鄙に花あり〈冬〉

ナンテンNandina domestica

♪赤い鳥小鳥 なぜなぜ赤い 赤い実を食べた♪

冬の赤い実として人気があります。「難を転じる」のコジツケで縁起ものとされ、庭に植えて落ち着いた風情のある姿形をめでます。半日陰を好むので、庭の中でもどちらかというとぱっとしない場所に植えられることが多く、せっかくのショッキングレッドがややかすんでいます。
赤飯にはナンテンの葉を載せるのが広く慣習になっています。ナンテンには生薬成分が含まれますが、だからといって防腐作用があるとするのはうがち過ぎ。


ウラジロGleichenia japonica

正月のしめかざりの基本的なパーツとして有名です。葉の裏側が粉を振ったように白いのでこの名があり、こころの真っ白な潔癖さに通じるとして正月の小道具のエースとなりました。
南方系のシダなので、南九州の山地のがけを埋め尽くすように群生している様子は熱帯のジャングルを彷彿とさせます。南方系だけに、正月における地位は、なじみのない東日本ではそれほど高くありません。
しめかざりといえば、内陸の球磨地方では、海産のホンダワラ(右画像中央の真っ黒い飾りもの)はほとんど無視されてるのが特徴です。


キンカンFortunella spp.)

キンカンは食べておいしく、風邪予防の妙薬ということにもなっていますが、ここでは、花じゃないけど鑑賞に供される実としてとりあげます。全体に小ぶりなこと、実がかわいらしいことからよく盆栽仕立てにされますが、やっぱり露地植えでめいっぱい枝を広げて育った健康な木の健康な実こそキンカンの本領です。
夏に咲く花は花で香り高く、これも価値あるものです。


カンランCymbidium kanran) 寒蘭

球磨の深山にひっそりと自生していた寒蘭は全草の姿形や花の美しさと芳香、個体ごとの花の多様性などの魅力でたくさんのマニアを生み出しました。赤味や黄味の強い花をつける個体はとくに評価が高く、投機的に過熱した蘭ハンターによってあらかた採り尽くされ、今では栽培家が文字どおりの箱入り娘として育てています。寒蘭の魅力は花の高貴さ。カトレアやデンファレなどの洋蘭の大向こう受けする派手さやあでやかさはないかわり、日本画に溶け込むような隔絶した清楚さがあります。藤原紀香(カトレア)と遠野凪子(寒蘭)の違いといえば説明になるでしょうか。


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