耳鳴りについて 笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室
 耳鳴りは、たいへん多くの人が悩んでおられ、耳鼻科を受診されますが、耳鼻咽喉科の病気、症状のなかでも診断・治療が最も難しいものの一つです。聴力検査で難聴がある場合には、耳鳴りの原因となっていることが推測は出来ますが断定は出来ません。難聴もなく、いろいろな検査を行っても原因が見いだせないようなケースも多く、確実に耳鳴りを消失させる治療法が確立されていないのが現状です。
 殆どの耳鳴りの仕組みはわかっていませんが、一応次のような分類が試みられています。
【耳鳴りの原因と分類】
他覚的耳鳴:聴診器等で他の人も聞くことができる耳鳴り。
・筋肉性耳鳴:咽頭や口蓋の近くの筋肉の異常運動によるもの
・血管性耳鳴:脳血管等の血管の腫瘍や奇形などによるもの
自覚的耳鳴:他の人には聞こえない音が本人には聞こえる耳鳴りで、多くのケースがこの耳鳴りに当てはまりますが、いろいろな検査を行っても実際に耳鳴り音を「確認できない」ために、診断と治療が非常に難しいものです。
【耳鼻科の病気に伴う耳鳴り】
・外耳性耳鳴:外耳炎耳垢塞栓(耳垢がつまった状態)などに伴う耳鳴りで、治療により治ることが多い。
・中耳性耳鳴:慢性中耳炎滲出性中耳炎航空性中耳炎、耳管狭窄症などによる耳鳴りで、原疾患の治療によって耳鳴りは改善することが多いが、慢性化した場合には完治させることが難しい。
・内耳性耳鳴:突発性難聴メニエール病、内耳性難聴、音響外傷老人性難聴などによる耳鳴りは完治は難しい。
・後迷路性耳鳴:聴神経炎、聴神経腫瘍などによる耳鳴りも消失させることは困難です。
【全身的な病気に伴う耳鳴り】
高血圧などの循環障害、甲状腺機能亢進などホルモン異常、アレルギー、ビタミン欠乏、糖尿病などの代謝障害、神経症や仮面うつ病などの心因性の病気に伴うとされる耳鳴りで、原因疾患が改善することで軽快することが多い耳鳴り。
【耳鳴りは放置してもよいのか】
老人性難聴に伴う耳鳴りの多くは無害なもので、心配ありません。
高血圧や糖尿病の初発症状のことがありますので、内科的検査も必要です。
難聴がないのに耳鳴りのある場合は、精密検査で原因を調べる必要があります。
【耳鳴りの治療】
 耳鳴りを起こしている病気が明らかな場合は、その病気を治療します。難聴は治らなくても、気になる耳鳴りをいくらかでも小さくして、日常生活の妨げにならないようにしておくということが「耳鳴治療」の主な目的です。
 薬物療法として、代謝改善剤、循環改善剤、ビタミン剤、血管拡張剤、抗けいれん剤、漢方薬等の内服をします。耳鳴りによる不安や不眠が強い時には、マイナートランキライザー(精神安定剤)や睡眠薬の内服をすることもあります。
 局所麻酔薬を静脈注射したり、鼓膜を通してステロイドや麻酔薬を注入する治療、神経ブロック、遮蔽(マスカー)療法、心理療法など多くの治療が試みられていますが、耳鳴りの治療は難しく、慢性的な耳鳴りを完全に消失させる決定的な治療方法は現在のところありません。そこで、いくつかの治療法を組み合わせて、治療効果をみていくことになります。耳鳴りは耳鼻咽喉科の病状の中でも「治り」の悪いことから、ドクターショッピングとなっているケースが多い傾向にあります。大学や総合病院などの耳鼻咽喉科では耳鳴専門外来を設置して耳鳴りの原因究明や治療に精力的に取り組まれている医療機関が増えてきていますから、ご相談されるとよいでしょう。
【日常生活での注意点は】
耳鳴りの原因を問わず、睡眠不足、過労の際は強くなります。
耳鳴りは外界の音で遮蔽されるので、BGMを流すとよいでしょう。
睡眠障害のある場合は、入眠薬を服用していただきます。
耳鳴りの音色が変化したり、強くなった場合はすぐ耳鼻科の検査を受けて下さい。
定期的に聴力検査を受けて、聴力の変化をみることが最も大切です。
持続する耳鳴りに対しては、CTやMRIによるチェックも必要です。

耳鳴り 耳の構造

【質問】
 最近、耳鳴りが大きくなり、聞こえも悪くなったため、耳鼻科にかかり検査した結果、突発性難聴で、聴神経腫瘍の疑いもあるとのことで、MRIの検査もしました。結果は「聴神経腫瘍などの腫瘍は見られず、異常なし」ということでした。その後は通院してビタミン注射を継続していますが、今のところはあまり変化がありません。耳鳴りは原因がよく分からず、治りにくいと聞いていますが、今後このままの治療を継続するべきか、別の治療法をとるべきでしょうか。
【解答】
 難聴の原因として、鼓膜や音を伝える骨の異常による難聴(伝音性難聴)と、内耳の神経や聴神経そのものの障害による難聴(感音性難聴)の2種類があります。これらの難聴の場合、程度に個人差はありますが耳鳴りを伴うことがほとんどです。耳鳴りや難聴を訴えて来院される方のうち、聴力検査で伝音性難聴を認める場合は、その症状は手術などの治療で改善できる可能性があります。
 しかし、感音性難聴の耳鳴りは治療に抵抗性を示すことが多いようです。感音性難聴の場合で、右側あるいは左側だけの片側性に症状を認める場合は、種々の検査が必要となります。症状がだんだん進行性する片側性難聴では、重大な病気が隠れている場合があるためです。精密な聴力検査やMRIなどの検査によって、頭蓋内の病変の有無を確認する必要があります。
 片側性の難聴を認める代表的疾患には、突発性難聴、聴神経腫瘍、メニエール病があります。
 メニエール病の初期にはめまいを伴わず、聞こえがよくなったり悪くなったりしながら、難聴や耳鳴りが悪化する場合があります。聴力検査で特徴的なパターンを示す場合が多く、経過を見てゆくことで診断が可能なことが多いようです。
 聴神経腫瘍は、聞こえの神経から発生する良性腫瘍で、脳腫瘍のなかでも頻度の高い腫瘍です。聴神経腫瘍は進行すると、脳の中のほかの神経にも影響をおよぼし、治療も手術治療や特殊な放射線治療が必要となる疾患です。この腫瘍は非常にゆっくりと大きくなり、徐々に聞こえの神経を圧迫するために、進行性の耳鳴りや難聴で発症することが多いようです。MRIという検査法の開発により、診断は以前に比べ格段に容易になりました。しかし、腫瘍が数ミリ以下の非常に小さい時期ではMRI検査でも異常を認めないこともあります。聴神経腫瘍による進行性の難聴であれば、経過とともにさらに聴力の低下が認められ、耳鳴りもさらに進行していくことが予想されます。従って経過観察が重要です。
 耳鳴りに対する治療効果が思わしくないため、ほかの治療を試されることもよいのですが、もっとも重要なことは、症状の変化を十分に観察し、定期的に聴力検査をおこない、難聴が進行するようであれば、年に1度程度、定期的にMRIの検査を受けて、少なくとも聴神経腫瘍を確実に除外することが必要と考えます。
耳鳴りに注意耳鳴と上手く付き合う法1-2耳の病気と予防

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