
耳の構造
【質問】
最近、耳鳴りが大きくなり、聞こえも悪くなったため、耳鼻科にかかり検査した結果、突発性難聴で、聴神経腫瘍の疑いもあるとのことで、MRIの検査もしました。結果は「聴神経腫瘍などの腫瘍は見られず、異常なし」ということでした。その後は通院してビタミン注射を継続していますが、今のところはあまり変化がありません。耳鳴りは原因がよく分からず、治りにくいと聞いていますが、今後このままの治療を継続するべきか、別の治療法をとるべきでしょうか。
【解答】
難聴の原因として、鼓膜や音を伝える骨の異常による難聴(伝音性難聴)と、内耳の神経や聴神経そのものの障害による難聴(感音性難聴)の2種類があります。これらの難聴の場合、程度に個人差はありますが耳鳴りを伴うことがほとんどです。耳鳴りや難聴を訴えて来院される方のうち、聴力検査で伝音性難聴を認める場合は、その症状は手術などの治療で改善できる可能性があります。
しかし、感音性難聴の耳鳴りは治療に抵抗性を示すことが多いようです。感音性難聴の場合で、右側あるいは左側だけの片側性に症状を認める場合は、種々の検査が必要となります。症状がだんだん進行性する片側性難聴では、重大な病気が隠れている場合があるためです。精密な聴力検査やMRIなどの検査によって、頭蓋内の病変の有無を確認する必要があります。
片側性の難聴を認める代表的疾患には、突発性難聴、聴神経腫瘍、メニエール病があります。
メニエール病の初期にはめまいを伴わず、聞こえがよくなったり悪くなったりしながら、難聴や耳鳴りが悪化する場合があります。聴力検査で特徴的なパターンを示す場合が多く、経過を見てゆくことで診断が可能なことが多いようです。
聴神経腫瘍は、聞こえの神経から発生する良性腫瘍で、脳腫瘍のなかでも頻度の高い腫瘍です。聴神経腫瘍は進行すると、脳の中のほかの神経にも影響をおよぼし、治療も手術治療や特殊な放射線治療が必要となる疾患です。この腫瘍は非常にゆっくりと大きくなり、徐々に聞こえの神経を圧迫するために、進行性の耳鳴りや難聴で発症することが多いようです。MRIという検査法の開発により、診断は以前に比べ格段に容易になりました。しかし、腫瘍が数ミリ以下の非常に小さい時期ではMRI検査でも異常を認めないこともあります。聴神経腫瘍による進行性の難聴であれば、経過とともにさらに聴力の低下が認められ、耳鳴りもさらに進行していくことが予想されます。従って経過観察が重要です。
耳鳴りに対する治療効果が思わしくないため、ほかの治療を試されることもよいのですが、もっとも重要なことは、症状の変化を十分に観察し、定期的に聴力検査をおこない、難聴が進行するようであれば、年に1度程度、定期的にMRIの検査を受けて、少なくとも聴神経腫瘍を確実に除外することが必要と考えます。
(参考記事、耳鳴1-2)
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