味覚障害 笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室
 味覚は、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味(UMAMI)の5つの味から成っています。そのうち、定量的味覚検査では旨味を除いた甘味・塩味・酸味・苦味の4種類の味覚に関して、それぞれの閾値を測定することが出来ます。舌の表面には数千個の味蕾(みらい)細胞があり、ここで味を感じます。この味蕾は、口の中全体からのどの奥にかけて存在しており、味は口の中全体で感じるようになっています。味蕾細胞は生まれたときが最も多く、老人は1/2から1/3に減るといわれています。健康人でも年とともに味覚は鈍くなってゆきます。
味覚検査 定性定量的味覚検査(濾紙ディスク法による味覚検査)
 最近「味のわからない人」(味覚障害)が増えています。味覚異常の訴えは女性に多く、年齢的には女性が40歳代、男性は50歳代から増加がみられます。原因として日常よくあるのは、感冒(特にウイルス性のカゼ症候群)による場合で、同時に嗅覚障害が起きることもあります。そのほかにはベル麻痺やハント症候群、中耳炎、聴神経腫瘍などで顔面神経麻痺に伴うもの、口蓋扁桃摘出手術や全身麻酔での喉頭ポリープ手術の手術後に起きる場合、中耳手術後や歯科麻酔治療などによる医原性による場合、糖尿病・肝炎・肝梗変・腎機能障害・甲状腺機能障害など全身疾患による場合、口内炎や口腔真菌症、自己免疫疾患のシェーグレン症候群、唾液分泌障害などの口腔内の局所に原因がある場合などもあります。半分近くの原因は薬剤性つまり薬の副作用によるもの、亜鉛の不足によるもの、心因性のもの、特に原因がない特発性のものなどによるとされています。特に最近注目されているのが亜鉛欠乏によるものです。成人の亜鉛の一日必要摂取量は15ミリグラムで、通常の食生活を送っていれば亜鉛欠乏は起こらないはずですが、日本人の亜鉛摂取量は一日平均9ミリグラム前後で、少ないそうです。原因の一つは「加工食品」にあります。加工食品に含まれている食品化合物の中には、生体内の亜鉛と結合して、体外へ排泄させるものがあります。もう一つ重要な原因として「薬」があります。薬の作用により亜鉛の吸収が妨げられたり、生体内の亜鉛が過剰に排泄されると考えられています。この作用を持つ薬には、血圧降下剤(メチルドパ、カプトプリル)・痛風治療薬(コルヒチン、アロプリノール)・抗生物質・動脈硬化治療剤・消化性潰瘍治療剤・解熱鎮痛剤・抗癌剤など多数あり、しかも病院の薬だけでなく、市販薬の中にもこの作用を持つ成分が含まれているものがあります。亜鉛欠乏による味覚障害は、一人暮らしの若い人と老人に多くみられるようです。若い人は、ダイエットで十分な栄養を摂らなかったり、外食に頼ることが多いためと思われますが、自覚症状が乏しい場合が多いため病院を受診するケースは稀です。老人もやはり食事が加工食品にたよってしまったり、長期間薬を飲んでいたりするためと年齢的に避けられない味覚細胞の減少によるものと思われます。健康な味覚を維持するために重要な事は、きちんとした食事を摂ることです。亜鉛の含有量の多い食品を日常的に取ることが重要です。抹茶、緑茶、玄米茶、ココア、魚介類では牡蠣(かき3〜4個、100gで亜鉛の一日必要量が摂取できるとされています)、かずのこ、いわしのみりん干し、煮干し、のり、たらばがに、さざえ、カシューナッツ、いりごまなどが奨められます。市販の補助栄養食品サプリメントで亜鉛を補充するのも良いでしょう。
亜鉛欠乏症の治療薬としては、ノベルジン(低亜鉛血症治療薬:.低亜鉛.jp)、ポラプレジンク(亜鉛含有胃潰瘍治療剤:プロマック)などがあります。健常な味覚細胞が新しく再生するのには時間がかかりますから、いったん起こった味覚障害は治療を始めてから相当の月日を要すると考えて療養しないといけません。味覚の異常味覚の違和感味覚障害と亜鉛不足味覚を鍛えて味を楽しむ1-2-3-4-5-6味がよくわからない亜鉛欠乏症の診療指針

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【参考】味覚に関するいろいろな症状
味覚減退、味覚脱出、味覚消失(味を薄く感じる、味がわかりにくい、味がしないなどの場合)
異味症、味覚錯誤(ある味が本来とは異なる味に感じる場合)
悪味症(何を食べても嫌な味に感じる場合)
異常味覚、自発性異常味覚(口内に何もないのに常に口の中が苦いなどの異常な味覚がある場合)
解離性味覚異常(特定の味覚だけがわからない場合)
味覚過敏(味が強すぎるように感じられ不快である場合)
風味障害(嗅覚障害のために、味覚が低下したように感じる場合)