、有効性と安全性と経済性の面などから、それらの治療法を上手に組み合わせてゆくことが大切です。鼻アレルギーのレーザー手術治療1-2-3
 
レーザー治療も1回で調子が良くなっておられる方もいますし、スギ花粉の飛散前に月に1回の割合で2、3回くらい照射することで効果がよく出ていると思われる方もいます。年度によって花粉の飛散量に大きな違いがあるため、一概に治療効果が比較できません。例年その方が同じ体調で、毎年同じ量のスギ花粉の飛散が起こるのであれば、治療回数に関しても割合すっきりした回答が出せると思うのですが、これだけのことをすればもう絶対大丈夫とはなかなか言えません。そこで、現在次のように考えています。一度レーザーを試されて満足ゆく結果が得られた方は、翌年の花粉飛散予想が夏の終わりには出されますから、それを参考にして、ひどくなりそうな年は年末から2月までに3回くらい照射していただく、大した飛散量でなさそうな年は1月から2月初めの1回くらいでも済ませられるでしょう。ただ、スギ花粉の飛散量に関わらず毎年つねにひどい症状を出していた方はやはり3回位はおすすめしたいと思います。レーザー治療は永続的で重大な副作用がないので、花粉症の予防薬と言われている高価な抗アレルギー治療薬を花粉の飛散前からシーズン終了時までずっと飲み続けることと較べても、医療経済的にも実際の臨床効果の上からも、遜色はないだろうと考えています。施行する回数は、患者さん毎によく御相談しながら、年度ごとにまた臨床症状の変化に会わせて決定していただくことになります。あいまいなご返信となってしまい申し訳ありませんが、アレルギー性鼻炎は症状の現れ方に個人差が非常に大きい疾患ですので、これが実際の治療の現実です。下鼻甲介レーザー治療の実際の手順などに関しては別項をご参照下さい。
 
イビキの手術そのものはずいぶん前から保険が適応になっています。イビキの手術にレーザーを使うのは保険ではまだ採用されていません。レーザーがあるところでは医療機関側の便宜上、つまりレーザーを使うことで出血が少なく、手術時間を短縮できるので、使用しています。保険請求は出来ないので、レーザーを使ったからといって、いびきの手術料金が上がるわけではありません。レーザー使用は、保健医療機関側のいわばサービスとなっています。また、いびきの手術部分にだけ保険を使い、レーザーを使用することには別料金を取るという、保険診療と保険適応外の診療(自由診療)とを同時に行ういわゆる混合診療というのは、現行の医療保険制度では認められておらず、健康保険法違反になります。どのような診療行為が保険適応となるかを決定・審査するのは厚生労働省社会保険診療報酬支払基金国民健康保険組合です。
 
シミは美容目的ですから、保険適応はありません。ほくろは病的なものには保険が適応されるでしょうが、美容目的であれば保険は適応されません。
高周波ラジオ波メスによるホクロの切除
 保険の費用は国民全員で応分に負担しています。つまり他人のお金も使って医療を受けていることになります。美容目的の治療にまで保険を使っていれば、今でも危機的な保険医療制度は破綻してしまいます。保険診療は、病気或いは健康を害している状態を改善する目的で行われる医療行為に限られるべきです。また、たとえ保険が適応される疾患でも、その医療機関が厚生省の認める保険医療機関でなければもちろん保険では出来ません。美容外科クリニックの場合、もともと保険診療では扱えない医療行為であるとか、あるいは保険医の申請をしないので保険を扱えない場合もあります。美容形成外科などの自由診療の病院では治療費はすべて自費でという前提ですから、その病院が独自に設定した料金で行われます。高く設定しようが、割安に設定しようが制限はありません。保険で診療しないところが一概に悪いと言うことではありません。現行の矛盾に満ちた保険制度の枠内では充分な満足のゆく診療ができないからと、立派な医師がすばらしい実績をあげておられる自由診療のクリニックもあるでしょう。日本は資本主義経済といっても保険医療に関しては日本全国どこの地域でも、内容はともかく同じ医療行為であれば保険の種類によって0〜3割程度の自己負担だけで済むという社会主義的政策が採られています。つまり、保健医療機関での診療は全国どこでも、どのような医師が治療を行っても、欧米諸国と比較して極めて安い統一価格となっています。腕の良い名医が高額な医療器械を使い、立派な施設の中で、人手を多くかけて、職人技の手術をしているからと言っても、医療費を高く請求することは出来ませんし、反対に医療費をおまけして患者さんの負担を減らしてあげようとか、安いことを売り物にして患者を増やそうと思っても、法律で決められており出来ないことです。診察料の割引で患者を集めるのは違法行為であり、違法行為があれば保険医の資格を剥奪されてしまいますから、保険診療が出来なくなります。たとえ保健医療機関であっても、保険の効かない医療行為に対しては自費負担になります。例えばピアスの穴あけなどは保険では出来ません。しかし、ピアスの穴が化膿したような場合には耳介の感染症という病気ですから、その治療は保険で出来ます。インフルエンザの予防接種などの任意で行う医療も保険の対象外です。一般的に社会保険の対象外とされる医療分野は、労務や日常生活に支障がないもの(白髪、そばかすなど)、産科の正常妊娠分娩と経済的理由による人工妊娠中絶手術、美容外科全般、矯正歯科治療、予防医学(予防接種)、業務上・故意の事故などが代表的なものです。これらのサービスに関しては医療費用、外来や病室の快適度、医療の質に関して自由な競争が行われており、患者さんは自分の懐具合で「自由に」最高と思われる医師と医療を選択して、特別扱いしていただいて医療を受けることができます。保健医療では、誰でも、どの医療機関にでも、予約無しで思い立ったときに受診できますが、特別扱いや保険の枠外の特別な医療は受けることはできません。
保健医療と自由診療に関して、ご理解いただけましたでしょうか。
自由が丘耳鼻咽喉科・笠井クリニック