鼻糞 nose dirt (wax) 
鼻のすぐ入り口は鼻前庭と呼ばれ、鼻毛と脂肪成分を含んだ分泌物を出す皮脂腺があり、空気中の粉塵が鼻腔内に入らないようにフィルターの役目をしている。その入口から後方は粘膜で覆われた固有鼻腔という空気の通り道で、鼻粘膜から分泌される粘液で常に潤っている。吸気中の塵やほこり、皮脂腺からの分泌物、粘液が混合し乾燥したものが鼻くそとなる。
固有鼻腔の粘膜表面の細胞には線毛があり、その働きによって、鼻腔に入った粉塵や鼻粘膜からの分泌物は鼻腔の後方へ運ばれるため、通常は鼻くそが固有鼻腔に溜まることはなく、鼻くそは鼻前庭と固有鼻腔との境界部分、つまり鼻の入り口すぐのところに溜まりやすい。(参考:鼻のお手入れ)
鼻腔外側壁の構造
ほこりっぽいところや、鼻の分泌物が増えると鼻くそがたまりやすくなる。鼻呼吸がしづらくなって、指でほじると、いじったところに湿疹や傷が出来、更にそこから細菌が進入すると鼻の周囲が赤く腫れることがある。
慢性副鼻腔炎などの鼻の病気があると粘稠度の高い粘液がたくさん分泌されるため、鼻くそが溜まりやすくなる。またそこに多くの細菌が増殖し、そのため毛嚢や皮脂腺に感染が起こり、「鼻前庭湿疹」から「鼻せつ」という鼻のおできが出来る。鼻の血管は顔全体そして脳に近い所を走る血管とも交通しており、この血管を通じて感染が広がり「面疔」や眼窩内や頭蓋内感染症などの重篤な合併症が起きるような場合もある。鼻くそが溜まりやすい場合には、原因となる鼻副鼻腔の病気がないかどうかを検査して適切な治療を行うことが重要である。
鼻前庭湿疹に対しては、局所を清拭した後に抗生物質軟膏やステロイド軟膏を塗布する。鼻せつには抗生物質軟膏の塗布、抗生物質や鎮痛剤の内服治療を行い、保存的治療が無効な場合は切開排膿する。重篤な合併症を引き起こす危険性があるときは、抗生物質を点滴投与する。最近、鼻腔からの細菌検査でMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)の検出率が増加しており注意が必要。
自由が丘耳鼻咽喉科 笠井クリニック
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