ワルダイエル扁桃輪 Waldeyer's tonsillarring
A 咽頭扁桃(アデノイド)
B 耳管扁桃
C 咽頭側索
D 口蓋扁桃
E 咽頭後壁のリンパ小節
F 舌扁桃
扁桃は咽頭の粘膜内に発達したリンパ組織の集合体で、口蓋扁桃、咽頭扁桃、耳管扁桃、舌扁桃、咽頭側索および咽頭後壁のリンパ小節が咽頭部を輪状にとり囲んでワルダイエル扁桃輪を形成しています。扁桃の表面にはたくさんの凹凸があって、この陥凹は扁桃の実質内に深く入り込んでおり、この陥凹を陰窩(crypt)と呼びます。扁桃はその存在する位置や構造から、鼻と口から体内に侵入してくる異物や病原体を捕らえやすくできていると同時に感染を受けやすい状態にもなっています。
口蓋扁桃は前口蓋弓(口蓋舌弓)と後口蓋弓(口蓋咽頭弓)で囲まれる陥凹部(扁桃洞)に存在しています。口蓋扁桃の表面には10〜20個の扁桃小窩が開口し、管状にあるいは分岐して深く扁桃の実質内に侵入して扁桃陰窩を形成しています。扁桃陰窩は口蓋扁桃の上方に数多く存在し、特に口蓋扁桃の上極近くで大きくて深部にまで入り込んでいる部分を上扁桃窩と言いますが、その上扁桃窩の中には膿栓や膿性分泌物を認めることが特に多く、扁桃周囲を圧迫することで膿栓や膿汁が排出(扁桃膿栓症と口臭、扁桃膿栓症:扁桃膿栓症と扁桃処置)されてきます。
陰窩は口蓋扁桃、咽頭扁桃(アデノイド)、耳管扁桃、舌扁桃に存在しており、とくに口蓋扁桃と咽頭扁桃に目立って多いものです。膿栓(栓子 lacunar debris)は剥奪した扁桃の上皮細胞、遊離白血球やリンパ球、細菌塊、炎症性崩壊産物、食物残渣などから形成されたもので、口腔常在菌にとって格好の栄養培地になっていますから、独特のイヤな臭いがします。開口部が狭窄あるいは閉塞している陰窩では陰窩炎または陰窩膿瘍などの慢性の炎症がおこっていることが多く、環境の変化(疲労、風邪、塵芥吸入、刺激性ガスなどによる化学的刺激、気候の急激な変化など)によって細菌叢が病的なものに変化して急性炎症を反復すると考えられています。(参考:扁桃膿栓症について「喉オタク」:阿川佐和子著 「くさだま」について)
→ 口蓋扁桃の膿栓除去
→ 側視内視鏡で膿栓を確認(様々な膿栓所見)
[参考]慢性扁桃炎の局所所見の特徴
陰窩の拡大・不規則配列・膿栓と膿汁、前後口蓋弓の限局的発赤、腫脹、鬱血
扁桃表面の凹凸不整・白色・網状変化、扁桃被膜が周囲と癒着した埋没型扁桃
扁桃所属の頚部リンパ節の腫脹・圧痛
自由が丘耳鼻咽喉科 笠井クリニック
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