自由が丘耳鼻咽喉科 笠井クリニック
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睡眠時の行動と睡眠呼吸障害に関する様々な症状(表1、2)
表1 小児のいびきに関する親の訴え
【乳児】(生後3〜12か月)
号泣を繰り返す
夜間睡眠障害
昼夜サイクルが末確立
騒々しい呼吸またはいびき
寝汗
弱い吸啜力
正常成長パターンの喪失または発育不全
無呼吸イベントの観察
生命を脅かす明瞭なイベントの報告
反復する耳痛または上気道感染(URI)
【幼児】(1〜3歳)
騒々しい呼吸またはいびき
落ち着きのない睡眠または夜間睡眠障害
号泣発作または夜驚
不機嫌または攻撃的な日中行動
日中疲労感
寝汗
口呼吸
摂食不良または発育不全
反復する上気道感染(URI)
無呼吸エピソードの目撃
【学齢前児】
日常的な激しいいびき
口呼吸
睡眠時の流涎
落ち着きのない睡眠
夜間覚醒
錯乱性覚醒
睡眠時遊行
夜驚
寝汗
異常な睡眠体位
夜尿持続
日中の異常な行動
攻撃性、多動、無関心、日中疲労感
朝の起床困難
朝の頭痛
同年齢の児に比べて昼寝の必要性が増大
摂食不良
成長障害
頻発する上気道感染(URI)
【学齢児】
日常的な激しいいびき
落ち着きのない睡眠
異常な睡眠体位
不眠
睡眠相後退症候群
錯乱性覚醒
睡眠時遊行
寝言
夜尿持続
寝汗
朝の起床困難
口呼吸
流涎
朝の頭痛
日中疲労感
日常的な昼寝を伴う日中の眠気
異常な日中行動
注意欠陥・多動性障害のパターン 攻撃性 過度な内気、引っ込み思案と抑うつの傾向
学習困難
異常な成長パターン
思春期遅延
反復する上気道感染(URI)
歯科医師の評価による歯科的問題
交差咬合 不正咬合(クラスII またはクラスIII) 歯の過密状態を伴う小顎
表2 睡眠時の異常呼吸に関連する症候
慢性的ないびき
日中疲労感
日中の眠気
睡眠持続障害型の不眠症
睡眠相後退
錯乱性覚醒
寝言
夜驚
睡眠時遊行
遺尿(一次性または二次性)
朝の頭痛
夜間片頭痛
周期性四肢運動
学習または記憶障害
注意欠陥・多動性障害
異常な社会的接触(心理的に引っ込み思案)
抑うつ情動
起立性低血圧
失神(まれ)
高血圧(まれ)
肺性心(まれ)
夜間喘息または夜間喘鳴
交差咬合
病的な上歯突出
歯の過密状態
埋伏智歯
スタンフォード大学・睡眠障害クリニックのChristian Guilleminault博士らによる
出展:Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine(2005; 59: 775−785)
診察は鼻から開始し、鼻孔が非対称ではないか、鼻中隔基部が肥大していないか、吸気時に鼻弁が虚脱していないか、鼻中隔彎曲はないか、下鼻甲介の肥厚はないか等を調べる。次に口腔咽頭においては、口蓋垂と舌との位置関係を調べる。さらに、扁桃の大きさを気道の大きさと比較する必要がある。高くて狭い硬口蓋、重なり合う切歯、交差咬合と重大な(2mmを超える)上歯突出(上下歯間の水平距離)は小顎や上下顎骨の発達異常を示唆している。
患児が過体重かどうかも重要で、頚部周囲径と脂肪浸潤が関与している可能性がある。また、腹部肥満のある患児では肺胸郭系の機能が障害されている場合があり、そのために肺のガス交換低下が増悪している可能性がある点も重要である。
患児で睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合、「睡眠時検査が睡眠呼吸障害(SDB)を確認する唯一の手段である」と同博士らは述べている。親に対する質問票は、感度と特異度に関して不十分であるという。自宅モニタリングは,ビデオ撮影の有無にかかわらず、決定的とは言えないが、陽性所見が早期治療に結び付く可能性はある。
小児のSDBの評価は、手術が必要となる可能性があるので、耳鼻科医が担当すべきであると指摘。「アウトカム研究により、単独の扁桃切除術またはアデノイド切除術は、扁桃アデノイド切除術ほど効果的ではないことが明らかとなった。また、下鼻甲介に肥厚が見られる場合、全身麻酔下で同時に下鼻甲介のラジオ波治療を実施すべきである」としている。
臨床医は加湿を促し、積極的にアレルギーや鼻炎を治療し、鼻腔の開通性を検査すべきである。歯列矯正や抗アレルギー治療の有無にかかわらず、小児の手術に対する反応が良好という点から考えると、持続陽圧呼吸(CPAP)は第二選択としてのみ検討すべきである」と述べている。