音響外傷、ディスコ難聴、ロック難聴、ヘッドフォン難聴、スマホ難聴、急性音響性難聴 笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室
 強大な音楽を聴いたために耳鳴り難聴が急に発生するとき、ディスコ難聴ロック難聴という診断名が下されます。必ずしも音楽のジャンルとしてロックを聴いた時だけで発生するわけではありませんので、急性音響性難聴、一般的には音響外傷とも言われます。コンサートやディスコでスピーカーの直前にいたときやヘッドホンで大きな音を聞いたときがこの難聴の発生する非常に多いケースです。音楽としては、ロック系のものが殆どで、歌謡曲やクラシックでは殆ど発生しません。ディスコやロック音楽などではコンサートにしてもヘッドホンでも100dB(デシベル)以上の強大な音響が持続することで難聴が発生します。100dBの音は15分以上は聞き続けないような注意が必要とされています。携帯音楽プレーヤーの普及により若年者の音響外傷が増えている(ウオークマン難聴、ipod難聴、スマホ難聴など、時代によって呼び名は変わっていますが、その本質は大音量・長時間の音響による内耳障害)との報告もあり、たとえ適正な音量であっても長時間のイヤホン使用は控えるべきでしょう。(音響外傷耳の機能と音響外傷1-2-3-4 ヘッドフォン難聴の解説図譜 耳の仕組みと働き-図譜ヘッドフォン難聴11億人が音響外傷による難聴予備軍:WHO)、小学生でも注意したいヘッドフォン難聴ヘッドフォン難聴図
耳の構造 耳の構造図
 一瞬にして
音響外傷が起こる音の大きさは130dBとされ、耳元で突然に銃が暴発したり爆竹が破裂したときなどで起こります。急性音響性難聴という病名は予期していた大音響に暴露されたときに起こる場合に、音響外傷は予期していなかった強大な音によって起こる突発事故の場合に使われます。
騒音性難聴、職業性難聴
 慢性的に大きな音に曝されている職業の人では徐々に難聴が進行することがあり、
職業性難聴とか騒音性難聴と呼ばれており、そのような場合の職場の労働安全基準は85dBです。
症状 それまでにも何度も同じような大きな音楽を聴いていても何でもなかった人に、ある日、急に発生します。ですからそれまで強大な音楽を聴いていても聴力が悪くならなかったからといって安心できません。自覚症状としては耳鳴り、難聴、耳閉塞感めまい感があげられます。右か左の片方あるいは両側の耳鳴りと難聴が殆どの人で出現します。聞こえが悪いという訴えが無くても、右と左で聞こえ方が違うとか、音が二重に聞こえるという表現になることもあります。半数近くの方で耳が詰まった感じを訴えます。めまいがするとかふらふらする感じという訴えも数パーセントの方に現れます。

発症する誘因
 肉体的な過労状態、精神的ストレスが溜まっているとき、睡眠不足の時、飲酒しながら、激しく頭部や体を揺さぶりながら、強大な音楽を2時間以上にわたって聞き続けるときに、この病気は発生することがわかっています。
予後と治療
 程度の軽い場合は、症状があっても、それ以降に大きな音を聞かないようにしているだけで、翌日位には自然に治っています。数日症状が続いているような場合でも、早期に治療を開始できた人も治る率が高いと言われています。1週間以上経っても難聴や耳鳴りが続いている場合は非常に治りにくいので、少しでも耳が変だと思ったら出来るだけ早く耳鼻咽喉科を受診して診断と治療を受けてください。発病の原因が強大音響ということで、その病因に応じた根本的治療法はありませんが、耳鼻咽喉科ではビタミン剤、ステロイド、血管拡張剤、血流改善剤などのお薬などが使われます。重症の場合には入院して安静の上、点滴や高圧酸素療法などが行われることもあります。これらは突発性難聴の治療法に準じたものです。
予防
 不測の事故によって起こる音響外傷は防ぎようがありません。
1. 職業上やむを得ず騒音環境に曝されることがわかっている場合や、大音響を発生する機器を使用したり、ロックコンサートでは奏者も観客もスピーカーの直前を避けること、あらかじめ耳栓を使用することが重要です。
2. 過労や睡眠不足、飲酒の状態ではコンサートに行かない、そのような状態では演奏しないこと。
3. 音楽の練習中でも病気は発生しますから、音量を絞り、頻回に休止して耳を休ませることです。
4. ヘッドホンでロック系音楽を大音量で日常的に聴取することは耳にとって非常に危険な行為です。大きな音を聞いている状況下で、少しでも耳鳴りや耳閉塞感や耳に違和感を感じたらすぐに止めるかその場から避難することが大切です。(急性音響外傷解説急性音響外傷図譜

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携帯プレーヤーの音量規制 EU、難聴予防へ安全基準
2009年9月29日 提供:共同通信社
 【ブリュッセル共同】欧州連合(EU)の欧州委員会は28日、イヤホンを使う携帯音楽プレーヤーを高音量で長時間使用した場合、難聴になる恐れが強いとして、プレーヤーの音量を規制するEUの安全基準策定に乗り出した。基準が採択されれば、メーカー側は順守を求められる。
 欧州委によると、適用対象は携帯プレーヤーやその機能を備えた携帯電話。メーカーに対し、出荷時に音量を安全な水準に設定するよう求める。利用者が設定変更して音量レベルを上げることはできるが、メーカーに高音量の危険性を十分説明するよう義務付ける。
 クネワ欧州委員(消費者保護担当)は、特に若者が高音量で長時間利用していると指摘。「難聴は数年で症状が現れる。その時は既に手遅れだ」と述べ、早期の規制導入を訴えた。
 EUによると、イヤホンを使って高音量で毎日1時間以上音楽を聞く習慣を長年続けていると「聴覚を失う恐れ」がある。域内では利用者の約5〜10%、最大1千万人がこうした危険にさらされているとみている。