風邪症候群(感冒、いわゆるカゼ、急性上気道炎)について 笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室

 カゼはヒトの病気の中で最も多いものです。「かぜ」と言う言葉は正式な医学用語ではなく、また明確な定義もありませんが、一般的には、カゼとは「主にカゼのウィルスが原因で、気管支より上の上気道粘膜に急性の炎症を起こす病気」と認識されています。インフルエンザ・ウイルスによるものは、急性中耳炎、肺炎、気管支炎、脳炎などの合併症を引き起こし、症状がひどくなる事があるため「かぜ」とは区別され、肺炎や脳炎を引き起こせばすでに「かぜ」の状態ではありません。
 耳鼻咽喉科は局所の所見を直接目で見たり、内視鏡で診察することの出来る診療科です。そこで、急性鼻炎副鼻腔炎
扁桃炎咽頭炎喉頭炎気管炎などと炎症を起こしている個々の場所の病名をつけますので、「かぜ」と言う曖昧な診断名はあまり使いません。
風邪、かぜ、かぜ症候群 上気道

 かぜ症候群
 
カゼ症候群の基本3症状は頭痛、発熱、悪寒で、そのほかに全身倦怠感、関節痛、筋肉痛がでたりします。耳鼻咽喉科的症状としては、鼻水が立て続けに出る、鼻汁がのどに廻って(後鼻漏)、咳が出る、のどがチクチク痛む、唾を飲み込むと痛い、タンが出る、声が嗄れるなどが出現します。ほうっておいたり、治療を誤ったりすると、何日たっても良くならず、こじらせて気管支炎や肺炎になることもあります。抵抗力の弱い子供やお年寄りは、油断するとカゼをこじらせてしまいがちなので要注意です。カゼは初期に治すのがポイントです。
 
感冒(かぜ症候群)の原因として最も多いのがライノウイルスで、その他、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザういるし、アデノウイルスなどが続きます。カゼのウィルスに感染すると24〜36時間で発熱し、その数時間前から他人に伝染します。一度カゼにかかると、当座は免疫ができますが、その免疫の程度は弱く、また同じカゼにかかることもあります。その上、カゼウイルスには非常に多くの種類があるため、違う種類のカゼウイルスに出くわすと、以前の免疫は役に立たず、何度でもカゼをひくことになるわけです。
 目下のところ現代医学でも、カゼの特効薬は残念ながらありません。インフルエンザ・ウィルスに関しては発症初期に使用することでウィルスの増殖を抑え症状を軽減できる薬が開発されていますが、一般的な風邪の原因ウィルス全てに効果のある薬はまだありません。症状を和らげる対症療法の薬として解熱鎮痛剤・抗炎症剤・鎮咳剤(セキ止)・去痰剤(タン切り)・抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤(鼻水やくしゃみ止め)などと共に、細菌による二次感染と重症化を防ぐために抗生物質を内服する場合もあります。特に耳鼻咽喉科を受診される方は急性扁桃炎急性鼻副鼻腔炎や、扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍、咽頭膿瘍、急性喉頭蓋炎など重症の感染症を引き起こしていることがあり、抗生物質や解熱鎮痛剤の投与と共に切開排膿手術が必要になる場合があります。。適切な薬をきちんと飲むと同時に、保温と安静が大切で、水分の補給に充分気をつけ、室内が乾燥しないように注意しましょう。初期の程度の軽いカゼ、こじれて色々な症状がだらだらと続いているカゼ、年に何回も繰り返してカゼをひくような体質を改善する、といった目的に漢方薬(カゼ症候群の漢方治療)が良いこともあります。(のどの乾燥対策1-2風邪の予防呼吸器疾患ガイドライン:かぜ症候群厚生労働省:抗微生物薬適正使用の手引き[第2版]
 
夏かぜは、ヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)が主なものです。ヘルパンギーナは高熱と口腔内に発赤と水疱が出来るウィルス性の疾患です。大人も罹ることがありますが、乳幼児に多く、2〜7日の潜伏期間後に、38度以上の発熱と口腔内の水疱が出現します。通常は2〜4日で熱は下がり、7日程度で治りますが、高熱や口腔内の痛みで、食事や水分が十分に摂れずに脱水になったり、熱性痙攣や髄膜炎、心筋炎などの合併症が起きることもあります。唾液中のウィルスによって感染します。
 同じように夏季に乳幼児を中心に流行することの多い「手足口病」は、水疱性の発疹を主な症状とするウィルス性感染症で、主な病原ウィルスはコクサッキーA16、エンテロウィルス71で、感染から3〜5日の潜伏期間後、口腔粘膜や手のひら、足底などの四肢末端に2〜3mmの水疱性発疹が現れます。
 夏かぜの原因となるウイルスはくしゃみや唾液を通して飛沫感染、接触感染します。症状が回復しても、ウイルスは長期にわたって便から排泄されることがあります。それらのウイルスに特効薬は無いので、症状に合わせた対症療法が主体となります。
 

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