素材は野外から(その1) 
果実酒編〈PART2〉

ヤマナシ  
 
焼酎盆地には、固くて小さくて酸っぱい実をつける「石梨」と呼ばれる木があります。惜しくも枯死しましたが錦町の町指定天然記念物だった「ばばうっちゃぎ梨」に代表される石梨は、梨の原種(ヤマナシなど)に近い、過去の栽培型の遺存種と思われ、市販されている甘くてみずみずしい梨とは比較にならない貧弱な実なのですが、果実酒にすると酸っぱさ渋さ苦さが調和し、高貴ささえ帯びた仕上がりになります。ぜひそろえたい果実酒の一級品です。


ガマズミ 
 晩秋の野山で赤く熟し、霜に当たっていよいよ甘酸っぱさを増す木の実です。「いせび」といえばおわかりでしょう。昔は山猿少年のおやつでした。ルビーのようにきらきらと美しい実は、果実酒に仕立てるとほどよい酸味でとてもおいしく飲めるのみならず、深い赤紫色が非常に美しく、カクテルのベースに最適です。
画像左:ガマズミの実と葉。 
  右はボールに入れた実。ルビーのようなイクラのような。


ヤマモモ
 ヤマモモはよく庭木として植えられており、生で食べてもおいしいのですが、果期が短いせいかあまり利用されていないようです。香りはやや乏しく甘みが勝っているのでレモンでアクセントを付けてうやると、種から出る渋みと合わせて野生味あふれたおいしい酒になります。なお、ヤマモモはいわゆるピーチの類(バラ科)ではなく、ヤマモモ科に属します。


番外編《トウガラシ》
 
焼酎に漬けるのは果物ばかりではないよ,という見本がとうがらし漬けです.優秀なスパイスであるトウガラシは,辛味成分であるカプサイシンが油脂分や酢酸にによく溶けるので,ラー油やタバスコのように加工した調味料でもおなじみです.カプサイシンはアルコールにもよく溶けるので,焼酎漬けにしてもすばらしい調味料ができる道理で,沖縄では地元の小ぶりのトウガラシ(島唐辛子)の泡盛漬け「こーれーぐす」(高麗胡椒の意)が生産されています.我が家の「こーれーぐす」は、沖縄本島から約300km東に向かった大平洋上北緯25度の亜熱帯の孤島のホットな特産品。テーブルの料理を「亜熱帯」どころか「赤道直下」にしてくれます.
 「こーれーぐす」は,球磨焼酎の今後の商品開発になかなかいいヒントを提出していると思いませんか?たとえば上村特産のハーブ類を焼酎漬けにするといつでも使える香り高い調味料として需要を喚起できるのではないでしょうか.



§4 Index

19. Aug. 1999
22. Jul. 2000 Revised