行事/イベント総まくり・冬編( 12〜2月)

冬の祭:
盆地の新年は、山と里の神様に安寧と繁栄を祈り、親交を結ぶことから始まる。山と里の神様の母体である照葉樹林文化は山間の儀式に飛び飛びに残っている。鬼火焚きしかり、山の神祭しかり。
南九州では例外的に寒さがきびしい球磨盆地の冬はどこの祭も熱い焼酎なしにはやってられない。焚き火と焼酎で内と外からからだを暖めて参加するのが盆地の冬祭である。
開催日 行事 場所 焼酎ファンの必見度

ポイント
12〜3月 幻の焼酎・蔵元めぐり 人吉市・球磨郡一帯 ★★★★★ 「幻の焼酎・蔵元めぐり」は2000年からスタート。 孤立しがちだった観光スポットを線でつなぎ面に仕立てるための観光戦略の軸はなんといっても球磨焼酎。今年(2001年度)は球磨焼酎酒造組合傘下29蔵のうち7蔵の賛同を得て、球磨焼酎の仕込み時期に合わせて数々のイベントが繰り広げられる。   
7蔵が提案する自信の7銘柄は、「幻の」を着冠できる逸品たちといえる。「幻」というよりは「現身(うつせみ)」により近い製品もあるが、地元以外ではなかなか手に入らないので、域外の住民にとってはやはりこの機会に実見・実飲したい「幻」に違いはない。
昨年(2000年)度の企画一覧
宿泊でプレゼント: 協賛の旅館(人吉市内の6軒)に宿泊したグループ(4人以上、キャンペーン特別料理注文)に1本プレゼント。
幻の焼酎飲み比べ: 協賛旅館+協賛蔵元で「そらぎゅう」を買うと3種類の試飲OK。 クイズでGET:球磨・人吉への興味度チェック問題に回答して応募。運がよければ幻の焼酎が当たる。

球磨焼酎そのものさえ何百年かけてここまで頭角を現わしたのだから、本キャンペーンも年月をかけて実績を積み重ね、観光エリアともども成長を望みたい。
12月第1日曜 歳末たすけあい演芸会 人吉市(下城本町カルチャーパレス) 共同募金会人吉支部会と市社会福祉協議会が共催。収益金は高齢者、生活困窮者、障害者に贈られ、明るい正月を迎えるために役立ててもらう。詩吟、三味線、など伝統芸の発表会の様相を呈するが、ぐっとスタイリッシュなところでストリートダンス、モダンダンスのお披露目もある。
入場整理券(千円)3千枚は、各有力団体や出演者に売りさばきが依頼される、確実ではあるが旧態依然のスタイル。
12月15日 市房神社祭 水上村 600年以上も続く市房山の山岳信仰の拠点、市房神社は市房山の4合目にあり、ヒコホホデミノミコト(日子穂穂手見命、または彦火火出見命。本名はホオリノミコト=火遠里命。ヒコホノニニギノミコト=日子番能邇邇芸命とコノハナノサクヤビメ=木花之佐久夜毘売の間に生まれた子。あー、ややこしい)を祀る。ヒコホホデミノミコト、この神様はつまりは山幸のことなのです。巨杉が囲むしんしんと冷える神社での神事は清浄このうえなし。
1月5日 子供山の神祭 人吉市(大畑町) 約300年前、神隠しに遭った3人の娘の霊を慰めるため祠が作られたのを契機として始まった、山の神を鎮めるための行事。現在は子供会と町内会で保存されている。女子禁制が固く守られており、未来の山林労働者を期待される小中学生の少年たちは伝統のチャンバラ合戦の後、祭に欠かせぬ塩イワシと小豆の炊き込みご飯にかぶりつく。
1月7日 鬼火たき 五木村 南九州に広く分布する、照葉樹林文化の残像のを色が濃い正月行事。門松、竹、薪を積み上げて燃やし、餅を焼いて食べて無病息災を願う。竹が破裂する大きい音で鬼を驚かして追い払う。
1月14日(旧暦) しゅんなめじょ 球磨郡一帯 豊作を願って14日の夜につくられる人形がしゅんなめじょ。コウクヮ(合歓=ネムノキ)の枝を削り、顔を書き、和紙の着物を着せてアワの穂などと一緒にカマスに立てると翌日は小正月。地域によってバリエーションがあるが、ネムノキ(アワの代わり)、ネコヤナギ(米)、アオキ(葉たばこ)、餅(小判)がほぼ共通している。郷土史家の前田一洋氏によると、語源は賤男女(シツナメ)のようである。
1月16日をはじめ年3回 山の神祭 球磨郡一帯 山の霊力と生産力を素直に崇めるきわめて意義深い習俗であり、本来は球磨郡のどこでもおこなわれたが、現在は衰退している。五木村ではなお盛んである。正月、5月、9月の16日が祭礼日。山の神はさらに「山の山ん神」と「田の山ん神」に分けられる。「山の山ん神」の御神体は巨木であることが多く、祠堂は少ない。性格が「田の山ん神」に近づくにつれて祠堂が備わり、山と里の境界に建っていることが多い。
ところで、山ん神は容貌にやや難のある女性なので、良民は魚のなかでも不細工なオコゼを奉って、下には下がある、と彼女の自尊心を満足させるなど、気を遣っている。
2月1日 太郎朔日(ついたち) 球磨郡一帯 山ん太郎と川ん太郎が入れ替わる2月1日、それが太郎朔 日である。春と秋の2回せわしなく入れ替わる地方もある。球磨地方では「やまわろ」、西米良村では「カリコボーズ」とも呼ばれる山ん太郎は「ひょい、ひょい」と合図のような声を発しながら、しかし姿を見せずに深山幽谷を自由に移動する。球磨「サンカ = 山窩」の生態や山ん神信仰にも関連しているようであり、実在が予測されている。
2月上旬〜中旬 にしき植木市 錦町 植木市を迎えると盆地は春。錦町役場の広い駐車場は、植木の本場、福岡県田主丸町などから約30業者がトラックで持ち込む苗木で埋まる。超高額の苗木が売れると、そのあたりが歓声に包まれる。2001年は大抽選会の景品が韓国旅行にエスカレート。
2月〜3月 人吉・球磨はひなまつり 人吉市・相良村 「ひとよし・くま旬夏秋冬キャンペーン」に華やかな彩りを添えるイベントのひとつ。専徳寺住職の安部弘昭さんが40年間にわたって収集してきた1500体のひな人形こそ、ひな祭に因む観光でなんら実績のなかった球磨・人吉を一躍ひな祭観光の名所に押し上げた原動力。文化財的価値の高い古びななどの存在がひな祭観光先進地域の日田市や柳川市、八女市と肩を並べる原動力になった。その相良村の専徳寺、人吉クラフトパーク石野公園、人吉市のおひな通りの3か所がメイン会となってそれぞれの持ち味を生かして集客が図られるほか、メイン会場以外でも郡市の各観光スポットで地域性をこらしたひな人形が展示される。 2001年は「人吉球磨限定・おひなリカちゃんストラップ」の販売(1200円)が人気を呼んだ。
いくつかの蔵も積極的に参加し、接待所が設けられる。
2月下旬 新春えびす市 多良木町 多良木町商店街は郡内で最も大きく、年明けの大売り出しとしてにぎわう。現在は「ビックリ初市」のほうがとおりがよく、なぜかビーチバレーボールなどのアトラクションが多くて新春の村祭の様相を呈している。


§5 Index
17. Nov. 2001